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巨塊討伐編 第三章:セレナの役目、店主の役目
嵐の後で 2
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『ホットライン』のメンバーが店を出てからの店主の仕事は、店の戸締りの時間が来るまで『クロムハード』からの依頼の件のみ。
ウィーナとミールのバイトの仕事は掃除のみ。
この日、その後の来客はなかった。
セレナも帰宅して、いつも通り夕食の準備。
仕事はほとんどなかったということで二人はセレナに手伝う。
店主の仕事は昼食を抜いての作業だったが、客が来なかったことで誰からも作業の邪魔になるようなことはされず、ほぼ一日中作業に集中できていた。
「ということで、飯食ったら溶接作業頼む。五人分揃ってるから。双子には飯の後片付けの仕事してもらおうか。セレナの仕事の時間に関わることだからバイト代に関係してくるぞ」
店番が双子の仕事なのだが、そう言われたら断る理由がない。
二人の顔が明るくなる。
「ってことは、『ホットライン』の方は終わったんだ」
「あぁ。何の問題なく完成させた。問題があるとしたらあいつらが使ってくれるかどうかだな
「使ってくれますよ! だってみんな、あんなに喜んで店出て行ったんですから」
「多分鍛錬所に行ったんだね。模擬戦しに行ったんじゃないかな? まるで子供みたいだった」
子供っぽいミールからは言われたくはないだろうが、待ち遠しかった気持ちが手に取るように分かる行動を見れば、誰からもそう言われても仕方がない。
しかしセレナに報告しなければならないことは、そんな明るい話題ばかりでなはい。
「え……、そんなこと言われたの? 大丈夫だった?」
「私達は大丈夫だったんですが……」
「冒険者になる前から言われたことあったし。なってからも言われてたしね」
店主は、我関せずといった様子で晩ご飯を食べている。
「……テンシュ。テンシュから何か言うことは?」
セレナの言葉で、料理を夢中に食べていた店主は目だけをセレナに向ける。
そして何か言いたそうに少し顔を上げると、目一杯膨らんだ店主の頬がセレナの目に飛び込んできた。
「うん、何も言わなくていい。食べてていいから」
子供はここにもいたか、と返事を諦めるセレナ。食事を続ける店主。
セレナは改めてウィーナとミールを労い、心の底からの感謝を二人に伝える。
しかし二人の気持ちはすっきりしない。
「だって、お店はずっと続くでしょう? セレナさん達はあんなお客も相手しなきゃいけないのって……」
「だからキューリアさんと最初に会ったときあんなに怒ってたのか。どんな客を相手にしなきゃ分からないから。でもそうなると、またお客さん限定することになるよね?」
ミールが肩を落とす。
客を選ばない店にしたからこそ、『風刃隊』は新しい装備品を手に入れることが出来た。誰からも救いの手を伸ばしてもらえなかった彼らに光明をもたらした、この店の方針である。
しかしその方針は、必ずしも困った冒険者達に恩恵をもたらすものではあるが、店が何かの恩恵を得るためのものではない。
「バイト……続けるわけにいかないよねぇ」
「バカなこと言わないの! 斡旋所の依頼があなたたちに殺到するって言うならそっちを優先すべきだけど、生活費すら足りなくて困ってるって言うなら、店の戦力になってくれるならいつでも来なさい!」
二人を叱るセレナ。
そのありがたい言葉を聞いて、二人は涙ぐむ。
しかしそんな二人に店主が水を差す。空気を読まないところは流石である。
「自分が店に迷惑をかけてしまうからバイト辞めます。うん、思いやりだな。だがその思いやりを、俺がありがたく思うわけがない。当たり前だろ? お前らが来なくなったから嫌な客が来なくなるわけじゃねぇんだ。お前らがバイト辞めたからこの店が良くなるって、お前らどんだけこの店の支配者になってんだよ。道具作りできねぇくせに」
二人は黙る。
「ちょっとテンシュ!」
「うるせぇな。ちと黙れ、セレナ。いいか? お前らのこの店の貢献度っつったらほとんど何もねぇんだよ。生活に困るっつーからお前らでも出来る仕事を提供してんだぜ? それを自分がいなくなったらこの店が得をするなんて言い草しやがって、お前ら何様だよ? 思い上がってんじゃねぇよ。お前らがいなくなっても、お前らがバイトを始める前の店に戻るだけなんだよ。お前らがバイト始める前はこの店の存続が怪しいとか、迷惑な客は来てなかったなんて話はねぇんだよ。お前らにそんな影響力あってたまるかよ」
言葉に詰まる双子。
「いなくなったら、あるいは居続けたら店が迷惑する。うん、そう思うのはそっちの勝手だ。だがこっちにすれば、どう思おうが知ったこっちゃねぇ。バイトを続けるか、続けないかのどっちかだ。ここより実入りの良いバイト見つけたっつんならそっちに行く方が時間を無駄にしなくて済むし、バイトしなくても生活に困らないっつんなら本業やったらいいさ。俺はお前らを縛るつもりはないし、お前らにこの店を振り回されるつもりもねぇ」
「バイト……続けたい……」
「バイト、なくなったら困ります」
双子の意志を確認した店主は今後の予定を伝える。
