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環境変化編 第九章:自分の力で根を下ろす
再会 テンシュを囲んで そして
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店主が入院している病室に突然現れたのは、いきなりいなくなってから約半年もその行方を探し続けていた五人の冒険者チーム『風刃隊』のメンバーだった。
周りの病室にも聞こえるくらいの声で店主に怒る者。
しゃくりあげて泣く者。
ようやく見つけることが出来て喜ぶ者。
何度も何度も同じ言葉を繰り返す者。
店主は、病室に戻って来たワイアットも加わった五人から全く理解できないことを捲し立てられながら、もみくちゃにされた。
そして五人は皆最後は笑顔に変わる。
彼らにとって店主との出会いはかけがえのないものだった。
店主にとっては面倒な客だったかもしれない。
だが冒険者になって間もない新人同士で組んだチームは誰からも相手にされず、斡旋所から薦められる仕事もない。
冒険者廃業まで考えていた矢先のことだった。
この五人が店主に巡り会えたのは幸運だった。
そして店主との出会いから広がった多くの者達との縁。
冒険者としての功も上げ続け、今やこの国の斡旋所からの評価の目安にもなる上位二十に名を連ねるようになった。
そんな恩人が急に消えた。
手掛かりも全くないまま、仕事よりも店主を探すことを優先し続けたこの期間。
そんな中聞こえてきた噂の一つが、どこの国でも使われない言葉を口にする法具店の人物がいるというもの。
店主が流出を恐れ、老婆エルフのジムナー医師とニィナに口止めを頼み、それが間に合わずニィナの店で働く若い衆から流れた噂だった。
店主の心配が好転した。
病室は一気に賑やかになる。
実力者の仲間入りをした彼らは、普段もそうだが店主の前でも気持ちは出会った頃に戻る。
「それにしたって、何で急にいなくなることねぇだろう?」
「ホントに心配したんだからぁ!」
ギースとミールは何度も同じ言葉を繰り返す。
特にミールは涙声のまま。
「うん、テンシュからの言い分を聞きたいところだが……」
「それにしても……何で言葉通じなくなったんですか?」
「ちょっと待って! 昔は、店から出られないって言ってたよね。時間がどうとかって。そこでテンシュは別の世界から来たってのは分かったんだけど、言葉がどうとか言ってなかった?」
巨塊への洞窟でセレナが意識不明になった。
彼女の救出作戦に出る前に入念な打ち合わせをしたのが『風刃隊』の男達。
女性陣のミールとウィーナも傍でその内容を聞いていた。
その時にそんなことを口にしていたことを覚えていた。
「店外に出ると言葉が通じない、だったっけ。そういえばあの一件が解決……あれでも解決したって言うのかどうかわからんが、あれ以来店から出ることは割りとあったよな。店外で会話したこともあった」
「店の中で会話ができたのは、セレナさんの術だったよね? てことは術の範囲が広がった?」
「それは違うな。テンシュはどこに行くかなんて誰も分からない。どこにでもそんな術をかけられるほど魔力は大きくはない。となると、その術をかける対象は場所ではなくテンシュ本人にかけたと考えられる。でもセレナじゃないな。最初から本人に術をかけりゃよかったんだから」
ワイアットの推理は間違ってはいない。しかしそんな話をしていても、状況は変わらないままである。
ベッドの周りにいる『風刃隊』のメンバー同士で店主の話題で盛り上がるが、それを店主は耳に入れようとはしない。
ニィナが外出する前に放映機で番組を合わせ、店主はそれを熱心に見ながらメモをとっている。
「……テンシュ、そこ聞き間違いだぜ。今のは、こう発音したんだ」
ギースが店主の聞き取りの間違いを修正する。
店主はギースを見て一瞬小さく驚いた後、修正された通りに書き直す。
そのあと、彼らが来るまでの間に書いた文章をしきりに指し、ギースに尋ねるような顔を向ける。
「……単語的には問題はねぇな。何を言いたいか分かんねぇから文章的にはあってるかどうかは分かんねぇ。文法的には問題ねぇけど、細かいチェック伝えるの難しいな」
「……テンシュ、勉強熱心だよね。仕事してるときとおんなじ雰囲気」
「こっちの世界の住人になろうと頑張ってるんですよ。頭が下がる思いです」
ウィーナとミュールがその二人の様子を見て感心している。
病室のドアからノックの音が聞こえ、ゆっくりと開く。
「……テンシュ、本、買ってきたよ」
店主でも聞き取れるゆっくりとした声はニィナ。
店主の要望通りの本を買い、病室に戻って来た。しかし、ニィナはやや沈んだ表情をしている。
「あぁ、テンシュの世話をしてくれてたんですね。いろいろありがとうございます。俺達はテンシュにずっと世話に……」
「……やっぱりミュールじゃないか。何やっ……。いや、こんな時は、元気そうな顔見れて安心したって言うべきなんだろうね」
