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巨塊討伐編 第一章:「天美法具店」店主、未知の世界と遭遇
トラブルは続く 4
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目が覚めた翌朝、まだ日が昇らない時間。
店主はセレナを無理矢理たたき起こす。
「じゃあ帰るからな。次来るのは明日だ。と言っても俺の時間だと向こうでも一日経たないと今日にならねぇから二日後ってことになるな。まぁお前にとっちゃ毎日顔を見ることには違ぇねえから心配するこっちゃねえよ。だからくれぐれも」
店主はそこで一旦言葉を止める。そして息を吸って全身に力を込める。
「こっちに、く・る・な」
大声でないにせよインパクトを十分与えられる声でそう告げると、ベッドから上半身を起こしたセレナを置き去りにして『天美法具店』に戻った。
セレナがラーメンを嫌々ながら食べ切り、異世界に転移する前の時間は九時を回る前。
店主はそれを確認している。
向こうの世界から戻る時間もその辺りのはず。そのつもりで戻って来た。
しかし時計の針は午後十一時を過ぎていた。
「二時間……経過している?! あ、いや、同じように時間が進むのも悪くはねぇが……時間が止まったり過ぎたりする現象が起きるってことは、従業員達にバレる心配がないという安心はできないってことだ……。ま、あの店はなきゃなくても、俺は生活していけるからいいけどな」
怪我をするような危険はない。しかし異世界にいる魅力が一つ減ってしまっては、いくら自分の思い通りの作業が評価されたり効果が大きい力を秘めている宝石が手に入るメリットがあっても、行方不明扱いにされたときにその理由が証明できないことで立場が悪くなるリスクは背負えない。
また来るというセレナと交わした口約束は、あっさりと店長から破ることになり、それがこの二日後の営業時間が終わった後、店主はセレナの来襲を再び受けてしまうことになった。
「来てくれないから来ちゃいました。文句は言わせません」
頬を膨らませながら文句を言うセレナ。しかし店主が迂闊に『法具店アマミ』に足を運べない理由も正当なものである。
「時間が経過してたんだよ。次にそっちに行って帰って来た時も同じようにこっちの時間が過ぎてたら、毎日行けるわけがないだろう。行けるとしたら休日くらいだ。でないと従業員達から総スカン食らっちまう」
「一時間……いや、三十分でいいから!」
そう言われながら店主は強引に引っ張られる。力比べならセレナの圧勝。
そんな短い時間で何が出来るという店主からの抗議もむなしく、『法具店アマミ』に連れ去られた。
「で、ここに来たのは今回で四回目だっけ? 三回中時間が経過したのは前回の一回だけ。店外に出たら時間が経過するということが考えられるんだけど」
「もうここには来なくていいという選択肢は」
「ありませんから」
セレナはそう答えたすぐ後に店主を引っ張って店外に連れ出す。
「▲□※◎◇×?☆」
セレナはなぜかニコニコ笑いながら無理矢理店主を引っ張り、『法具店アマミ』の前の通りを歩く。
目的地はその通り沿いの建物。
店主を中に入れると、今度は後ろから背中を押される。
その中に漂う匂いで、店主はそこが食堂であることを理解した。
ただ連れ回されているだけではなく、セレナに案内されていたことに気付く。
だからと言って安心できるわけではない。
口に合うかどうかわからないのだ。
いくら言葉が通じず、思いも伝わらない場所と言っても、食べ物を無駄にすることはこの世界でも同じではなかろうかと店主は不安になる。
椅子に座らせられた後は、セレナのなすがままにされる。注文はセレナが勝手に進めていく。
そして出てきた物は丼物。
言葉は分からないが、セレナが店主に向かって手のひらを出したこととその笑顔を「どうぞ召し上がってください」という気持ちの表れと理解し、テーブルの上に置かれてあるスプーン一つを手にして食べ始めた。
かつ丼に似た味に感じた店主は急いでかき込む。
口に合う。食感や咀嚼して飲み込んだ後の体具合にも違和感はない。
じっくり味わいたいのもやまやまだが、時間の経過も気になった。
急いで食べる店主を見てセレナは慌てる。店主は壁に掛けてある時計らしきものに指を差す。
顔をしかめながら、ゆっくり食事をするように伝えることを諦めた様子。
「お前は注文しなかったのか……って言っても通じねぇか。ご馳走様でした……っと」
両手を合わせて食後の挨拶をする。セレナは店主のその動きを見て首をかしげるが、同じようにマネをする。
一々身振り手振りを加えて説明をするのも面倒。店長は立ち上がって食堂の入り口を指さす。
意味が伝わったようで、セレナは勘定を払って食堂を出て急いで『法具店アマミ』に戻る。
「言葉が伝わらないってホントにめんどくさいね。こっちの言葉を」
「覚える気はない。外出時間は三十分ちと過ぎたな。これで『天美法具店』戻って同じくらい時間が過ぎたら」
「うん、店外の時間と同じってことになるわよね。その実験のつもりだったのよ。じゃ、行きましょ?」
またもセレナに強引に袖を引っ張られ、『天美法具店』に移動する。セレナも時間を確認したいらしい。
二人の予想通り、時間は三十分ほど経過していた。
「これで、店内にいる限りこっちでの時間は過ぎないってことよね。じゃあ明日、来てくれるわよね? いろんな道具とか装備品」
「あ、あぁ……それはいいが」
「じゃ、待ってるから。お休みなさーい」
セレナはそう言って『天美法具店』を去る。
彼女の口調が馴れ馴れしくなってきているのが気になった。気持ちに変化がなければ口調に変化は起きないはず。
