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法王依頼編 第六章:異世界にも日本文化の対戦競技があるらしい
店主、セレナと異世界の温泉に行く が、法王のジジィもそこにいるとは
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「ウルヴェス猊下、何といいますかその……」
「ジジィで十分じゃよ、セレナ嬢。このテンシュ殿にそう呼ばれたわ。わはは」
温泉からあがり、更衣室の前のロビーでくつろいでいる店主とウルヴェス。
女性更衣室から出てきたセレナは、予想もしなかった人物を目にして固まっている。
すぐさま、温泉で温まった全身から冷汗を感じるセレナ。
「テ……テンシュ……あなた……」
「んぁ? なんだよ」
店主は気の抜けた返事をする。
セレナの全身もかすかに震えているのはウルヴェスへの畏敬の思いゆえばかりではない。
法王の前での店主の態度がセレナに怒りの感情を誘発させている。
「鼻毛抜いてる場合じゃないでしょう!」
「うわはははは」
そんな二人のやり取りに、ウルヴェスは堪えきれず爆笑した。
「そ、それで何のご用でしょう? さ、流石に訪問されるたびにお姿を変えられては、誰からも知られることはないと思いますが……」
様々な種族が共に生活している村。そして本当の姿をいまだ衆目にさらしたことのないウルヴェス。
天流法国の法王とは誰も夢にも思わない入浴客たちは、その老人を法王とも知らずゆったりとしたひと時をともに過ごしていたということになる。
温泉から出てセレナと合流した時の彼女の驚きぶりの方が異様であった。
逆にそのことで老人が法王と知られてしまう可能性が高くなってしまい、急いで予約していた部屋に三人で入室となった。
「ふ、襖? 中は……和室? だよな、この部屋……。襖に畳……のようで、畳とは素材が違うが……」
日本にいた時にはよく目にしていた襖。見なかった日はない畳。
それを前にして、今度は店主が固まっている。
もう見ることはないと思っていた物の数々が目の前で展開されている。
「天流……いや、オルデン王国時代からの文化の一つじゃよ」
「この国の文化だと?! ……日本と文化交流でもあったとでも言うのか?! 床の間まであるし……一致するにも程があるっ……!」
店主はこの世界の住人になったとは言え、だからと言ってあちこちに外出や旅行をするわけでもなく、やっていることは巨塊事件に関わってた頃とそんなに変わらない。
住人になって二十年。改めて、この世界のことはまだ何も知らなかったことを実感する店主。元々無関心ではあったわけだが。
「部屋の様子がどうこう言ってる場合じゃないでしょう! な……何で猊下はここにいらっしゃるんですか……?」
「セレナ嬢も意外と器が小さいかの?」
「げ、猊下が気軽すぎるんですっ! テンシュもテンシュよ! 部屋がどうので驚いてる場合じゃないでしょう!」
店主とセレナは気の動転が止まらない。
ウルヴェスがなだめようとするが状況は一向に変わらず、このままでは用件を済ませられない彼は、やむを得ず誰にも気づかれないように魔法を使う。
セレナの慌てぶりの原因はウルヴェスその人。店主に比べてその効果はやや薄いが、それでも何とかその場の空気は平常に治まった。
「何か気持ちが急に落ち着いたが……ジジィ、何かやらかしただろ。深呼吸とかして俺も落ち着こうと思ったけど、それだけじゃこんなに気持ちが穏やかになんねぇよ。町中でそんなことしていいのか?」
本来であれば町中で、魔物討伐などに使う武術魔術を使用することは禁じられている。
しかし現時点では、国内では誰も敵わないほどの魔力を持つ魔導師でもある。
誰にも気づかれないまま術を使用するのはお手の物。だがウルヴェスが自分達に何かをしたと気付いたのは、流石力の判別が出来る店主である。
「ほほ、バレなきゃ犯罪じゃないのじゃぞ?」
「そこは、俺がルールだくらい言えるんじゃねぇのか? 使える権力無駄にポイ捨てしてんじゃねぇよ」
