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法王依頼編 第七章 製作開始
作るのは碁盤と碁石 1
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法王からの依頼を受けた店主は、その品物を作るに際し法王自身や皇居所有の物を使うことでその価値が高まると判断。
それを了承した法王が用意してくれた素材を選び、店主は『法具店アマミ』に持ち帰る。
ついでに頼んだ国章の資料は翌朝の開店前に、法王ウルヴェスから託された、店主と顔を合わせたことのある国の役人イヨンダが届けに来た。
製作を完了させるために必要な物は、法王側から調達する物はすべて揃った。
「ルーレットじゃなくて、ルレットだったんだね。似た言葉があったから間違えてた」
大丈夫かこいつ?
と、不安そうな目でセレナを見る店主。
「いや、取り返しのつかない失敗はしないから。あとは『ウルシ』だっけ? 調べれば調べるほど便利そうだけど、こっちにもそれに負けない材料はあるから。そこんとこは心配無用! ヴェーダーンっていう樹木から出る液体。いったん乾けば、どんな気温だろうと室温だろうと溶けだしたりひび割れたりしないよ」
碁盤を作るために必要と思われる道具も一通り準備する。
国章の資料として、紙にプリントされた国章の絵柄ばかりではなく、そのモデルとなった国の花、イヨンダによればホウロンという花らしいが、その植木鉢もセレナに用意させた。
「さて、どれくらい期間がかかるか分からん。ひょっとしたら一月しないうちに終わるかもしれんが……」
店主は『法具店アマミ』の今後の方針について話しだす。
これまで『法具店アマミ』が受けた依頼はすべて後回し。
まずはウルヴェスからの依頼を先に達成させること。
しかし買い物客もいる。そして収入などの問題も生じるわけで、やはり売り上げはあった方がいい。
巨塊事件前は閑古鳥が喚いてうるさいほどの閑静ぶり。
それが事件の後に、ウルヴェス自ら『法具店アマミ』の店主が事件解決のキーパーソンだったなどと言ったとか言わないとか。
それがきっかけとなったようで、買い物客は依頼客よりも少ないが、それでも店ではそれを境に来客が途切れることはなかった。
売り物は在庫もあるので、店仕舞いするわけにもいかない。
それはセレナが応対することで、経営の難局を乗り越えることにする。
「でもさ、碁盤も辞書で見たけど、碁盤の足、あんなデザイン作れるの?」
「あのなぁ……俺は道具屋じゃなくて宝石職人だってこと忘れたか? 道具に形の良い宝石組み込むのが本業じゃないんだぜ?」
宝石を見栄えのいい形にする。
上下左右あらゆる角度からバランスの良いデザインの形に整える。
店主の本領が発揮される作業である。
もっとも碁盤のような大きい宝石の塊に細工するのは滅多にないし、宝石に鋭角をつけるなどという作業もしたことはない。しかし腕に覚えのある店主は、その自信に揺らぎはない。必ずやり遂げることが出来る。そう確信している。
「まずは……俺に話しかけてきそうな客が来たら、セレナは絶対阻止すること。いいよな? 出来ねぇとは言わせねえぞ? あの小男の件もある。問答無用で魔法をぶっ放して店に損害が出ても構わん」
「流石に店に損害は……」
「権力を笠に着て好き放題注文付ける奴かと思いきや、己の身を犠牲にしてことを為そうとする奴だ。その思いに応えるのが職人気質ってやつだよ」
「必要なら、法王から依頼を受けたって説明しても……いいよね?」
「構わねぇ。それでも我が物顔で好き放題やらかす奴がいるなら命吹き飛ばしたって構やしねぇ」
「おはよー。テンシュいるー?」
「殺せぇ!」
この日の最初の客は『風刃隊』。一人目はギースだった。
彼の姿を見て即座にこの店主の反応である。
「な、何?! 俺、何かやらかした?!」
「ちょっとテンシュ! 流石にいきなりはダメでしょ! ご、ごめんねみんな」
過激な反応に慄くギース。
慌てて抑えるセレナ。
事情が分からず怯える他のメンバー。
セレナの説明を聞いて、安心するやら驚くやらの五人。
「マジか……。テンシュ、つくづくすげぇな」
「そんな人の店で、私たちバイトしてたんだね……」
「尊敬どころじゃないよね、お姉ちゃん……」
何とか説明が通じ、その重要さに改めて感嘆の思いが止まらない『風刃隊』。
「でも、説明する必要のない人もいますよね? 一見さんの客とか」
「俺らもしばらく休養するつもりだから、セレナさんの手伝いするか。腕は立つけど一人きりだもんな。何かの役に立つかもしれないし」
リーダーのワイアットからの提案を受け入れるセレナ。同意するメンバー。
そんな彼らのやり取りは、すでに店主の五感には入らない。
既に三つほど碁盤の外側は完成した。
それを了承した法王が用意してくれた素材を選び、店主は『法具店アマミ』に持ち帰る。
ついでに頼んだ国章の資料は翌朝の開店前に、法王ウルヴェスから託された、店主と顔を合わせたことのある国の役人イヨンダが届けに来た。
製作を完了させるために必要な物は、法王側から調達する物はすべて揃った。
「ルーレットじゃなくて、ルレットだったんだね。似た言葉があったから間違えてた」
大丈夫かこいつ?
