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巨塊討伐編 第五章:巨塊の終焉
店主のこの先 3
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「お、テンシュキターー!」
「テンシュさん! 待ってたよ!」
「テンシュさん、道具作ってほしいのがあるんですが……」
セレナ救出計画の時ほどの人数ではないが、店内に集まっている全員から店主を歓迎する声が上がる。もちろん見たことのない者達ばかり。
セレナ達の救出作戦の第一の功労者としてその評判は広まり、そのきっかけである宝石の力を見る能力と、その能力を利用して作る道具の効果も、店主の腕の評価を高める一役にもなった。
もちろん店主はそのことは知らない。店内の様子を目の当たりにして混乱と戸惑いの思いがさらに強まる店主。その声をかき分けてそんな店長とセレナに近づく一人の老人。
「待っておったよ。お主には感謝せんといかんな」
そう言い寄って来る老人に焦点が合った店主の心に、怒りと脅えの感情が同時に発生した。
考えてみれば『天美法具店』で感じた体の違和感は、セレナ達の救出計画が終了し、店主が店に戻ってからずっと感じていたもの。その原因はあの時に会った法王にある可能性が高い。
そして今目の前に現れた老人。あのときの法王を名乗った老人とは姿形は違う物の、感じる力は同じもの。
いろんな姿に変えれらることを思い出し背筋に寒気を感じるも、それでもウルヴェスに対する店長の怒りは消えることはない。
「みんな、ごめんね。ちょっとこの二人を連れて二階にいるから。用事ある人はちょっと待っててね」
セレナは店主とその老人を二階に上げた。
「……法王サマ、でいいよな?」
「ウルヴェスでも良いし、好きなように呼んで構わんよ。しかしよく見破れたの。流石テンシュ殿じゃ」
セレナは二階に上がった後、二人に椅子を勧める。
「まず先に一言言うておこう。ワシはお主に危害を加える気はないし、誰かにそんな指示も出さぬ。怯えんでよい」
店主は体を強張らせながらセレナを見る。セレナはいつもと変わらない様子。
しかし彼女はこの世界の住人。店主とは立場が違い、彼の命が失われても、この世界に何の損失もないし、そのことを彼も自覚している。
「……そうかい、そりゃありがとよ、クソジジィ。……俺の体に何かしただろ。何をした?」
店主はウルヴェスの声掛けを無視して、睨み付けながら問う。
「褒美を差し上げる、と言う話をしたはずじゃったがの。お忘れか?」
価値観が違う二つの世界の間で、褒美になるような物などあるはずがない。
とにかく縁を一刻も早く切りたくて、向こうから求める用件を終わらせられればそれっきりと思っていた店主。褒美の件はすっかり失念していた。
「俺にとっての褒美は、この世界と縁を切ることだ。俺の世界にない宝石も、俺の好きなように使える時間ももう十分だ。この世界と関わってたら、余計なトラブルが必ず付きまとう。差し引いたら俺にとって得することはほとんどねぇんだよ」
感情を抑え込み、とにかく相手がすぐに理解できるように分かりやすく話をすることが最優先。
店主はそう判断し、ウルヴェスへの説得を始める。しかしウルヴェスの提案は店主の想像を超えていた。
「ここにいるセレナ嬢は、お主にずっといてほしいと思うとるようじゃ。そしてワシも、できればこの世界を好いてもらいたいと思うておる。しかし難点はいくつもある。もしその難点が消えたら、ワシが消せたらどうかと思うてな」
有り得ない。
二つの世界が、いや、店主の世界はこの世界をすぐには受け入れることは出来ないだろう。
まず物理の法則が違う。店主の世界での現状では、世界のあちこちで燻っている諍いや争い事の戦火がさらに大きくすること間違いない。
「分かっとるよ、そちらの事情も。分かった上で解決できるとしたらどうか? と思うてな」