ワイアットの挨拶よりも、視線の先にいるミュールに反応するニィナ。その声が震えている。
「……姉さん……」
「「「「姉さん?!」」」」
ミュールが口にした言葉に、仲間達全員が驚いた。
周りの病室にも聞こえるくらいの声で店主に怒る者。
しゃくりあげて泣く者。
ようやく見つけることが出来て喜ぶ者。
何度も何度も同じ言葉を繰り返す者。
店主は、病室に戻って来たワイアットも加わった五人から全く理解できないことを捲し立てられながら、もみくちゃにされた。
そして五人は皆最後は笑顔に変わる。
彼らにとって店主との出会いはかけがえのないものだった。
店主にとっては面倒な客だったかもしれない。
だが冒険者になって間もない新人同士で組んだチームは誰からも相手にされず、斡旋所から薦められる仕事もない。
冒険者廃業まで考えていた矢先のことだった。
この五人が店主に巡り会えたのは幸運だった。
そして店主との出会いから広がった多くの者達との縁。
冒険者としての功も上げ続け、今やこの国の斡旋所からの評価の目安にもなる上位二十に名を連ねるようになった。
そんな恩人が急に消えた。
手掛かりも全くないまま、仕事よりも店主を探すことを優先し続けたこの期間。
そんな中聞こえてきた噂の一つが、どこの国でも使われない言葉を口にする法具店の人物がいるというもの。
店主が流出を恐れ、老婆エルフのジムナー医師とニィナに口止めを頼み、それが間に合わずニィナの店で働く若い衆から流れた噂だった。
店主の心配が好転した。
病室は一気に賑やかになる。
実力者の仲間入りをした彼らは、普段もそうだが店主の前でも気持ちは出会った頃に戻る。
「それにしたって、何で急にいなくなることねぇだろう?」
「ホントに心配したんだからぁ!」
ギースとミールは何度も同じ言葉を繰り返す。
特にミールは涙声のまま。
「うん、テンシュからの言い分を聞きたいところだが……」
「それにしても……何で言葉通じなくなったんですか?」
「ちょっと待って! 昔は、店から出られないって言ってたよね。時間がどうとかって。そこでテンシュは別の世界から来たってのは分かったんだけど、言葉がどうとか言ってなかった?」
巨塊への洞窟でセレナが意識不明になった。
彼女の救出作戦に出る前に入念な打ち合わせをしたのが『風刃隊』の男達。
女性陣のミールとウィーナも傍でその内容を聞いていた。
その時にそんなことを口にしていたことを覚えていた。
「店外に出ると言葉が通じない、だったっけ。そういえばあの一件が解決……あれでも解決したって言うのかどうかわからんが、あれ以来店から出ることは割りとあったよな。店外で会話したこともあった」
「店の中で会話ができたのは、セレナさんの術だったよね? てことは術の範囲が広がった?」
「それは違うな。テンシュはどこに行くかなんて誰も分からない。どこにでもそんな術をかけられるほど魔力は大きくはない。となると、その術をかける対象は場所ではなくテンシュ本人にかけたと考えられる。でもセレナじゃないな。最初から本人に術をかけりゃよかったんだから」
ワイアットの推理は間違ってはいない。しかしそんな話をしていても、状況は変わらないままである。
ベッドの周りにいる『風刃隊』のメンバー同士で店主の話題で盛り上がるが、それを店主は耳に入れようとはしない。
ニィナが外出する前に放映機で番組を合わせ、店主はそれを熱心に見ながらメモをとっている。
「……テンシュ、そこ聞き間違いだぜ。今のは、こう発音したんだ」
ギースが店主の聞き取りの間違いを修正する。
店主はギースを見て一瞬小さく驚いた後、修正された通りに書き直す。
そのあと、彼らが来るまでの間に書いた文章をしきりに指し、ギースに尋ねるような顔を向ける。
「……単語的には問題はねぇな。何を言いたいか分かんねぇから文章的にはあってるかどうかは分かんねぇ。文法的には問題ねぇけど、細かいチェック伝えるの難しいな」
「……テンシュ、勉強熱心だよね。仕事してるときとおんなじ雰囲気」
「こっちの世界の住人になろうと頑張ってるんですよ。頭が下がる思いです」
ウィーナとミュールがその二人の様子を見て感心している。
病室のドアからノックの音が聞こえ、ゆっくりと開く。
「……テンシュ、本、買ってきたよ」
店主でも聞き取れるゆっくりとした声はニィナ。
店主の要望通りの本を買い、病室に戻って来た。しかし、ニィナはやや沈んだ表情をしている。
「あぁ、テンシュの世話をしてくれてたんですね。いろいろありがとうございます。俺達はテンシュにずっと世話に……」
「……やっぱりミュールじゃないか。何やっ……。いや、こんな時は、元気そうな顔見れて安心したって言うべきなんだろうね」
ワイアットの挨拶よりも、視線の先にいるミュールに反応するニィナ。その声が震えている。
「……姉さん……」
「「「「姉さん?!」」」」
ミュールが口にした言葉に、仲間達全員が驚いた。
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