幼女と執事が異世界で

天界

文字の大きさ
18 / 183
第1章

17,冒険者ギルド - 2

しおりを挟む
「依頼には難易度に応じてランクが設定されます。
 依頼は設定されたランクが同ランクか1つ上のランクまでしか受けることができません。
下のランクについては問題なく受けられます。
 ランクはFから始まりE,D,C,B,A,S,SS,SSSと上がって行きますが、冒険者ギルドで扱っているのはランクSまでとなります。
 SSランク以上の依頼は、国からの依頼となる物です。なのでギルドではなく国から直接受ける形になります。
 まぁ、Aランクになるのもかなり難しいですけどね」

「へー……だからSランクの掲示板にはほとんど紙が張られてなかったんだ」

「そうなのよ~今のところこの街にいる、うちに登録してる人でSランクなのはたったの3人なのよ?
 ラッシュはかなり大きな街なのに3人なの3人。
 Sランクがすごいってことがよくわかるでしょ?」


 なんども指を3本立てて説明しているエルフのお姉さんは、嘆かわしいと言わんばかりだ。
 他の街ではもっとSランクがいるのだろうか?


「Sランクは他の街にはいっぱいいるの?」

「そういうわけじゃないんだけどね。
 このラッシュの街の近くには迷宮もいくつかあるし、踏破されていないのも多いの。
 だから迷宮攻略を主軸に置く冒険者も多いんだけど……多い癖にSランクが少ないって言うのがねぇ……おかげでSランク依頼が全然片付かないし」


 頬に手を当てて、はぁと溜め息を吐くお姉さん。
 数が多いくせして雑魚ばかりと言いたいのだろう。有象無象では意味がないってことなのかな。数は大きな戦力だと思うんだがなー。
 まぁ依頼が来てもこなせないんじゃ、溜め息も吐きたくなるだろう。ギルドを信用して頼ってくる依頼者に応える事ができないのだから。
 それにしても迷宮か。所謂ダンジョンってやつだ。奥深くにある宝を目指して一攫千金!
 夢がいっぱいってやつだ。オレもいつか行ってみたいものである。


「あっとごめんなさいね。愚痴なんて恥ずかしいわ……。
 ごほん。それでランクは依頼をきちんとこなしていくと上がっていくわ。
 具体的な昇格条件は栞に記載されているから呼んでもらってね?
 それと冒険者ギルドは24時間営業だから、何時来てもいいんだけど……今みたいな時間帯は特に混雑するからあまりお奨めしないわ。
 ワタリちゃんみたいな可愛い子だと、ちょっかいだすやつもいるかもしれないし!」


 ちゃん付けの辺りでまた気配察知が反応するが、気のせいと思うことにする。
 あとでその辺言い聞かせておかないといけないかなー。


「はーい」


 にっこり笑って適当に返事を返しておくのも忘れない。
 騒ぎは勘弁だからな。次からはもっと人のいない時間帯を狙ってこよう。

 それにしても24時間営業なのか。まぁ予想はしていた。
 様々な依頼を斡旋する以上、それが昼夜を問わない仕事である可能性は大いにある。というか絶対ある。
 なので、夜中にもやっていないと期限が過ぎてしまうようなパターンや夜中しかこれない人も多いのだろう。
 まぁ夜中に来る気はないから別にどうでもいいんだが。


「説明は大体こんなところかな。何か質問とかあるかな?」

「ギルドのことではありませんが、よろしいですか?」

「ええ、大丈夫ですよ。あ、でも年は秘密ですよ?」


 片目を瞑ってウインクする可愛らしいエルフさんだったが、アルは無反応だ。
 彼にとって目の前の可愛い人はどうでもいい存在のようだ。


「ではこの街で信頼でき、且つ安全性の高い宿を教えていただけますか?」

「信頼できて安全性が高い宿ね。えーとそうすると少し値が張るけど " 海鳥亭 " がお奨めね。
 ギルドカードを見せれば割引も聞くから尚お奨めです」

「ご飯は美味しい?」

「えぇ1階で食堂も経営してるから、かなり期待していいわ」


 食事はとても大事だ。ネズミの肉を食うのは勘弁。あれは非常手段だ。もう食いたくない。
 だが、値が張るのか。20万ラードあるとはいえ、長く宿泊するのは問題が出るかもしれないな。
 頑張ってランクを上げて高い報酬の依頼を受けられるようにしないとな。


