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環境変化編 第八章:走狗煮らるる
新生活 今後とも
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「道具屋じゃなくて法具屋だったね。それにしても、石の力を見る、ねぇ。ひょっとしてあたしの道具にもその力使えそうかい? もしそうならあたしもお願いしよっかな。斧一本錆びついてるやつがあってさ。捨てるしかない奴があるんだよ。それ直してくれるかなー」
「道具屋に持ってく話じゃねぇのか? それ」
「頼んだんだよ。頼んだんだけど一回錆びついたら劣化も早ぇの」
「道具には詳しくねぇから、どう頑張ったって石斧以外思い浮かばねぇな。それに力を持たせる道具を作るなんざ簡単さ。その力をどう発揮するかってところが難点だな。あんた自身にその力がなきゃ、道具に長持ちさせるくらいしか出来ねぇんだが……」
店主は沈黙してニィナを見詰めている。
次第にその表情は険しくなっていく。
「お、おい、テンシュさんよ。どうした? あたしの顔に何かついてんのか? ちょ、セレナさんよ、大丈夫か?この人。脂汗出てんぞ?」
「あ、うん。多分ニィナさんの力具合を見てるのよ、テンシュ」
口で説明するのと、それを実践して見てもらうのとでは、それぞれ印象は違ってくる。
慌て出すニィナにセレナは落ち着かせるように解説する。
それでもニィナは不安そうに店主を見ているが、やがて店主の顔から険しさが薄らいでくる。
「……これはこれで厄介だな。魔力はわずかにあるっぽい。だがそんななけなしの魔力でどうしろと言うのか。なにも魔力を持っていない者の所有物として作った方がいいか」
「え? あたしに魔力が? いや……子供の頃いろいろ魔法は教わったがからっきしだったぞ? っていうか、物だけじゃなくて、あたしらにもあるかどうかってのまで分かるのかい?」
「石なら簡単に見分けられるんですが、それ以外のものに宿してる力も、集中すれば見ることが出来るようです」
「へえぇ。そりゃ店出したら繁盛するわ。そんな店畳んでこっちに移ってきたってこたぁ、その町の商店組合か何かの集まりは大損害だろうよ。勿体ないことしたね、その人達は。」
店主はニィナは喋りにやや表情を暗くする。
自分達を拒絶する者がいる地域に未練はない。かと言って頑なまでに何も喋らないというのも、これからここに住む者として取るべき態度でもないだろうし、以前から住んでいる者から受ける印象を悪くするのも得策ではない。
しかし店主にはとっておきの武器がある。
「昔の話するのも、すごく面倒くせぇ。今となってはすごくどうでもいい話だ」
「別にテンシュさんの昔を掘り返して聞きたいわけじゃないさ。そう言えば法具屋ってば、法王サンがえらく有り難そうにどっかの法具屋の話してたっけな。巨塊の討伐がどうのって。ちょっと前の話だけどいまだにニュースとかでその話出てるくもんな」
二十年前がちょっと前かよ。
店主はそう口にしそうになった。
この世界での期間の長さの感覚にはまだついて行けない店主。
店主がいた日本でもそうだったが、この世界でも異世界自体存在することは考えられない。日本の事などを話題に出したら、間違いなくまた一騒動は引き起こすだろう。
店主がその件について黙っているものだから、セレナも余計なことは口にしない。
そしてセレナも冒険者の間では今だに有名人ではあるが、一般職で斡旋所に依頼したことのない者達からすれば無名も同然。
セレナの事と巨塊事件との関わりの事は時間が経つうちに知られることになるかもしれないが、ここでは受け流しておくべき話題とした。
「まぁ斧以外でも何か俺でも作れそうな物がありゃ新装開店サービスで一回きり、俺の腕試しも兼ねてあんたに必要な簡単な作りの道具作ってみるさ」
「じゃああたしは、ここの朝食代を持とうか」
店主とセレナは、朝食を誘ったのは自分らだからと言い張るが、ささやかな二人の歓迎会と口にしたニィナ。異論がなかったことから彼女の奢りとなった。
「でももし大掛かりな歓迎会がどっかでやるならあんたたちも参加費払ってな。あははははは」
「ただの飲み会じゃねぇか、それ」
「違いない。あはははは」
ささやかな懇親会が終わり、この食堂からそう遠くない新しい『法具店アマミ』に店主とセレナは歩いて戻る。
ニィナは馬車を拾って自分の建具屋に帰って行った。
───────────
「また一週間ほど休むとな? じゃがお前たち二人が行った時にはすでに何日か経ってからだろう」
「はい。ですからあと四日ほどしたら再開するのではないかと思いますが」
「近所には特に何も伝えていないそうです。バイトか弟子入りかの者からの話なので、それはほぼ確実な情報かと」
皇居の玉座の前でライリーとホールスがウルヴェスに『法具店アマミ』についての情報を伝えていた。
「ふむ。あまりお前達一緒に休暇を与えすぎても周りに怪しまれる。まあしばらくはいつも通りにしておくがよい」
────────────
同時刻の皇居内の某所。
「何やらまたあの道具屋が休店だそうだ」
「年中無休の店が度々休むとは、我々の策略が上手く働いているということかもしれん。だが閉店ではない。揺さぶりはこの辺にして、少し成り行きを見守るぞ、アムベス」