「よそよそしくなる作用が働く道具って作れないものかな……」
店主は頭を振りながら就寝までの日常に戻った。
店主はセレナを無理矢理たたき起こす。
「じゃあ帰るからな。次来るのは明日だ。と言っても俺の時間だと向こうでも一日経たないと今日にならねぇから二日後ってことになるな。まぁお前にとっちゃ毎日顔を見ることには違ぇねえから心配するこっちゃねえよ。だからくれぐれも」
店主はそこで一旦言葉を止める。そして息を吸って全身に力を込める。
「こっちに、く・る・な」
大声でないにせよインパクトを十分与えられる声でそう告げると、ベッドから上半身を起こしたセレナを置き去りにして『天美法具店』に戻った。
セレナがラーメンを嫌々ながら食べ切り、異世界に転移する前の時間は九時を回る前。
店主はそれを確認している。
向こうの世界から戻る時間もその辺りのはず。そのつもりで戻って来た。
しかし時計の針は午後十一時を過ぎていた。
「二時間……経過している?! あ、いや、同じように時間が進むのも悪くはねぇが……時間が止まったり過ぎたりする現象が起きるってことは、従業員達にバレる心配がないという安心はできないってことだ……。ま、あの店はなきゃなくても、俺は生活していけるからいいけどな」
怪我をするような危険はない。しかし異世界にいる魅力が一つ減ってしまっては、いくら自分の思い通りの作業が評価されたり効果が大きい力を秘めている宝石が手に入るメリットがあっても、行方不明扱いにされたときにその理由が証明できないことで立場が悪くなるリスクは背負えない。
また来るというセレナと交わした口約束は、あっさりと店長から破ることになり、それがこの二日後の営業時間が終わった後、店主はセレナの来襲を再び受けてしまうことになった。
「来てくれないから来ちゃいました。文句は言わせません」
頬を膨らませながら文句を言うセレナ。しかし店主が迂闊に『法具店アマミ』に足を運べない理由も正当なものである。
「時間が経過してたんだよ。次にそっちに行って帰って来た時も同じようにこっちの時間が過ぎてたら、毎日行けるわけがないだろう。行けるとしたら休日くらいだ。でないと従業員達から総スカン食らっちまう」
「一時間……いや、三十分でいいから!」
そう言われながら店主は強引に引っ張られる。力比べならセレナの圧勝。
そんな短い時間で何が出来るという店主からの抗議もむなしく、『法具店アマミ』に連れ去られた。
「で、ここに来たのは今回で四回目だっけ? 三回中時間が経過したのは前回の一回だけ。店外に出たら時間が経過するということが考えられるんだけど」
「もうここには来なくていいという選択肢は」
「ありませんから」
セレナはそう答えたすぐ後に店主を引っ張って店外に連れ出す。
「▲□※◎◇×?☆」
セレナはなぜかニコニコ笑いながら無理矢理店主を引っ張り、『法具店アマミ』の前の通りを歩く。
目的地はその通り沿いの建物。
店主を中に入れると、今度は後ろから背中を押される。
その中に漂う匂いで、店主はそこが食堂であることを理解した。
ただ連れ回されているだけではなく、セレナに案内されていたことに気付く。
だからと言って安心できるわけではない。
口に合うかどうかわからないのだ。
いくら言葉が通じず、思いも伝わらない場所と言っても、食べ物を無駄にすることはこの世界でも同じではなかろうかと店主は不安になる。
椅子に座らせられた後は、セレナのなすがままにされる。注文はセレナが勝手に進めていく。
そして出てきた物は丼物。
言葉は分からないが、セレナが店主に向かって手のひらを出したこととその笑顔を「どうぞ召し上がってください」という気持ちの表れと理解し、テーブルの上に置かれてあるスプーン一つを手にして食べ始めた。
かつ丼に似た味に感じた店主は急いでかき込む。
口に合う。食感や咀嚼して飲み込んだ後の体具合にも違和感はない。
じっくり味わいたいのもやまやまだが、時間の経過も気になった。
急いで食べる店主を見てセレナは慌てる。店主は壁に掛けてある時計らしきものに指を差す。
顔をしかめながら、ゆっくり食事をするように伝えることを諦めた様子。
「お前は注文しなかったのか……って言っても通じねぇか。ご馳走様でした……っと」
両手を合わせて食後の挨拶をする。セレナは店主のその動きを見て首をかしげるが、同じようにマネをする。
一々身振り手振りを加えて説明をするのも面倒。店長は立ち上がって食堂の入り口を指さす。
意味が伝わったようで、セレナは勘定を払って食堂を出て急いで『法具店アマミ』に戻る。
「言葉が伝わらないってホントにめんどくさいね。こっちの言葉を」
「覚える気はない。外出時間は三十分ちと過ぎたな。これで『天美法具店』戻って同じくらい時間が過ぎたら」
「うん、店外の時間と同じってことになるわよね。その実験のつもりだったのよ。じゃ、行きましょ?」
またもセレナに強引に袖を引っ張られ、『天美法具店』に移動する。セレナも時間を確認したいらしい。
二人の予想通り、時間は三十分ほど経過していた。
「これで、店内にいる限りこっちでの時間は過ぎないってことよね。じゃあ明日、来てくれるわよね? いろんな道具とか装備品」
「あ、あぁ……それはいいが」
「じゃ、待ってるから。お休みなさーい」
セレナはそう言って『天美法具店』を去る。
彼女の口調が馴れ馴れしくなってきているのが気になった。気持ちに変化がなければ口調に変化は起きないはず。
「よそよそしくなる作用が働く道具って作れないものかな……」
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