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法王依頼編 第七章 製作開始
献品紛失 碁盤はいずこ 1
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かなり早い時間に店主が布団に入る。
布団に入ると間もなく聞こえてくる店主の寝息。信じられないほど寝付きがいいが、寝付かないときは仕事を続けている店主。眠くなるとどんな時間でも仕事の手は止める。そして布団だろうが椅子に座ったままだろうが、眠くなったらすぐに眠る。
それが時々セレナを呆れさせるが、寝不足になることはないしそれで体調を崩すことはない。
作業中に周りで騒がれると作業を中断してしまう店主だが、比較的寝つきがいいせいか眠っている間多少騒いでも眠りの邪魔になる事はないようで、セレナとシエラは何やら女子トークで花を咲かせる。
しかしその時間も長くない。
一人ずつ浴室に入り、就寝。
珍しく一日中降る雨の音は穏やかになっていく。
予告通り店主はまだ日が昇る前に目が覚める。
「……起きるか。こいつらはまだ寝てるからここで本読むわけにもいかねぇしな」
壁の時計は四時を回っている。
いくら無関心で他の者はどうでもいいと思っていても、流石に睡眠時間の邪魔はしない。
なるべく音を立てず振動も起こさず静かにベッドの上から降りる。
この時間に出来る作業を考える。
まずは碁石を一組用意。そのために必要なその原型となる宝石の玉をくり抜く作業。それを終えなければ次の段階に入れない。
理想は千個以上の碁石の作成完了。しかしそれはいつ終わるか分からない。それでも早めに始めれば早めに終わる。
そしていつでも取り組めるその作業は、時間の隙間を見つけては進めていかないと、今のところ間に合うかどうかは分からない。
だからこそ、最低限一組の碁盤と碁石を用意しなければならない。
作業場に向かうため、静かに階段まで足を進める。
ふと立ち止まる。
まだ暗い二階。しかし物陰ならば判別できる。
その物陰を見ただけでも感じる違和感。
店主は立ち止まって辺りを見る。
あるはずの物がない。
まるで床下から出る音を聞くように耳を床に押し付ける。しかし意識は水平に向いている視線。
ない。
線引きをしたはずの碁盤がない。
余計な気を利かせて下に持っていったか?
そう思った店主は下に下りて、二階にも照明は届くだろうが眠りの妨げにはならないはずと判断し、一階の照明をすべて点ける。
作業机の上には最初に作業を一区切りつかせた、昨日そこに置いたままの外観だけ完成された碁盤が一基。
碁石の原型は容器に入ったまま。
二階に置きっぱなしの碁盤をどこかに移動させたのかと、一階の床の上を見て歩く。
「そう言えば掃除はしてなかったか。食堂のやつの足跡がそのままかよ」
出口までゆっくりと移動しながら周辺を探すが、床の上にはないどこにもない。
作業机まで戻りながら探すがやはり見つからない。
二階に上がる。
一階からの照明で仄かに階段付近が照らされる。
見つからない。
何かの上に置かれているのだとしたら、二階の照明を点ける必要がある。
しかしセレナとシエラの睡眠の邪魔になってしまう。
「うん、ジジィの依頼の方が重要だ。こいつらは……すごくどうでもいい」
その一言と同時に二階の照明をすべて点ける。
少し時間が経って、二人からうめき声が出る。
「ん……んん……。誰よ……。……テンシュ……? どうしたの……?」
カーテン越しでも明るさを感じたらしい。
セレナがカーテンを開けて顔を出す。
その声も耳に入ったのか、シエラも上半身を起こす。
「……んー……。何ぃ? ……何かあったぁ?」
店主は二人の反応はお構いなし。
あらゆる場所に目を配る。
しかしどこに見当たらない。
「お前ら、俺が寝ている間、碁盤どこにやった?」
「「知らないよ?」」
二人揃って同じ答え。
「……知らない。つまり触ってないと?」
「碁盤、どうしたの? ……動かした? 昨日私達寝る前もそこにあったのに……?」
セレナが答える。シエラは頷く。
それを聞いた店主は走って下に下りていく。
「ちょっと、どうしたの、テンシュ!」
「テンシュさん? 何かあったんですか?」
駆け下りて出口に向かった店主はそのまま扉に向かう。
扉を開けようとする。当然開かない。
施錠されたまま。
追いかけて来る二人。シエラはセレナから借りた寝巻の姿。しかし二人は今の自分の恰好を気にするどころではない。
「どうしたの? テンシュ」
「テンシュさん、何か起こったんですか?」
この二人が何も触っていなければ。
