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本編
3歩み寄りと波乱の幕開け…?
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「ん……」
光とともに、花の模様が彩られた天井が目に入る。
目が覚めたことに気づいたエマが駆け寄ってきた。
「お嬢さま、大丈夫ですか?」
「……ええ、心配しないで。慣れない環境で少し疲れただけよ。それより、私イザーク様と庭園にいたのだけれど、その後がわからないの」
「お嬢さまが倒れてしまった時、私はお二人から少し距離を取っていましたので、すぐ駆け寄ることができませんでした。ですが、イザークさまがお嬢さまをお支えになられて、そのままこの部屋まで運んでくださったのです」
何とも誇らしげに話しているが、そんなことがあるのだろうか?
「運んだって……一体どうやって?」
「もちろんお抱えになられていましたよ!」
「抱え……!?」
さも当然かのように言われたが、貴族の男性なら使用人の誰かに適当に運ばせるのが妥当だ。
ましてや、無慈悲な人間が政略結婚の相手を抱え、ベッドまで連れて来るなんてあり得ないのだ。
動揺していると、ノック音がした。
エマが確認するより早く、ドアから勝手に入ってくる人影が見え、コツコツと足音が近づく。
「イザークさま……?」
訓練場に行く前なのだろうか、騎士団長の制服を着ていると、より凛々しく感じる。
「起きたのか」
「はい。あの、昨日はごめんなさい」
急いで起き上がると、また血の気が引き、目の前を火の粉が散らした。
「病人が無理に起き上がるな」
すぐに背中に手が回され、ベッドへと逆戻りになる。
「申し訳ありません……それに、イザークさまが抱えてくださったと聞きました」
「使用人に任せるより、私が運んだ方が早いからな」
相変わらず表情はないが、なんだか今日は雰囲気が柔らかい。
いつの間にかベッド横に用意されていた椅子に腰掛け、こちらの様子を伺っているように見える。
「昨日はすまなかった」
真っ直ぐな謝罪に思わず目を見開いた。
本来は立場上、人に謝らなくて良い御方なのに改まってまで謝罪をくれた。
「いいえ、イザーク様が謝られることは何もございません。私が感情的になってしまったのが悪いのです」
「君の体調がなるべく落ち着いていられるよう、善処する」
「イザークさま……ありがとうございます」
それから、部下の方が呼びに来られるまで、そっと横にいてくださった。
不思議と苦しくなく、穏やかな時間が流れた────。
その晩、イザークさまは話があるとのことでまた部屋に来られた。
「定例ならば、正式な婚姻前に婚約発表のため舞踏会を開くのだが、なくしても良い。君はどうしたい?」
「舞踏会、ですか」
ブロッサム家管轄の領土では、舞踏会ほど大きなことはしない。
怖い人間ばかりな上、特に御令嬢達には嫌な思いばかりされた。
そのため正直に言ってしまうと嫌だ。
舞踏会が終わった後……というより、最中から体調が崩れることも予想できる。
しかし、いくら政略的とはいえ、アンスリウム家は私を迎え入れてくださった家であるし、仮にも百戦錬磨の騎士、イザークさまの妻だ。
「大丈夫です。定例通り行いましょう」
一呼吸置いてから、しっかりと胸を張って答えた。
すると、瞳の奥底を覗かれるかのようにジッと見られる。
その間、真っ直ぐ見つめ返し続けた。
「……わかった、途中で戻っても良い。どうせつまらん連中だ」
そう悪態をつくイザークさまを見ていると、なんだか少し気分が軽くなったのだった。
光とともに、花の模様が彩られた天井が目に入る。
目が覚めたことに気づいたエマが駆け寄ってきた。
「お嬢さま、大丈夫ですか?」
「……ええ、心配しないで。慣れない環境で少し疲れただけよ。それより、私イザーク様と庭園にいたのだけれど、その後がわからないの」
「お嬢さまが倒れてしまった時、私はお二人から少し距離を取っていましたので、すぐ駆け寄ることができませんでした。ですが、イザークさまがお嬢さまをお支えになられて、そのままこの部屋まで運んでくださったのです」
何とも誇らしげに話しているが、そんなことがあるのだろうか?
「運んだって……一体どうやって?」
「もちろんお抱えになられていましたよ!」
「抱え……!?」
さも当然かのように言われたが、貴族の男性なら使用人の誰かに適当に運ばせるのが妥当だ。
ましてや、無慈悲な人間が政略結婚の相手を抱え、ベッドまで連れて来るなんてあり得ないのだ。
動揺していると、ノック音がした。
エマが確認するより早く、ドアから勝手に入ってくる人影が見え、コツコツと足音が近づく。
「イザークさま……?」
訓練場に行く前なのだろうか、騎士団長の制服を着ていると、より凛々しく感じる。
「起きたのか」
「はい。あの、昨日はごめんなさい」
急いで起き上がると、また血の気が引き、目の前を火の粉が散らした。
「病人が無理に起き上がるな」
すぐに背中に手が回され、ベッドへと逆戻りになる。
「申し訳ありません……それに、イザークさまが抱えてくださったと聞きました」
「使用人に任せるより、私が運んだ方が早いからな」
相変わらず表情はないが、なんだか今日は雰囲気が柔らかい。
いつの間にかベッド横に用意されていた椅子に腰掛け、こちらの様子を伺っているように見える。
「昨日はすまなかった」
真っ直ぐな謝罪に思わず目を見開いた。
本来は立場上、人に謝らなくて良い御方なのに改まってまで謝罪をくれた。
「いいえ、イザーク様が謝られることは何もございません。私が感情的になってしまったのが悪いのです」
「君の体調がなるべく落ち着いていられるよう、善処する」
「イザークさま……ありがとうございます」
それから、部下の方が呼びに来られるまで、そっと横にいてくださった。
不思議と苦しくなく、穏やかな時間が流れた────。
その晩、イザークさまは話があるとのことでまた部屋に来られた。
「定例ならば、正式な婚姻前に婚約発表のため舞踏会を開くのだが、なくしても良い。君はどうしたい?」
「舞踏会、ですか」
ブロッサム家管轄の領土では、舞踏会ほど大きなことはしない。
怖い人間ばかりな上、特に御令嬢達には嫌な思いばかりされた。
そのため正直に言ってしまうと嫌だ。
舞踏会が終わった後……というより、最中から体調が崩れることも予想できる。
しかし、いくら政略的とはいえ、アンスリウム家は私を迎え入れてくださった家であるし、仮にも百戦錬磨の騎士、イザークさまの妻だ。
「大丈夫です。定例通り行いましょう」
一呼吸置いてから、しっかりと胸を張って答えた。
すると、瞳の奥底を覗かれるかのようにジッと見られる。
その間、真っ直ぐ見つめ返し続けた。
「……わかった、途中で戻っても良い。どうせつまらん連中だ」
そう悪態をつくイザークさまを見ていると、なんだか少し気分が軽くなったのだった。
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