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第4章
75,協力
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レーネ・ストリングス。
特徴はやっぱりその高い身長と巨体に似合わない人見知りをする恥ずかしがり屋な性格だろうか。
人見知りで恥ずかしがり屋とはいっても年がら年中ビクビクしているようなタイプの人見知りではない。
普段は屈強な荒々しい連中が集まる冒険者ギルドでもランクAという高ランクに位置し、その性格が災いしつつもソロで依頼をしっかりこなしてくる実力者だ。
そんな中でもまれた結果として、周りから視線を集めても表面上はなんともない風を装えるようになっている。
でも心の中はというと常にてんぱっていたりする。
そんな彼女なので親しい友人も居らず、PTに入っても話すのが難しくすぐに居づらくなってしまう経験からここ数年、特にランクB以上になってからはPTに入ってすらいなかった。
そんな彼女がなぜオレ達と組むことになったか。
それはギルドマスターの強い要望とエリザベートさんの説得があったからだ。
結果としてレーネさんは十数年ぶりの友人を得ることができた。
未だに声を出して話すのは難しいが、念話では外から見た彼女とはなんだったのかというレベルで饒舌に話してくれる。
調査依頼を完了させて約束通りに買い物に繰り出したわけだが、ネーシャを迎えに行く時間にはまだまだ早いのでネーシャとの顔合わせはまた今度だろう。
レーネさんは大きな体に似合わない可愛らしい顔の人だ。
その可愛らしさ具合ときたらまるで愛玩動物のような愛くるしさである。
これで体が小さかったら多分エリザベートさんの餌食になっているだろうことは想像に難くない。
そんな愛らしいお顔のレーネさんは街中では常にフードを深く被ってしまう。
オレ達と一緒でもそれは変わらない。
彼女と普通に喋れるのはオレだけであり、オレと一緒ならアルも大丈夫だがアルだけとなると途端に喋れなくなってしまう。
レーネさんとのお買い物は基本的に彼女のリクエストに応える形にしてみた。
彼女はその巨体と白さで非常に目立つ。
だが彼女自身自分の外套の色が目立つことは自覚していなかった。
すごい実力者なのだがこういうところが抜けていて好感が非常に持てる。
ギャップ萌えの塊のような人だ。
ちなみにその真っ白い外套なのだが、これは魔道具なのだそうだ。
防御力にも非常に優れ、物理魔法問わず高い性能を発揮する。汚れにも強く軽い汚れなら払うだけで落ちてしまうほどで、この真っ白さはその効果が正常に発揮されている証だ。
なので今更この外套を脱ぐわけにも行かず、最終的にはやっぱり深く被ったフードをより深く被ってしまった。
なんとも苦笑いが漏れてしまうけど、彼女としては死活問題なので仕方ない。
まぁ外套の下にはこれまた魔道具なフルプレートアーマーを着用していてまるで要塞のような印象を与える。
以前騎士団詰め所で見た騎士の人なんかよりもずっと重そうな鎧なのだが、レーネさんが着ているとそんな風にはまったく見えない。
背負っている大剣も超重量らしいが重さを感じさせないレベルで扱うことが出来るそうだ。
腰に履いている長剣の方も魔道具であり、レーネさんは全身魔道具装備なのだ。
総額いくらになるかはちょっと計算したくない。
以前特殊進化個体討伐に参加して得られた1回分のお金の全てをつぎ込んでも足がでたくらいの金額だとは教えてくれた。
装備というのは冒険者にとって生死を左右する物だ。
高い物は天井知らずというのがよくわかった。
オレ達がそういう装備を手に入れられるのはいつの日になることやら。
あ、黒狼石の短剣や月陽の首飾りはそれ以上の品らしいので一応手に入れているのか。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【ワタリさん、このぬいぐるみすごく可愛いです……】
【手にとって見たらどうですか?】
【い、いいんですか!?】
【大丈夫ですよ、はい】
【……わぁ……。可愛い……】
レーネさんのたっての希望で訪れたぬいぐるみの館とでも形容すべきお店には所狭しと大小さまざまなぬいぐるみが陳列されている。
その中でもレーネさんの目を惹いたのはグレートピレネーズが2本足で立っているぬいぐるみだ。
ぬいぐるみを前にうっとりしながらも決して手に取ろうとしないレーネさんにちょっと強引に渡してみるとその表情は一気に緩み、破顔してしまった。
まるで幼い子供のように嬉しそうにしているレーネさんに癒されつつも、オレもぬいぐるみを手にとって見る。
「アル、アル。どうかな?」
「ワタリ様、このアル。理性を保つだけで精一杯にございますッ!」
「……そ、そう」
ちょっとふざけてぬいぐるみを抱きしめてにっこり微笑んでみたらアルが鼻を押さえてぷるぷるし始めたのでこれは危険だと判断した。
アルまでエリザベートさん化したらちょっと……いや大分……いや相当困る。
お願いだからエリザベートさん化だけはしないでね、アル。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
結局レーネさんはグレートピレネーズのぬいぐるみを購入し、オレはネーシャのお土産に狐がお座りしているオレの腕くらいの大きさのぬいぐるみを購入した。
意外と安かったのでネーシャが気に入ったら今度つれてこよう。
その後ちょっと露店を冷やかして串焼きを1本ずつ食べると、そろそろネーシャのお迎えの時間だとアルが教えてくれた。
この世界には時計はないが、みんな結構規則正しい生活をしている。
その中でもアルは特に秒単位で時間を正確に把握している節がある。
