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家族
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「おはよ、ご飯できてるわよ、あなたが大好きな豚汁もあるのよ」
お母さんが言う。
一見するととても優しいお母さんだ。
「おお、山古、よく眠れたか?お父さんはなんか目が冴えちゃって寝不足だよ、ははは」
コーヒー片手に父が言う。
これも一見すると優しいお父さんだ。
目の前には出来たての朝食が置いてある、ソーセージに目玉焼き、少々のお米に豚汁。
理想的な朝ごはんだ、それに加えて母さんの作る料理は絶品だ。
「なにぼーっとしてるのよ、ごはんがさめちゃうわよー」
お母さんが言うが私は食べない。
この朝食には必ず毒が入っている、そう確信しているからだ。
「ううん、朝ごはんはいらないよ、お母さん...」
「どうした?体調が悪いのか?何も口にしないのは体に悪い、どれ、山古にもコーヒーを入れてやろう」
これも飲むつもりは無い、お母さん同様、毒が入っているからだ。
「いいよお父さん、私、学校行くね」
「そうか...車に気をつけるんだぞ」
私は靴を履き、玄関の扉を開ける...
キンッ
目の前を包丁が通りすぎ、地面に当たり金属音が響く。
上を見上げると2階から弟が手を振っていた。
「おねぇーちゃーん、行ってらっしゃーい」
包丁を落としたことなどなかったかのように満面の笑みで私を送り出してくれた。
私は、家族に、殺されそうになっている。
元々私の家族は全員が仲が良く、私自身家族と過ごす時間はとても幸せで家族が大好きだった。
だが、6月に入った途端に変わった。
いつものように朝食を食べると酷いめまいに襲われ、私は胃に溜まっていた物を全部吐いた。
「た、たすけて...おかぁさん、おとぉさん...」
両親に助けを求めたが、お母さんは何事もないようにテレビを見て笑い、お父さんは新聞を神妙な面持ちで眺めるだけだった。
私は自力で床を這い、玄関を開けて通行人に助けを求めた、たまたまそこに通行人がいて救急車を読んでくれたから助かったが、運が悪ければ私は死んでいた、いや、殺されていた。
病院で目が覚めると、お母さんとお父さんは私が目覚めたことに泣いて喜んだ。
表向きには、私は両親がまだ寝ているうちに急に発作を起こしたことになっていた。
それからも背後から急にナイフが飛んできたり、寝ている間に寝室に毒ガスを入れられたりと、ありとあらゆる方法で家族は私を殺そうとしてきた。
お母さんもお父さんも弟も、誰も信用出来ない。
だが、唯一信用出来る家族がいる。
それは妹だった、3歳のまだ幼い妹で、純粋な心を持ってわたしにじゃれてくる。
「おねぇーちゃん、どうしたの?つかれてるのー?」
学校から帰ってきて早々、妹に心を読まれてしまった。
「ううん、大丈夫だよ、お姉ちゃん、負けないから」
口ではそういうが、涙が自然と流れてきた。
「おねぇーちゃん、泣いてるの?」
急いで涙を拭い、妹に顔を見せないようにする。
「ほら、なっちゃんの好きな番組が始まっちゃうよぉ」
「あ、わんぱくマンわんぱくマン!!」
テレビの元にてくてくと歩く姿はとても愛らしい。
その後ろ姿をいつまでも見ていたかったが、弟と目が合ったので早急に自分の部屋へと向かう。
晩御飯には毒が入っているので最近は外で食べてくるようにしている、お母さんは友達が増えて良かったねと言ってくるが、内心では何を考えているかわかったもんじゃない。
布団に入り、次の日を待つ。
学校にいる間だけは殺されるようなことは無い、家での不要な行動は死を招くのだ。
コンコン
扉がノックされる。
家族の誰かが殺しに来た、そう思った。
「おねぇーちゃん、なんだかねむれないの、いっしょにねてほしーな...」
扉の奥から寂しそうな妹の声がする。
「結ちゃん?そっか、結ちゃんだったら入っていいよ」
扉を開け妹を部屋に入れる、パジャマ姿の妹はとても愛らしかった。
「ほら、おいで、お姉ちゃんと一緒に寝ようね」
「うん、おねぇーちゃんとねる~」
モゾモゾと妹が布団に入ってくる、ひょこっと布団から出てきた顔がとても可愛かった。
家にいる間はずっと死の恐怖がまとわりつく、だがこの時間だけはとても幸せなだった。
「おねぇーちゃん、お饅頭みたいな優しい匂いがする~」
「ふふふ、何言ってるのよ、お姉ちゃんは食べ物じゃないぞっ」
くんくんくんくん
妹が顔を近づけ匂いを嗅いでくる、なんて可愛い妹なんだろう。
ガブッ!!ブチブチブチブチ!!
