150 / 290
法王依頼編 第六章:異世界にも日本文化の対戦競技があるらしい
法王のジジィが日本文化の道具作製を依頼した先は宝石職人 4
しおりを挟む
店主は改めてその道具を見る。
いくつかのパーツに分けて作り上げるやり方なら、そんなに時間はかからない。
しかし一塊の石から完成させるとなると、時間がかかるのはその素材である。
巨塊が活発に動いていた頃は、力のある石も数多くあっただろう。
それが今では住民達にとって有り難いことに、すっかり地中深い場所で大人しくなってしまっている。
そして討伐の攻略のために作られたトンネルは、装備品の素材集めのための巨塊の残骸を採掘によりどんどん広がっていく。今では力のある大きな宝石の塊が見つかることはほとんどない。
碁盤の寸法をざっと見た。
縦五十センチ、横四十五センチ。厚さが十五センチ。床、つまり畳からてっぺんまでは、足が大体十二センチくらいとみて二十七センチ。
それ以上の大きな宝石の塊さえあれば十分作れるはずである。
しかし、色の問題がある。ガラスや『天美法具店』の前にあるトルマリンのような無色透明の盤では、目が疲れやすいのではないだろうか? 木の色彩だからこそ目に優しいのではないだろうか。
そもそもそんな宝石の塊はまだ採れるのだろうか。
あれこれと思案する店主。
「この仕事、難しいのならワシから取り下げてもいいのじゃが……」
ウルヴェスの口調は、店主に対して諦めの気持ちではなく、無理をさせるには忍びないという思いに満ちたもの。
店主はウルヴェスを見た。
この老人がこの国にどれほどの思いをもっているのだろうか。
そんなことにも頭を巡らす。
ウルヴェスとて、ただ娯楽に力を入れるだけということではないはず。
この競技を通じて人材登用しようと考えていると言った。
二度の巨塊討伐失敗による軍事力低下。作物の不作や地震の被害による住民達の疲弊。
おそらくくたびれている天流法国を建て直そうと頑張っている。
自分の力を住民に分け与えることは出来るだろう。だが建て直す意志がウルヴェス同様、住民達にもなければ、分け与える力は浪費されるばかり。
娯楽にも力を入れることで、国民に自分達も共に立ち上がる力を養うつもりでいるのだ。
そんな気概のある人物から依頼を要請されたのだ。
店主は、断る決断は決して下すべきではないと考えた。
自身は、宝石の力を知り宝石の価値を高める仕事をしている。
ウルヴェスは、国の力を知り国の価値を高めようとしている。
方向性は違っても、やろうとしていることが同じなのだ。
「ジジィ、あんたからの依頼、受ける」
「テンシュ……大丈夫なの? 冒険者達からたくさん依頼あるけど、待たせることに」
セレナは心配そうに店主を見る。
店主の視線はウルヴェスから離れない。
「人がいい性格。そう嗤ってもらって構わんぜ。手のひらで踊ってる。そう思ってもらっても構わねぇ。このジジィからの依頼を最優先にする」
「店は客からの信頼が大事って話を以前テンシュから……」
「気難しい気まぐれ店主。そう思われてんだろ? いいよそれで。後回しにしなきゃならん理由はあるさ。だが疑わしい事実が一つある。国主杯なるものが国民に知れ渡っているかどうか。一部の国民にしか知られてないとすりゃ、ちょっとヤバい橋渡ことになるが」
「それはないよ。七大賞自体国中に知られてるから」
「俺は初めて知ったぞ。お前は何で知ってた?」
「あ、うん……放映機、買っとくの忘れてた……」
「放映機? 何だそれ?」
いくつかのパーツに分けて作り上げるやり方なら、そんなに時間はかからない。
しかし一塊の石から完成させるとなると、時間がかかるのはその素材である。
巨塊が活発に動いていた頃は、力のある石も数多くあっただろう。
それが今では住民達にとって有り難いことに、すっかり地中深い場所で大人しくなってしまっている。
そして討伐の攻略のために作られたトンネルは、装備品の素材集めのための巨塊の残骸を採掘によりどんどん広がっていく。今では力のある大きな宝石の塊が見つかることはほとんどない。
碁盤の寸法をざっと見た。
縦五十センチ、横四十五センチ。厚さが十五センチ。床、つまり畳からてっぺんまでは、足が大体十二センチくらいとみて二十七センチ。
それ以上の大きな宝石の塊さえあれば十分作れるはずである。
しかし、色の問題がある。ガラスや『天美法具店』の前にあるトルマリンのような無色透明の盤では、目が疲れやすいのではないだろうか? 木の色彩だからこそ目に優しいのではないだろうか。
そもそもそんな宝石の塊はまだ採れるのだろうか。
あれこれと思案する店主。
「この仕事、難しいのならワシから取り下げてもいいのじゃが……」
ウルヴェスの口調は、店主に対して諦めの気持ちではなく、無理をさせるには忍びないという思いに満ちたもの。
店主はウルヴェスを見た。
この老人がこの国にどれほどの思いをもっているのだろうか。
そんなことにも頭を巡らす。
ウルヴェスとて、ただ娯楽に力を入れるだけということではないはず。
この競技を通じて人材登用しようと考えていると言った。
二度の巨塊討伐失敗による軍事力低下。作物の不作や地震の被害による住民達の疲弊。
おそらくくたびれている天流法国を建て直そうと頑張っている。
自分の力を住民に分け与えることは出来るだろう。だが建て直す意志がウルヴェス同様、住民達にもなければ、分け与える力は浪費されるばかり。
娯楽にも力を入れることで、国民に自分達も共に立ち上がる力を養うつもりでいるのだ。
そんな気概のある人物から依頼を要請されたのだ。
店主は、断る決断は決して下すべきではないと考えた。
自身は、宝石の力を知り宝石の価値を高める仕事をしている。
ウルヴェスは、国の力を知り国の価値を高めようとしている。
方向性は違っても、やろうとしていることが同じなのだ。
「ジジィ、あんたからの依頼、受ける」
「テンシュ……大丈夫なの? 冒険者達からたくさん依頼あるけど、待たせることに」
セレナは心配そうに店主を見る。
店主の視線はウルヴェスから離れない。
「人がいい性格。そう嗤ってもらって構わんぜ。手のひらで踊ってる。そう思ってもらっても構わねぇ。このジジィからの依頼を最優先にする」
「店は客からの信頼が大事って話を以前テンシュから……」
「気難しい気まぐれ店主。そう思われてんだろ? いいよそれで。後回しにしなきゃならん理由はあるさ。だが疑わしい事実が一つある。国主杯なるものが国民に知れ渡っているかどうか。一部の国民にしか知られてないとすりゃ、ちょっとヤバい橋渡ことになるが」
「それはないよ。七大賞自体国中に知られてるから」
「俺は初めて知ったぞ。お前は何で知ってた?」
「あ、うん……放映機、買っとくの忘れてた……」
「放映機? 何だそれ?」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~
黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」
女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。
この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。
『勇者道化師ベルキッド、追放される』
『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる