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環境変化編 第九章:自分の力で根を下ろす
再会 怒り、涙、笑顔とともに、そして
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謎の来訪者の仕業で意識不明になった店主とニィナ。
間もなく回復したニィナには異変はなかったが、店主はこの国の言葉を理解する力を失ってしまった。
その力は元々店主の物ではなく、天流法国の法王ウルヴェスから褒美として賜った力。
だからその力が消えたり奪われたりする可能性はあった。
この世界に借りを作りたくない店主は、日ごろからわずかな自由時間を見つけ、その中からさらに人目に触れない時間に人知れず、この国の言語を身につける。
普通に会話を交わすことは出来ないが、筆談や分かりやすい言葉でゆっくり話しかけられたりすれば意思疎通は可能なレベル。
しかしここでは、存在することは有り得ないと思われている別の世界から来たことになる店主。思わず日本語を出してしまい周囲に怪しまれる。
更に命の危険が身近に迫っている可能性もあり、そんな切羽詰まりそうな状況の中店主は何とか立ち直る。
適した施設に入院しており、店主は退院を希望するものの医師のジムナーとニィナによって思い止まり、退院の許可をもらうまでは語学に励むことにした。
セレナが斡旋所に出掛けて依頼を受けに行き、店主が意識を失わされた日から三日目。
ニィナがジムナー魔術診療所に入院している店主の見舞いに行くのは、店主の朝食が終わった頃。
特に店主の健康が損なわれているわけではないが、体力的に衰えているため外出はなるべくしないように言い渡されている。
そんな店主に代わって、ニィナは大陸語習得の教本を買いに行くため病室を出た。
[やれやれ。早くこの国の言葉にも馴染まないとな。……今の言葉を大陸語に訳すと……]
「やれやれ、早くこの国の言葉に馴染まないと」
(でいいのか? 判定してくれる誰かがいないと、正しいかどうかわからんな)
病室の外の、遠く離れたところから足音が鳴り響き、何やら近づいて来る様子。
(大勢で押し寄せるって感じだな。そう言えば他にも入院患者はいるんだよな。当然見舞客もいるはずだ。それに気付かなかったとは、今まで随分気持ちに余裕がなかったと……。え?)
その足音は大きくなり、店主がいる病室の前で消えた。
その代り、数人が扉の前で何やら騒がしく会話をしている様子が室内からも窺えた。
「テンシュッ!」
「今まで何してたのよっ!」
「心配したんだからっ!」
「水くせぇんだって! ホントにもう!」
「一体どうしたって言うんですか!」
[お……お前ら……]
「噂を聞いて駆け付けたんですよっ! どこからか来た法具屋の店主が、どこの国でもない言葉を口にして、魔術診療所に入院したって! 気まぐれにも程があるでしょう!」
「その噂聞いてよ、ひょっとしたらテンシュのことじゃねぇかってよ!」
「言葉通じないかもしんないけど……思いっきり言わせてもらうわっ! こぉんの……」
「「「「「バカテンシュッ!!」」」」」
病室に飛び込んできたのは五人。
その五人が一斉に声を合わせる。
もちろん店主には、この国の言葉を聞いてもすぐには理解できない。
だが店主は見覚えのある顔を見渡して、日本語で言い返す。
[名前、覚えてねぇけど、いい加減その道具から卒業しろよ、お前ら]
「……ぷっ。何言ってんのか分かんないけど、言いたいこと分かるわ。名前、覚えてないんでしょう。ホントに相変わらずなんだから、テンシュは」
「『風刃隊』だってばっ。まったくいつになったら覚えてくれるのやら」
「だがそれなりに元気そうでよかった。俺、ここの先生に挨拶してくるわ」
ワイアットはそう言うとすぐに病室を出る。
他の四人は、店主が座るベッドの周りに囲うようにそばに寄る。
懐かしむ顔に囲まれた店主は、異文化交流の場に放り投げられた気分になった。
間もなく回復したニィナには異変はなかったが、店主はこの国の言葉を理解する力を失ってしまった。
その力は元々店主の物ではなく、天流法国の法王ウルヴェスから褒美として賜った力。
だからその力が消えたり奪われたりする可能性はあった。
この世界に借りを作りたくない店主は、日ごろからわずかな自由時間を見つけ、その中からさらに人目に触れない時間に人知れず、この国の言語を身につける。
普通に会話を交わすことは出来ないが、筆談や分かりやすい言葉でゆっくり話しかけられたりすれば意思疎通は可能なレベル。
しかしここでは、存在することは有り得ないと思われている別の世界から来たことになる店主。思わず日本語を出してしまい周囲に怪しまれる。
更に命の危険が身近に迫っている可能性もあり、そんな切羽詰まりそうな状況の中店主は何とか立ち直る。
適した施設に入院しており、店主は退院を希望するものの医師のジムナーとニィナによって思い止まり、退院の許可をもらうまでは語学に励むことにした。
セレナが斡旋所に出掛けて依頼を受けに行き、店主が意識を失わされた日から三日目。
ニィナがジムナー魔術診療所に入院している店主の見舞いに行くのは、店主の朝食が終わった頃。
特に店主の健康が損なわれているわけではないが、体力的に衰えているため外出はなるべくしないように言い渡されている。
そんな店主に代わって、ニィナは大陸語習得の教本を買いに行くため病室を出た。
[やれやれ。早くこの国の言葉にも馴染まないとな。……今の言葉を大陸語に訳すと……]
「やれやれ、早くこの国の言葉に馴染まないと」
(でいいのか? 判定してくれる誰かがいないと、正しいかどうかわからんな)
病室の外の、遠く離れたところから足音が鳴り響き、何やら近づいて来る様子。
(大勢で押し寄せるって感じだな。そう言えば他にも入院患者はいるんだよな。当然見舞客もいるはずだ。それに気付かなかったとは、今まで随分気持ちに余裕がなかったと……。え?)
その足音は大きくなり、店主がいる病室の前で消えた。
その代り、数人が扉の前で何やら騒がしく会話をしている様子が室内からも窺えた。
「テンシュッ!」
「今まで何してたのよっ!」
「心配したんだからっ!」
「水くせぇんだって! ホントにもう!」
「一体どうしたって言うんですか!」
[お……お前ら……]
「噂を聞いて駆け付けたんですよっ! どこからか来た法具屋の店主が、どこの国でもない言葉を口にして、魔術診療所に入院したって! 気まぐれにも程があるでしょう!」
「その噂聞いてよ、ひょっとしたらテンシュのことじゃねぇかってよ!」
「言葉通じないかもしんないけど……思いっきり言わせてもらうわっ! こぉんの……」
「「「「「バカテンシュッ!!」」」」」
病室に飛び込んできたのは五人。
その五人が一斉に声を合わせる。
もちろん店主には、この国の言葉を聞いてもすぐには理解できない。
だが店主は見覚えのある顔を見渡して、日本語で言い返す。
[名前、覚えてねぇけど、いい加減その道具から卒業しろよ、お前ら]
「……ぷっ。何言ってんのか分かんないけど、言いたいこと分かるわ。名前、覚えてないんでしょう。ホントに相変わらずなんだから、テンシュは」
「『風刃隊』だってばっ。まったくいつになったら覚えてくれるのやら」
「だがそれなりに元気そうでよかった。俺、ここの先生に挨拶してくるわ」
ワイアットはそう言うとすぐに病室を出る。
他の四人は、店主が座るベッドの周りに囲うようにそばに寄る。
懐かしむ顔に囲まれた店主は、異文化交流の場に放り投げられた気分になった。
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