「え?...ゆ...い?」
喉元を噛みちぎられ、血がどくどくと溢れ出す。
「えへへ~、おねぇーちゃんってとっても美味しいねぇ~」
ブチブチブチブチ
「アガっ...ぁぁ...ぁぁ...」
目の前に私の肉を食べて幸せそうな顔をしている妹がいる。
結、あなただけは違うと思ったのに...。
「ゆ...い...ゆ...い...」
意識が途絶える最後の瞬間に、ドア向こうからこちらを覗く家族の姿が見えた。
お母さんが言う。
一見するととても優しいお母さんだ。
「おお、山古、よく眠れたか?お父さんはなんか目が冴えちゃって寝不足だよ、ははは」
コーヒー片手に父が言う。
これも一見すると優しいお父さんだ。
目の前には出来たての朝食が置いてある、ソーセージに目玉焼き、少々のお米に豚汁。
理想的な朝ごはんだ、それに加えて母さんの作る料理は絶品だ。
「なにぼーっとしてるのよ、ごはんがさめちゃうわよー」
お母さんが言うが私は食べない。
この朝食には必ず毒が入っている、そう確信しているからだ。
「ううん、朝ごはんはいらないよ、お母さん...」
「どうした?体調が悪いのか?何も口にしないのは体に悪い、どれ、山古にもコーヒーを入れてやろう」
これも飲むつもりは無い、お母さん同様、毒が入っているからだ。
「いいよお父さん、私、学校行くね」
「そうか...車に気をつけるんだぞ」
私は靴を履き、玄関の扉を開ける...
キンッ
目の前を包丁が通りすぎ、地面に当たり金属音が響く。
上を見上げると2階から弟が手を振っていた。
「おねぇーちゃーん、行ってらっしゃーい」
包丁を落としたことなどなかったかのように満面の笑みで私を送り出してくれた。
私は、家族に、殺されそうになっている。
元々私の家族は全員が仲が良く、私自身家族と過ごす時間はとても幸せで家族が大好きだった。
だが、6月に入った途端に変わった。
いつものように朝食を食べると酷いめまいに襲われ、私は胃に溜まっていた物を全部吐いた。
「た、たすけて...おかぁさん、おとぉさん...」
両親に助けを求めたが、お母さんは何事もないようにテレビを見て笑い、お父さんは新聞を神妙な面持ちで眺めるだけだった。
私は自力で床を這い、玄関を開けて通行人に助けを求めた、たまたまそこに通行人がいて救急車を読んでくれたから助かったが、運が悪ければ私は死んでいた、いや、殺されていた。
病院で目が覚めると、お母さんとお父さんは私が目覚めたことに泣いて喜んだ。
表向きには、私は両親がまだ寝ているうちに急に発作を起こしたことになっていた。
それからも背後から急にナイフが飛んできたり、寝ている間に寝室に毒ガスを入れられたりと、ありとあらゆる方法で家族は私を殺そうとしてきた。
お母さんもお父さんも弟も、誰も信用出来ない。
だが、唯一信用出来る家族がいる。
それは妹だった、3歳のまだ幼い妹で、純粋な心を持ってわたしにじゃれてくる。
「おねぇーちゃん、どうしたの?つかれてるのー?」
学校から帰ってきて早々、妹に心を読まれてしまった。
「ううん、大丈夫だよ、お姉ちゃん、負けないから」
口ではそういうが、涙が自然と流れてきた。
「おねぇーちゃん、泣いてるの?」
急いで涙を拭い、妹に顔を見せないようにする。
「ほら、なっちゃんの好きな番組が始まっちゃうよぉ」
「あ、わんぱくマンわんぱくマン!!」
テレビの元にてくてくと歩く姿はとても愛らしい。
その後ろ姿をいつまでも見ていたかったが、弟と目が合ったので早急に自分の部屋へと向かう。
晩御飯には毒が入っているので最近は外で食べてくるようにしている、お母さんは友達が増えて良かったねと言ってくるが、内心では何を考えているかわかったもんじゃない。
布団に入り、次の日を待つ。
学校にいる間だけは殺されるようなことは無い、家での不要な行動は死を招くのだ。
コンコン
扉がノックされる。
家族の誰かが殺しに来た、そう思った。
「おねぇーちゃん、なんだかねむれないの、いっしょにねてほしーな...」
扉の奥から寂しそうな妹の声がする。
「結ちゃん?そっか、結ちゃんだったら入っていいよ」
扉を開け妹を部屋に入れる、パジャマ姿の妹はとても愛らしかった。
「ほら、おいで、お姉ちゃんと一緒に寝ようね」
「うん、おねぇーちゃんとねる~」
モゾモゾと妹が布団に入ってくる、ひょこっと布団から出てきた顔がとても可愛かった。
家にいる間はずっと死の恐怖がまとわりつく、だがこの時間だけはとても幸せなだった。
「おねぇーちゃん、お饅頭みたいな優しい匂いがする~」
「ふふふ、何言ってるのよ、お姉ちゃんは食べ物じゃないぞっ」
くんくんくんくん
妹が顔を近づけ匂いを嗅いでくる、なんて可愛い妹なんだろう。
ガブッ!!ブチブチブチブチ!!
「え?...ゆ...い?」
喉元を噛みちぎられ、血がどくどくと溢れ出す。
「えへへ~、おねぇーちゃんってとっても美味しいねぇ~」
ブチブチブチブチ
「アガっ...ぁぁ...ぁぁ...」
目の前に私の肉を食べて幸せそうな顔をしている妹がいる。
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