「あとは何かあるかしら?
 ないようなら……はい。この石に手のひらを置いてください」


 もう一度確認してから、特にこちらの動きが無いのをみてバインダーから1枚の薄い石を取り出すと、ちょっと乗り出してこちらの方に置いてくれる。
 ゆったりとしたローブのような服の上からでは判り辛かったが、結構なボリュームのようだ。
 だが、如何せんオレの趣味じゃない。もっと慎ましい方が好みだ。ぺったんこはだめだがな? 幼女は論外だ。

 門のところで犯罪者チェックの時に使った石とは違い、こっちはすごく薄い。
 良く見ると細かく何か文字のような物が刻んであるようだ。翻訳されないところを見ると共通語ではないらしい。

 毒見役はアルの担当なのでこちらを一瞥した彼にアイコンタクトでお先にどうぞ、と返すとすぐにその石の上に手を置く。
 手を置いてすぐに青く光った石が、複雑な幾何学模様を刻み数秒でソレも消える。
 すると石の横からシャッっと音を鳴らして何かが飛び出てきた。


「はい、これがアル君のギルドカードになります。
 無くすと再発行にお金がかかるから気をつけてね」


 どうやらこの石がカードの発行機のようだ。
 厚さ1cmもないような薄い石に手の平を置くだけで発行されるとは……すごい技術の結晶のような気がしてくる。
 深く考えると泥沼にはまりそうなので、ここはそういう物と無理やり納得しておいた。

 次にギルドカード発行機の上に手の平を置くと、犯罪者チェック板と同じようにMPが消費され、アルの時と同様の変化をしたあとカードが排出された。


「はい、これがワタリちゃんのギルドカードね。
 無くさないように紐をつけて首から提げておくといいわ。紐はお姉さんがあげちゃう!」

「ありがとー」


 受け取ったカードには隅のほうに小さな穴があり、そこにエリザベートさんが紐を通して結んでくれた。
 それをそのまま首に掛けて眺めてみる。

 大きさは幼女の小さな手の平には少し納まらない大きさだったが、それほど大きいわけでもない。
 生前の免許証を少し大きくしたような程度だろうか。
 カードには名前とランクが記されているだけだった。当然ランクはF。登録したばかりなのだから仕方ない。
 その他には何も記載はなく、裏返してみても特になにもない。
 これで身分証になるんだろうか……ちょっと心配だ。


「そのカードは、結構すごいんだよ?
 専用の読み取り用の板に翳すと、中に大量の文字が記憶されているのがわかるの。
 主にカードの持ち主に関する情報だね。あとは倒した魔物の数とかこなした依頼の情報とかだねー」

「へー……すごいものなんだ」


 このカードはそれ単体で記憶媒体となっているようだ。
 しかも倒した魔物の数とかどうやって記憶するんだろうか。あ、魔法か。
 つまりこれは魔法のカードということだ。
 さすが異世界。ご多分に漏れずファンタジックだ。
 なんだかすごいものを手に入れた気分になってくる。個人情報云々とかプライバシー云々とか、そういうのは一旦隅に置いておくことにした。
 キラキラした目でカードを掲げて見てみると、なんだか光り輝いて見える気がしてくるから不思議だ。
 実際はただの光沢も何もない、名前とランクの記されただけの薄いカードなんだけどね。


「ふふ……喜んでもらえてお姉さん嬉しいな。
 はい、アル君これが栞ね。ちゃんとワタリちゃんに読んで聞かせてあげてね?」

「ご心配には及びません。このアル、ワタリ様には不自由をさせるつもりは毛頭ありません」

「……ふーん。まぁいいけど。
 ワタリちゃん、何かあったらすぐにお姉さんに教えてね?
 すぐになんとかしてあげるから」


 何やら2人の間で火花が散っている気がする。


 そんな不穏な空気を感じつつ、冒険者ギルド説明会は幕を閉じたのだった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~

けろ
ファンタジー
【完結済み】 仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!? 過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。 救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。 しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。 記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。 偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。 彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。 「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」 強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。 「菌?感染症?何の話だ?」 滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級! しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。 規格外の弟子と、人外の師匠。 二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。 これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ
ファンタジー
 ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。  理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。  パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。  友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。  その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。  カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。  キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。  最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...