二人の会話を聞いて、セレナの心の内にまた波風が訪れようとしている。その顔色は、青くなったり赤くなったりと目まぐるしく変化する。
「ジジィで十分じゃよ、セレナ嬢。このテンシュ殿にそう呼ばれたわ。わはは」
温泉からあがり、更衣室の前のロビーでくつろいでいる店主とウルヴェス。
女性更衣室から出てきたセレナは、予想もしなかった人物を目にして固まっている。
すぐさま、温泉で温まった全身から冷汗を感じるセレナ。
「テ……テンシュ……あなた……」
「んぁ? なんだよ」
店主は気の抜けた返事をする。
セレナの全身もかすかに震えているのはウルヴェスへの畏敬の思いゆえばかりではない。
法王の前での店主の態度がセレナに怒りの感情を誘発させている。
「鼻毛抜いてる場合じゃないでしょう!」
「うわはははは」
そんな二人のやり取りに、ウルヴェスは堪えきれず爆笑した。
「そ、それで何のご用でしょう? さ、流石に訪問されるたびにお姿を変えられては、誰からも知られることはないと思いますが……」
様々な種族が共に生活している村。そして本当の姿をいまだ衆目にさらしたことのないウルヴェス。
天流法国の法王とは誰も夢にも思わない入浴客たちは、その老人を法王とも知らずゆったりとしたひと時をともに過ごしていたということになる。
温泉から出てセレナと合流した時の彼女の驚きぶりの方が異様であった。
逆にそのことで老人が法王と知られてしまう可能性が高くなってしまい、急いで予約していた部屋に三人で入室となった。
「ふ、襖? 中は……和室? だよな、この部屋……。襖に畳……のようで、畳とは素材が違うが……」
日本にいた時にはよく目にしていた襖。見なかった日はない畳。
それを前にして、今度は店主が固まっている。
もう見ることはないと思っていた物の数々が目の前で展開されている。
「天流……いや、オルデン王国時代からの文化の一つじゃよ」
「この国の文化だと?! ……日本と文化交流でもあったとでも言うのか?! 床の間まであるし……一致するにも程があるっ……!」
店主はこの世界の住人になったとは言え、だからと言ってあちこちに外出や旅行をするわけでもなく、やっていることは巨塊事件に関わってた頃とそんなに変わらない。
住人になって二十年。改めて、この世界のことはまだ何も知らなかったことを実感する店主。元々無関心ではあったわけだが。
「部屋の様子がどうこう言ってる場合じゃないでしょう! な……何で猊下はここにいらっしゃるんですか……?」
「セレナ嬢も意外と器が小さいかの?」
「げ、猊下が気軽すぎるんですっ! テンシュもテンシュよ! 部屋がどうので驚いてる場合じゃないでしょう!」
店主とセレナは気の動転が止まらない。
ウルヴェスがなだめようとするが状況は一向に変わらず、このままでは用件を済ませられない彼は、やむを得ず誰にも気づかれないように魔法を使う。
セレナの慌てぶりの原因はウルヴェスその人。店主に比べてその効果はやや薄いが、それでも何とかその場の空気は平常に治まった。
「何か気持ちが急に落ち着いたが……ジジィ、何かやらかしただろ。深呼吸とかして俺も落ち着こうと思ったけど、それだけじゃこんなに気持ちが穏やかになんねぇよ。町中でそんなことしていいのか?」
本来であれば町中で、魔物討伐などに使う武術魔術を使用することは禁じられている。
しかし現時点では、国内では誰も敵わないほどの魔力を持つ魔導師でもある。
誰にも気づかれないまま術を使用するのはお手の物。だがウルヴェスが自分達に何かをしたと気付いたのは、流石力の判別が出来る店主である。
「ほほ、バレなきゃ犯罪じゃないのじゃぞ?」
「そこは、俺がルールだくらい言えるんじゃねぇのか? 使える権力無駄にポイ捨てしてんじゃねぇよ」
二人の会話を聞いて、セレナの心の内にまた波風が訪れようとしている。その顔色は、青くなったり赤くなったりと目まぐるしく変化する。
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