「回りくどい物言いは止めてもらおうか。俺に何かしたんだよな? 何をした」
「うむ。もちろん褒美のつもりでワシがお主の体に何かをした。それはな……」
「テンシュさん! 待ってたよ!」
「テンシュさん、道具作ってほしいのがあるんですが……」
セレナ救出計画の時ほどの人数ではないが、店内に集まっている全員から店主を歓迎する声が上がる。もちろん見たことのない者達ばかり。
セレナ達の救出作戦の第一の功労者としてその評判は広まり、そのきっかけである宝石の力を見る能力と、その能力を利用して作る道具の効果も、店主の腕の評価を高める一役にもなった。
もちろん店主はそのことは知らない。店内の様子を目の当たりにして混乱と戸惑いの思いがさらに強まる店主。その声をかき分けてそんな店長とセレナに近づく一人の老人。
「待っておったよ。お主には感謝せんといかんな」
そう言い寄って来る老人に焦点が合った店主の心に、怒りと脅えの感情が同時に発生した。
考えてみれば『天美法具店』で感じた体の違和感は、セレナ達の救出計画が終了し、店主が店に戻ってからずっと感じていたもの。その原因はあの時に会った法王にある可能性が高い。
そして今目の前に現れた老人。あのときの法王を名乗った老人とは姿形は違う物の、感じる力は同じもの。
いろんな姿に変えれらることを思い出し背筋に寒気を感じるも、それでもウルヴェスに対する店長の怒りは消えることはない。
「みんな、ごめんね。ちょっとこの二人を連れて二階にいるから。用事ある人はちょっと待っててね」
セレナは店主とその老人を二階に上げた。
「……法王サマ、でいいよな?」
「ウルヴェスでも良いし、好きなように呼んで構わんよ。しかしよく見破れたの。流石テンシュ殿じゃ」
セレナは二階に上がった後、二人に椅子を勧める。
「まず先に一言言うておこう。ワシはお主に危害を加える気はないし、誰かにそんな指示も出さぬ。怯えんでよい」
店主は体を強張らせながらセレナを見る。セレナはいつもと変わらない様子。
しかし彼女はこの世界の住人。店主とは立場が違い、彼の命が失われても、この世界に何の損失もないし、そのことを彼も自覚している。
「……そうかい、そりゃありがとよ、クソジジィ。……俺の体に何かしただろ。何をした?」
店主はウルヴェスの声掛けを無視して、睨み付けながら問う。
「褒美を差し上げる、と言う話をしたはずじゃったがの。お忘れか?」
価値観が違う二つの世界の間で、褒美になるような物などあるはずがない。
とにかく縁を一刻も早く切りたくて、向こうから求める用件を終わらせられればそれっきりと思っていた店主。褒美の件はすっかり失念していた。
「俺にとっての褒美は、この世界と縁を切ることだ。俺の世界にない宝石も、俺の好きなように使える時間ももう十分だ。この世界と関わってたら、余計なトラブルが必ず付きまとう。差し引いたら俺にとって得することはほとんどねぇんだよ」
感情を抑え込み、とにかく相手がすぐに理解できるように分かりやすく話をすることが最優先。
店主はそう判断し、ウルヴェスへの説得を始める。しかしウルヴェスの提案は店主の想像を超えていた。
「ここにいるセレナ嬢は、お主にずっといてほしいと思うとるようじゃ。そしてワシも、できればこの世界を好いてもらいたいと思うておる。しかし難点はいくつもある。もしその難点が消えたら、ワシが消せたらどうかと思うてな」
有り得ない。
二つの世界が、いや、店主の世界はこの世界をすぐには受け入れることは出来ないだろう。
まず物理の法則が違う。店主の世界での現状では、世界のあちこちで燻っている諍いや争い事の戦火がさらに大きくすること間違いない。
「分かっとるよ、そちらの事情も。分かった上で解決できるとしたらどうか? と思うてな」
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