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巨塊討伐編 第一章:「天美法具店」店主、未知の世界と遭遇
『天美法具店』の店主の後悔の始まり 8
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「や、やあおはよう、東雲さん、九条さん。今日もいい朝だね。ご苦労さん」
東雲要五は『天美法具店』従業員最古参。先々代の店長の時代に十代後半で従業員として働き、五十年ほど経つ。現店主も頼りにしている老いてますます盛んな好々爺、と言ったら年寄り呼ばわりするなと笑うだろうか。
外にいたもう一人の従業員は九条芙蓉という女性。店舗販売担当をずっとしてきた接客のエキスパート。マナーやモラルに少々厳しめな面はあるが、それが若手を引き締め、それが客からの信頼を得られる原動力になっている。
「社長……これ、何ですか?」
「宝石? じゃないな。ガラス……いや、やはり宝石ですか。通行人の邪魔にはならんでしょうが……ちょっと迷惑かもしれませんな。どこかからか盗まれたって言うニュースも聞きませんから犯罪に繋がる物ではないでしょうが……誰がやらかしたんです? こんなこと」
地震の揺れはほかの商店街の人には気づかれなかった。ならばそれがあった話をするより、自分も知らぬ存ぜぬで通した方が問題は少なくて済むだろうと考えた店長は、目が覚めてからそれがあったことに気付いたことにした。
「ひょっとして朝ご飯食べてないんじゃありませんか? 何か作って差し上げましょうか?」
「そ、そこまでしなくていいよ九条さん。ちょっとお言葉に甘えて何か腹に入れてきますよ」
営業時間は九時から。それに間に合えば問題ないことを二人から気を遣われる。
目一杯宝石を入れた段ボール箱とシャワールームの使用した跡は、彼らが姿を見せる前に完璧に片付けていた。
しかし東雲に指摘された盗難品である可能性は否定しきれず、心配事が残ったままになってしまった。
だがそれも自分の知らないことと押し通すしかない。
自動ドアがただのガラスではなくなった。それを調べればすぐ分かることだろうがそれも含めて知らない振りをするしかない。別の世界から来た者の仕業などと言って、誰がそれを信頼するだろうか。
従業員が次々と出勤してくる。全員がその塊に驚くが、勤務時間になると仕事には差し障りがないのか誰も話題に上げることがなくなった。
日中は普段と変わらない業務。営業活動や販売などに目を通し、巡回して従業員の勤務ぶりの様子を見る。
午後には宝石の加工作業に取り組む。
普段と変わらない一日になるはずだった。
その作業場の中で店主と一緒に作業しているのは、従業員の中で一番の若手の炭谷聖吾。
作業場の扉をノックする音に応対した炭谷。
「社長。来客だそうです。何か、昔の俺みたいだって言われたんでひょっとしたら……」
頭を掻きながら店主に来客の報告をする元コスプレイヤーの彼は、店主の加工技術に惚れこんで弟子入りしたという異色の従業員である。
「成り切った人ってことか。ここ、任せるぞ」
再び作業に入る炭谷を見て作業場を後にした。
「社長、初めて見る客です。仮装が趣味の人にしてはかなり本格的ですよ」
店主が店舗に入るなり、小声でそう告げて来た九条。
カウンターに目を向けると、店長は怒りの目を露わにした。
せっかく波風立たないように工夫してきた自分の努力が台無しになる行為。
閉店時間は午後六時。その三十分前にやって来たその客は今朝未明の招かれざる客、セレナ=ミッフィールであった。にこやかな顔で本日二度目の来店となる。
東雲要五は『天美法具店』従業員最古参。先々代の店長の時代に十代後半で従業員として働き、五十年ほど経つ。現店主も頼りにしている老いてますます盛んな好々爺、と言ったら年寄り呼ばわりするなと笑うだろうか。
外にいたもう一人の従業員は九条芙蓉という女性。店舗販売担当をずっとしてきた接客のエキスパート。マナーやモラルに少々厳しめな面はあるが、それが若手を引き締め、それが客からの信頼を得られる原動力になっている。
「社長……これ、何ですか?」
「宝石? じゃないな。ガラス……いや、やはり宝石ですか。通行人の邪魔にはならんでしょうが……ちょっと迷惑かもしれませんな。どこかからか盗まれたって言うニュースも聞きませんから犯罪に繋がる物ではないでしょうが……誰がやらかしたんです? こんなこと」
地震の揺れはほかの商店街の人には気づかれなかった。ならばそれがあった話をするより、自分も知らぬ存ぜぬで通した方が問題は少なくて済むだろうと考えた店長は、目が覚めてからそれがあったことに気付いたことにした。
「ひょっとして朝ご飯食べてないんじゃありませんか? 何か作って差し上げましょうか?」
「そ、そこまでしなくていいよ九条さん。ちょっとお言葉に甘えて何か腹に入れてきますよ」
営業時間は九時から。それに間に合えば問題ないことを二人から気を遣われる。
目一杯宝石を入れた段ボール箱とシャワールームの使用した跡は、彼らが姿を見せる前に完璧に片付けていた。
しかし東雲に指摘された盗難品である可能性は否定しきれず、心配事が残ったままになってしまった。
だがそれも自分の知らないことと押し通すしかない。
自動ドアがただのガラスではなくなった。それを調べればすぐ分かることだろうがそれも含めて知らない振りをするしかない。別の世界から来た者の仕業などと言って、誰がそれを信頼するだろうか。
従業員が次々と出勤してくる。全員がその塊に驚くが、勤務時間になると仕事には差し障りがないのか誰も話題に上げることがなくなった。
日中は普段と変わらない業務。営業活動や販売などに目を通し、巡回して従業員の勤務ぶりの様子を見る。
午後には宝石の加工作業に取り組む。
普段と変わらない一日になるはずだった。
その作業場の中で店主と一緒に作業しているのは、従業員の中で一番の若手の炭谷聖吾。
作業場の扉をノックする音に応対した炭谷。
「社長。来客だそうです。何か、昔の俺みたいだって言われたんでひょっとしたら……」
頭を掻きながら店主に来客の報告をする元コスプレイヤーの彼は、店主の加工技術に惚れこんで弟子入りしたという異色の従業員である。
「成り切った人ってことか。ここ、任せるぞ」
再び作業に入る炭谷を見て作業場を後にした。
「社長、初めて見る客です。仮装が趣味の人にしてはかなり本格的ですよ」
店主が店舗に入るなり、小声でそう告げて来た九条。
カウンターに目を向けると、店長は怒りの目を露わにした。
せっかく波風立たないように工夫してきた自分の努力が台無しになる行為。
閉店時間は午後六時。その三十分前にやって来たその客は今朝未明の招かれざる客、セレナ=ミッフィールであった。にこやかな顔で本日二度目の来店となる。
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