「だが奴らの身辺は調査は続けるべきだ。いつどこに移動するかわからんからな」
────────────
「道具屋に持ってく話じゃねぇのか? それ」
「頼んだんだよ。頼んだんだけど一回錆びついたら劣化も早ぇの」
「道具には詳しくねぇから、どう頑張ったって石斧以外思い浮かばねぇな。それに力を持たせる道具を作るなんざ簡単さ。その力をどう発揮するかってところが難点だな。あんた自身にその力がなきゃ、道具に長持ちさせるくらいしか出来ねぇんだが……」
店主は沈黙してニィナを見詰めている。
次第にその表情は険しくなっていく。
「お、おい、テンシュさんよ。どうした? あたしの顔に何かついてんのか? ちょ、セレナさんよ、大丈夫か?この人。脂汗出てんぞ?」
「あ、うん。多分ニィナさんの力具合を見てるのよ、テンシュ」
口で説明するのと、それを実践して見てもらうのとでは、それぞれ印象は違ってくる。
慌て出すニィナにセレナは落ち着かせるように解説する。
それでもニィナは不安そうに店主を見ているが、やがて店主の顔から険しさが薄らいでくる。
「……これはこれで厄介だな。魔力はわずかにあるっぽい。だがそんななけなしの魔力でどうしろと言うのか。なにも魔力を持っていない者の所有物として作った方がいいか」
「え? あたしに魔力が? いや……子供の頃いろいろ魔法は教わったがからっきしだったぞ? っていうか、物だけじゃなくて、あたしらにもあるかどうかってのまで分かるのかい?」
「石なら簡単に見分けられるんですが、それ以外のものに宿してる力も、集中すれば見ることが出来るようです」
「へえぇ。そりゃ店出したら繁盛するわ。そんな店畳んでこっちに移ってきたってこたぁ、その町の商店組合か何かの集まりは大損害だろうよ。勿体ないことしたね、その人達は。」
店主はニィナは喋りにやや表情を暗くする。
自分達を拒絶する者がいる地域に未練はない。かと言って頑なまでに何も喋らないというのも、これからここに住む者として取るべき態度でもないだろうし、以前から住んでいる者から受ける印象を悪くするのも得策ではない。
しかし店主にはとっておきの武器がある。
「昔の話するのも、すごく面倒くせぇ。今となってはすごくどうでもいい話だ」
「別にテンシュさんの昔を掘り返して聞きたいわけじゃないさ。そう言えば法具屋ってば、法王サンがえらく有り難そうにどっかの法具屋の話してたっけな。巨塊の討伐がどうのって。ちょっと前の話だけどいまだにニュースとかでその話出てるくもんな」
二十年前がちょっと前かよ。
店主はそう口にしそうになった。
この世界での期間の長さの感覚にはまだついて行けない店主。
店主がいた日本でもそうだったが、この世界でも異世界自体存在することは考えられない。日本の事などを話題に出したら、間違いなくまた一騒動は引き起こすだろう。
店主がその件について黙っているものだから、セレナも余計なことは口にしない。
そしてセレナも冒険者の間では今だに有名人ではあるが、一般職で斡旋所に依頼したことのない者達からすれば無名も同然。
セレナの事と巨塊事件との関わりの事は時間が経つうちに知られることになるかもしれないが、ここでは受け流しておくべき話題とした。
「まぁ斧以外でも何か俺でも作れそうな物がありゃ新装開店サービスで一回きり、俺の腕試しも兼ねてあんたに必要な簡単な作りの道具作ってみるさ」
「じゃああたしは、ここの朝食代を持とうか」
店主とセレナは、朝食を誘ったのは自分らだからと言い張るが、ささやかな二人の歓迎会と口にしたニィナ。異論がなかったことから彼女の奢りとなった。
「でももし大掛かりな歓迎会がどっかでやるならあんたたちも参加費払ってな。あははははは」
「ただの飲み会じゃねぇか、それ」
「違いない。あはははは」
ささやかな懇親会が終わり、この食堂からそう遠くない新しい『法具店アマミ』に店主とセレナは歩いて戻る。
ニィナは馬車を拾って自分の建具屋に帰って行った。
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「また一週間ほど休むとな? じゃがお前たち二人が行った時にはすでに何日か経ってからだろう」
「はい。ですからあと四日ほどしたら再開するのではないかと思いますが」
「近所には特に何も伝えていないそうです。バイトか弟子入りかの者からの話なので、それはほぼ確実な情報かと」
皇居の玉座の前でライリーとホールスがウルヴェスに『法具店アマミ』についての情報を伝えていた。
「ふむ。あまりお前達一緒に休暇を与えすぎても周りに怪しまれる。まあしばらくはいつも通りにしておくがよい」
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同時刻の皇居内の某所。
「何やらまたあの道具屋が休店だそうだ」
「年中無休の店が度々休むとは、我々の策略が上手く働いているということかもしれん。だが閉店ではない。揺さぶりはこの辺にして、少し成り行きを見守るぞ、アムベス」
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