「んじゃ明日も今日と同じ時間に来い。今度は『クロムハード』んとこに行って連れて来い。朝一でな。拠点の場所は聞いてあるから明日メモを渡す。それと……俺が言わなきゃならねぇ理由はねぇし、義理もねぇんだが特別情けかける意味で言ってやる」
ウィーナとミールのバイトの仕事は掃除のみ。
この日、その後の来客はなかった。
セレナも帰宅して、いつも通り夕食の準備。
仕事はほとんどなかったということで二人はセレナに手伝う。
店主の仕事は昼食を抜いての作業だったが、客が来なかったことで誰からも作業の邪魔になるようなことはされず、ほぼ一日中作業に集中できていた。
「ということで、飯食ったら溶接作業頼む。五人分揃ってるから。双子には飯の後片付けの仕事してもらおうか。セレナの仕事の時間に関わることだからバイト代に関係してくるぞ」
店番が双子の仕事なのだが、そう言われたら断る理由がない。
二人の顔が明るくなる。
「ってことは、『ホットライン』の方は終わったんだ」
「あぁ。何の問題なく完成させた。問題があるとしたらあいつらが使ってくれるかどうかだな
「使ってくれますよ! だってみんな、あんなに喜んで店出て行ったんですから」
「多分鍛錬所に行ったんだね。模擬戦しに行ったんじゃないかな? まるで子供みたいだった」
子供っぽいミールからは言われたくはないだろうが、待ち遠しかった気持ちが手に取るように分かる行動を見れば、誰からもそう言われても仕方がない。
しかしセレナに報告しなければならないことは、そんな明るい話題ばかりでなはい。
「え……、そんなこと言われたの? 大丈夫だった?」
「私達は大丈夫だったんですが……」
「冒険者になる前から言われたことあったし。なってからも言われてたしね」
店主は、我関せずといった様子で晩ご飯を食べている。
「……テンシュ。テンシュから何か言うことは?」
セレナの言葉で、料理を夢中に食べていた店主は目だけをセレナに向ける。
そして何か言いたそうに少し顔を上げると、目一杯膨らんだ店主の頬がセレナの目に飛び込んできた。
「うん、何も言わなくていい。食べてていいから」
子供はここにもいたか、と返事を諦めるセレナ。食事を続ける店主。
セレナは改めてウィーナとミールを労い、心の底からの感謝を二人に伝える。
しかし二人の気持ちはすっきりしない。
「だって、お店はずっと続くでしょう? セレナさん達はあんなお客も相手しなきゃいけないのって……」
「だからキューリアさんと最初に会ったときあんなに怒ってたのか。どんな客を相手にしなきゃ分からないから。でもそうなると、またお客さん限定することになるよね?」
ミールが肩を落とす。
客を選ばない店にしたからこそ、『風刃隊』は新しい装備品を手に入れることが出来た。誰からも救いの手を伸ばしてもらえなかった彼らに光明をもたらした、この店の方針である。
しかしその方針は、必ずしも困った冒険者達に恩恵をもたらすものではあるが、店が何かの恩恵を得るためのものではない。
「バイト……続けるわけにいかないよねぇ」
「バカなこと言わないの! 斡旋所の依頼があなたたちに殺到するって言うならそっちを優先すべきだけど、生活費すら足りなくて困ってるって言うなら、店の戦力になってくれるならいつでも来なさい!」
二人を叱るセレナ。
そのありがたい言葉を聞いて、二人は涙ぐむ。
しかしそんな二人に店主が水を差す。空気を読まないところは流石である。
「自分が店に迷惑をかけてしまうからバイト辞めます。うん、思いやりだな。だがその思いやりを、俺がありがたく思うわけがない。当たり前だろ? お前らが来なくなったから嫌な客が来なくなるわけじゃねぇんだ。お前らがバイト辞めたからこの店が良くなるって、お前らどんだけこの店の支配者になってんだよ。道具作りできねぇくせに」
二人は黙る。
「ちょっとテンシュ!」
「うるせぇな。ちと黙れ、セレナ。いいか? お前らのこの店の貢献度っつったらほとんど何もねぇんだよ。生活に困るっつーからお前らでも出来る仕事を提供してんだぜ? それを自分がいなくなったらこの店が得をするなんて言い草しやがって、お前ら何様だよ? 思い上がってんじゃねぇよ。お前らがいなくなっても、お前らがバイトを始める前の店に戻るだけなんだよ。お前らがバイト始める前はこの店の存続が怪しいとか、迷惑な客は来てなかったなんて話はねぇんだよ。お前らにそんな影響力あってたまるかよ」
言葉に詰まる双子。
「いなくなったら、あるいは居続けたら店が迷惑する。うん、そう思うのはそっちの勝手だ。だがこっちにすれば、どう思おうが知ったこっちゃねぇ。バイトを続けるか、続けないかのどっちかだ。ここより実入りの良いバイト見つけたっつんならそっちに行く方が時間を無駄にしなくて済むし、バイトしなくても生活に困らないっつんなら本業やったらいいさ。俺はお前らを縛るつもりはないし、お前らにこの店を振り回されるつもりもねぇ」
「バイト……続けたい……」
「バイト、なくなったら困ります」
双子の意志を確認した店主は今後の予定を伝える。
「んじゃ明日も今日と同じ時間に来い。今度は『クロムハード』んとこに行って連れて来い。朝一でな。拠点の場所は聞いてあるから明日メモを渡す。それと……俺が言わなきゃならねぇ理由はねぇし、義理もねぇんだが特別情けかける意味で言ってやる」
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