三分で読める一話完結型ショートホラー小説

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マリアナ海溝

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マリアナ海溝、人類が地球上で未だ到達出来ていない未知の場所。
この場所の深さは未だにはっきりとは分かっていない、それほどまでに深いのだ。
俺は研究者としてこの未知の場所がどうなっているのか知りたい、その為だけに今まで研究に研究を重ねてきたのだ。
二十五年に渡る研究の末、この世界のどんなに深い海でもその水圧に耐えることの出来る潜水艦の発明に成功した。
「こ、これさえあればあのマリアナ海溝の底へ行くことが出来る!」
あそこにはどんな生物がいてどんな生態系が出来ているのだろう、もしかしてまだ発見されていない物質があったりして?いやいや、古代に滅亡した遺跡があったり??。
「お、落ち着くだ、この潜水艦があってもあそこは危険な場所だということに変わりはない...」
そうだ、何があるか分からないということは巨大生物がいたりするかもしれないのだ。
そんな奴に襲われならひとたまりもないだろう。
「巨大生物か...」
巨大ダコや巨大イカ、いや、既存の生物ではなくリバイヤサンや海坊主などといったモンスターが生息しているかも...。
そんな生物がいたらどうする!?生きて帰ってみなに伝えることは出来るのか!?いや、そのまま襲われて行方不明、そっちの方がロマンがあるのでは??。
「いかいかん!落ち着けと言ってるだろう!!」

いよいよ潜水艦に乗り込み、人類未踏の海の底に沈む時が来た。
「本当に大丈夫か?これが最後の地上かもしれないぞ...」
仲のいい同僚が心配そうに言ってくる。
「あぁ、もし俺が帰らなくても、俺は幸せに死ねたと思ってくれ」
「はは、ほんとにお前のマリアナ海溝に対する熱意はすごいな、もし帰らぬ人となっても、お前のこと、絶対に忘れねぇからな」
同僚に強く背中を叩かれる、潜水艦の扉を閉め、みなの熱い声援の中俺は海の底へと沈んで行った。

沈み続けること2日目、まさかここまで深いとは思ってもみなかった。
窓からは光など一切差し込まない、真の闇が広がっている。
ライトをつけてみても、果てしない闇が続いているだけだ。
今自分が沈んでいるかも分からない、この世界は本当に現実か?
暗さと密閉感が相まって頭が狂いそうになる。

沈み続けること4日目
俺は眠り続けることにした、終わりの見えないこの旅路、正気を保てるとは思えない、自分の中の時間の経過を早めるしか方法はなかった。

沈み続けること2週間
ゴンッッッ!!
衝撃と轟音で目が覚める。
「やっと、やっとだ!!やっと底に着いたんだ!!」
感激で涙が出そうになる。
「ウグッ、まだだ、まだ泣くのは早い、外の景色を見てからだ」
心臓の鼓動が高まりすぎて破裂しそうだ。
「よしっ、ライトを付けるぞ!!」
カチッ
「ハァハァ!何が見える!!」
そこには何も無い、ただただ岩肌が拡がっているだけだった。
「はは、え?そんなはずは無い、未知の生態系は?古代の遺跡は?巨大生物は?」
そんなものはどこを探しても見つからず、同じく岩肌が延々に続いているだけだ。
「はは、え?ははは、うそだろ?俺は25年間こんなものを見るために研究してきたのか?それは、ちょっと酷すぎないか?ははははははは」
俺は気がつくと潜水艦の扉を開けていた。
流れ込む水、圧倒的水圧、体は一瞬で押しつぶされ肉塊と化す、だが、このまま死んではいられない。
男の肉塊はグネグネと蠢き出し、歪な形を形成していく。
ドラゴンのような体、三本の首、しっぽも三つに裂けており、どのしっぽも恐ろしいほど鋭利である。
男はマリアナ海溝の底に巣食う、禍々しい生き物へと姿を変えたのである。

男がマリアナ海溝の底へと出航した一年後、男と仲の良かった同僚が再び底へと沈むことになった。
「あいつの想いは俺が受け継ぐ」
彼を待っているのは、かつて仲の良かった同僚のモンスターであった...。
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