店主は頭の中を落ち着かせて考える。
そして振り返り、二人に告げる。
「碁盤が、盗まれた」
二人の顔が青ざめた。
布団に入ると間もなく聞こえてくる店主の寝息。信じられないほど寝付きがいいが、寝付かないときは仕事を続けている店主。眠くなるとどんな時間でも仕事の手は止める。そして布団だろうが椅子に座ったままだろうが、眠くなったらすぐに眠る。
それが時々セレナを呆れさせるが、寝不足になることはないしそれで体調を崩すことはない。
作業中に周りで騒がれると作業を中断してしまう店主だが、比較的寝つきがいいせいか眠っている間多少騒いでも眠りの邪魔になる事はないようで、セレナとシエラは何やら女子トークで花を咲かせる。
しかしその時間も長くない。
一人ずつ浴室に入り、就寝。
珍しく一日中降る雨の音は穏やかになっていく。
予告通り店主はまだ日が昇る前に目が覚める。
「……起きるか。こいつらはまだ寝てるからここで本読むわけにもいかねぇしな」
壁の時計は四時を回っている。
いくら無関心で他の者はどうでもいいと思っていても、流石に睡眠時間の邪魔はしない。
なるべく音を立てず振動も起こさず静かにベッドの上から降りる。
この時間に出来る作業を考える。
まずは碁石を一組用意。そのために必要なその原型となる宝石の玉をくり抜く作業。それを終えなければ次の段階に入れない。
理想は千個以上の碁石の作成完了。しかしそれはいつ終わるか分からない。それでも早めに始めれば早めに終わる。
そしていつでも取り組めるその作業は、時間の隙間を見つけては進めていかないと、今のところ間に合うかどうかは分からない。
だからこそ、最低限一組の碁盤と碁石を用意しなければならない。
作業場に向かうため、静かに階段まで足を進める。
ふと立ち止まる。
まだ暗い二階。しかし物陰ならば判別できる。
その物陰を見ただけでも感じる違和感。
店主は立ち止まって辺りを見る。
あるはずの物がない。
まるで床下から出る音を聞くように耳を床に押し付ける。しかし意識は水平に向いている視線。
ない。
線引きをしたはずの碁盤がない。
余計な気を利かせて下に持っていったか?
そう思った店主は下に下りて、二階にも照明は届くだろうが眠りの妨げにはならないはずと判断し、一階の照明をすべて点ける。
作業机の上には最初に作業を一区切りつかせた、昨日そこに置いたままの外観だけ完成された碁盤が一基。
碁石の原型は容器に入ったまま。
二階に置きっぱなしの碁盤をどこかに移動させたのかと、一階の床の上を見て歩く。
「そう言えば掃除はしてなかったか。食堂のやつの足跡がそのままかよ」
出口までゆっくりと移動しながら周辺を探すが、床の上にはないどこにもない。
作業机まで戻りながら探すがやはり見つからない。
二階に上がる。
一階からの照明で仄かに階段付近が照らされる。
見つからない。
何かの上に置かれているのだとしたら、二階の照明を点ける必要がある。
しかしセレナとシエラの睡眠の邪魔になってしまう。
「うん、ジジィの依頼の方が重要だ。こいつらは……すごくどうでもいい」
その一言と同時に二階の照明をすべて点ける。
少し時間が経って、二人からうめき声が出る。
「ん……んん……。誰よ……。……テンシュ……? どうしたの……?」
カーテン越しでも明るさを感じたらしい。
セレナがカーテンを開けて顔を出す。
その声も耳に入ったのか、シエラも上半身を起こす。
「……んー……。何ぃ? ……何かあったぁ?」
店主は二人の反応はお構いなし。
あらゆる場所に目を配る。
しかしどこに見当たらない。
「お前ら、俺が寝ている間、碁盤どこにやった?」
「「知らないよ?」」
二人揃って同じ答え。
「……知らない。つまり触ってないと?」
「碁盤、どうしたの? ……動かした? 昨日私達寝る前もそこにあったのに……?」
セレナが答える。シエラは頷く。
それを聞いた店主は走って下に下りていく。
「ちょっと、どうしたの、テンシュ!」
「テンシュさん? 何かあったんですか?」
駆け下りて出口に向かった店主はそのまま扉に向かう。
扉を開けようとする。当然開かない。
施錠されたまま。
追いかけて来る二人。シエラはセレナから借りた寝巻の姿。しかし二人は今の自分の恰好を気にするどころではない。
「どうしたの? テンシュ」
「テンシュさん、何か起こったんですか?」
この二人が何も触っていなければ。
店主は頭の中を落ち着かせて考える。
そして振り返り、二人に告げる。
「碁盤が、盗まれた」
二人の顔が青ざめた。
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