と、不安そうな目でセレナを見る店主。
「いや、取り返しのつかない失敗はしないから。あとは『ウルシ』だっけ? 調べれば調べるほど便利そうだけど、こっちにもそれに負けない材料はあるから。そこんとこは心配無用! ヴェーダーンっていう樹木から出る液体。いったん乾けば、どんな気温だろうと室温だろうと溶けだしたりひび割れたりしないよ」
碁盤を作るために必要と思われる道具も一通り準備する。
国章の資料として、紙にプリントされた国章の絵柄ばかりではなく、そのモデルとなった国の花、イヨンダによればホウロンという花らしいが、その植木鉢もセレナに用意させた。
「さて、どれくらい期間がかかるか分からん。ひょっとしたら一月しないうちに終わるかもしれんが……」
店主は『法具店アマミ』の今後の方針について話しだす。
これまで『法具店アマミ』が受けた依頼はすべて後回し。
まずはウルヴェスからの依頼を先に達成させること。
しかし買い物客もいる。そして収入などの問題も生じるわけで、やはり売り上げはあった方がいい。
巨塊事件前は閑古鳥が喚いてうるさいほどの閑静ぶり。
それが事件の後に、ウルヴェス自ら『法具店アマミ』の店主が事件解決のキーパーソンだったなどと言ったとか言わないとか。
それがきっかけとなったようで、買い物客は依頼客よりも少ないが、それでも店ではそれを境に来客が途切れることはなかった。
売り物は在庫もあるので、店仕舞いするわけにもいかない。
それはセレナが応対することで、経営の難局を乗り越えることにする。
「でもさ、碁盤も辞書で見たけど、碁盤の足、あんなデザイン作れるの?」
「あのなぁ……俺は道具屋じゃなくて宝石職人だってこと忘れたか? 道具に形の良い宝石組み込むのが本業じゃないんだぜ?」
宝石を見栄えのいい形にする。
上下左右あらゆる角度からバランスの良いデザインの形に整える。
店主の本領が発揮される作業である。
もっとも碁盤のような大きい宝石の塊に細工するのは滅多にないし、宝石に鋭角をつけるなどという作業もしたことはない。しかし腕に覚えのある店主は、その自信に揺らぎはない。必ずやり遂げることが出来る。そう確信している。
「まずは……俺に話しかけてきそうな客が来たら、セレナは絶対阻止すること。いいよな? 出来ねぇとは言わせねえぞ? あの小男の件もある。問答無用で魔法をぶっ放して店に損害が出ても構わん」
「流石に店に損害は……」
「権力を笠に着て好き放題注文付ける奴かと思いきや、己の身を犠牲にしてことを為そうとする奴だ。その思いに応えるのが職人気質ってやつだよ」
「必要なら、法王から依頼を受けたって説明しても……いいよね?」
「構わねぇ。それでも我が物顔で好き放題やらかす奴がいるなら命吹き飛ばしたって構やしねぇ」
「おはよー。テンシュいるー?」
「殺せぇ!」
この日の最初の客は『風刃隊』。一人目はギースだった。
彼の姿を見て即座にこの店主の反応である。
「な、何?! 俺、何かやらかした?!」
「ちょっとテンシュ! 流石にいきなりはダメでしょ! ご、ごめんねみんな」
過激な反応に慄くギース。
慌てて抑えるセレナ。
事情が分からず怯える他のメンバー。
セレナの説明を聞いて、安心するやら驚くやらの五人。
「マジか……。テンシュ、つくづくすげぇな」
「そんな人の店で、私たちバイトしてたんだね……」
「尊敬どころじゃないよね、お姉ちゃん……」
何とか説明が通じ、その重要さに改めて感嘆の思いが止まらない『風刃隊』。
「でも、説明する必要のない人もいますよね? 一見さんの客とか」
「俺らもしばらく休養するつもりだから、セレナさんの手伝いするか。腕は立つけど一人きりだもんな。何かの役に立つかもしれないし」
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既に三つほど碁盤の外側は完成した。
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