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第78話 世界1美味しいケーキ
しおりを挟む僕は、知り合いに呼ばれて、ある街のケーキ屋を訪れていた。
「アレク、俺は、世界1美味いケーキが作りたいんだ」と、唐突に言われた。
「そ、そうなんだ」と、引き気味で答えた。
「だから、アレク、お前に最高の食材を持ってきて欲しいんだ」と、聞いてきた。
「分かったよ。でも、1つだけ条件があるんだけど?」と、聞いた。
「条件とは?」と、聞き返してきた。
「食材は、2つ分持ってくるから、出来たケーキを1つ頂戴」と、答えた。
「それぐらいなら、問題ない。じゃあ、頼むぞ、アレク」と、僕の背中を叩いてきた。
「うん、任せて」と、答えた。
僕は、瞬足を使って、ケーキの材料の中でも最高級と言われる材料を集めた。そして、鮮度が直ぐ落ちるため市場に回らない食材も、集めておいた。
「これで、足りるかな?」と言い、持ってきた食材を置いた。
「ああ、これで足りるよ。ありがとう、アレク。後は、私の仕事だ」と言い、食材を厨房の方に持って行った。
1時間ぐらい待つと、知り合いが美味しそうなケーキを2つ持ってきた。
「出来たぞ、アレク、世界1美味しいケーキだ」と、満足そうな顔をして言った。
「確かに美味しそうだね。これなら、アリアが喜んでくれるよ」と、言った。
「そうか、そうか、それなら、良かった。では、約束通り渡すよ、ほれ」と言い、ケーキを1つ受け取った。
僕は、知り合いに礼を言い、僕の領地に帰った。
婚約者達は、部屋で話していたので、そこでケーキを早速食べることにした。
「このケーキ、とても美味しそうです」と、アリアは、満面の笑みを浮かべた。
「確かに、美味しそう」と、テレスが言った。
「そうですね。凄く美味しそうです」と、セシリーが言った。
「うん、美味しそう」と、フェリスが言った。
「こんなケーキを見たのは、初めてだよ」と、エーリゼが言った。
折角なので、みんなで一緒にケーキを口に入れることにした。
ケーキを食べた瞬間、僕と婚約者達は、あまりの美味しさに固まってしまった。
「お、美味しすぎます、このケーキ、ア、アレクくん、何処で買ってきたのですか?」と、アリアが僕に詰め寄って聞いてきた。
「このケーキは、売り物じゃなくて、知り合いに作ってもらったんだ」と、答えた。
「え、それにしても美味しすぎるよ。どうしてこんなにも美味しいの?」と、テレスが聞いてきた。
「知り合いが突然、世界1美味しいケーキを作りたいと言ったんだ。そして、必要な食材を僕が集める代わりに、完成したケーキを1つ貰うことにしたんだ」と、答えた。
テレスとアリアと僕が、話している間、セシリーとフェリスとエーリゼは、感想を呟いていた。
「こ、こんな、美味しい、ケーキがあるんですね」と、セシリーが呟いた。
「美味しい、ほっぺが、落ちそう」と、フェリスが満足そうな表情を浮かべた。
「色々な場所に行ったけど、こんな美味しいケーキは、初めて食べた」と、エーリゼが驚きをまだ隠せてない表情を浮かべた。
「アリアが、喜ぶと思って、持ってきたんだけど、気に入ってくれた?」と、聞いた。
「わ、私の為、と、とても嬉しいです。ありがとうございます、アレクくん」と、アリアは、ケーキの美味しさよりも記憶に残る笑顔を浮かべた。
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