これも執事能力なのだろうか。アルは実に不思議なやつだ。まぁ便利だからいいけど。
【それでは今日はこの辺で解散ですね。よかったらまた一緒に遊びましょうね】
【はい! 是非ともご一緒させてください! あ、あと……その……】
【ん? 遠慮せずに言ってみてくださいな】
【は、はい! よ、よかったらなんですけど……。い、一緒に依頼をやりませんか!】
フードに隠れた顔が真っ赤になってしまっているレーネさん。
彼女にとっては一世一代の頼みごとなのだろう。
だがランクAとランクFが一緒に依頼をやるのは大丈夫なのか? 考えなくてもランクFのオレの依頼に合わせる事になるし。
【えっと……。でも私のランクはFですよ?】
【はい、それは知っています。でも上のランクの者が下のランクの依頼を受けてはいけないということはないので。
……それに……】
【それに?】
【ワタリさんの実力はランクFとはとても思えません】
レーネさんの顔の赤味が大分引き、真剣な表情でこちらを見ている。
視線を合わせる為にがんばってしゃがんでくれているけど如何せんオレの身長が足りなさ過ぎる。
いやレーネさんがでかすぎるとも言えるけどね。
【ワタリさんが使っていた複数転移は移動距離から考えてもLv1でしょうが、あれだけ連続して使えるというのはランクAでも、専門の人でも少ないくらいです】
【それはこの月陽の首飾りがあるから……】
【それだけではないのは見ていればわかります。それに特殊進化個体討伐協力の際の情報もエリザベートさんから聞いていますので……】
【なるほど。それじゃあそう思うのも仕方ないですね】
【はい。ランクが低いのはまだ登録したばかりだから。でも実力はずっと高いと思います】
【だからランクアップの手伝いをしてくれる、と?】
【実力があるのに勿体無いと思うのも確かです。でも……私は出来ればもっと……その……ワタリさんと仲良く……なりたくて……】
最後の方は尻すぼみにどんどん小さくなっていってしまったけど、そっちの方が本音なのははっきりとわかる。
十数年ぶりに出来た友人なのだ。もっと仲良くなりたい、近づきたいと思うのは当然のことだろう。
久しぶりすぎて距離感を量りかねている感も否めないけど、それは仕方ないだろう。
彼女は冒険者で高ランクで、オレも冒険者。しかも低ランクだ。
教え導くことも可能だろうし、友人の力になりたいという想いもひしひしと伝わってくる。
【わかりました。でも私に付き合って依頼をこなすとなると、お金が全然稼げないと思いますよ?】
【あ、それは平気です。私こう見えても意外とお金持ちなんですよ?】
【あぁそうだよね。特殊進化個体討伐3回してるんだっけ】
【はい! だからそういう心配は必要ありません。だから私にワタリさんのお手伝いをさせてもらえませんか?】
確かにレーネさんが居れば色々と教えてもらえるだろう。
伊達にランクAではないのだ。彼女の立ち居振る舞いや知識は金を払ってでも得るべきものだろう。
だがオレは彼女に隠していることがいっぱいある。戦闘能力なんかもそのうちだ。
一緒に依頼を受けるとなるとその辺を隠し続けるのは難しくなる。
今日1日レーネさんと付き合ってみて彼女は信用できるとは思う。
でもやっぱりまだ1日の付き合いでしかない。確信できるほどではないのだ。
アルはこの世界に来てからずっとの付き合いだし、それ以上にオレが依存してしまっているので信用云々なんてすでに通り越している。
ネーシャは素直で良い子なのはもうわかりきっている。
だからレーネさんもきっと少しの時間をかければ確信できるくらい信用できるだろうと思う。
【えっと、じゃあ毎回ではなく少しずつ一緒にやっていくというのはどうでしょう?】
【はい! もちろんです! ワタリさんのやりやすいようにしてもらって構いません!】
レーネさんもどうやら毎回毎回一緒に、という風には思っていなかったようだ。
あっさりとこちらの案を了承してくれたのでホッと息を吐けた。
ちなみに信用云々の他にも打算的な思惑もあったりする。
このままでは討伐系なんかはエリザベートさんやアルの過保護なまでの妨害により受けることがままならないだろうからだ。実力者のレーネさんが保護者代わりについてきてくれるのなら反対もしづらいはずだ。
そういう打算もあり、レーネさんとはこれからPTを何度も組むつもりなのだ。
とりあえず、試しに明日一緒に依頼を受けるということで今日と同じくらいの時間帯で冒険者ギルドで待ち合わせをして一旦別れることにした。
ちなみにPTはそのままだ。
でもオレには複数転移があるのでそのことを話すと、さすがランクA。転移系のスキルは300m程度離れると巻き込まないということをすぐ教えてくれた。
その300mもPTを組んでいる時にわかるレーダーのような相手との距離を測れる能力によりわかるそうだ。
確かに以前エリザベートさんとPTを組んでネーシャを捜索したときに、範囲外になるとちょっと感じが変わったことは覚えている。
でも大したことでもなかったのでスルーしていた。まさかこういう機能だったとは思わなかったので便利なものだ。
ちなみにさらに離れて3kmくらい距離をあけるとまた感じが変わり、今度は念話が通じなくなるのだそうだ。
PTに効果があるスキルとしては他には、強化系や弱体化系などだがこれらは射程距離が短く、50mも離れると届かないらしい。
もちろん一度かけてしまえば距離を離しても問題ないそうだが。
さっそくレーネさんから色々教えてもらえて非常に勉強になった。
そういってお礼を言うとはにかんだ素敵な笑顔のレーネさんを見ることが出来た。
真っ赤になった焦っている顔ばかり見せていたので、その表情はとても新鮮でほっこりしてしまいこちらも笑顔になってしまう素敵な表情だった。
特徴はやっぱりその高い身長と巨体に似合わない人見知りをする恥ずかしがり屋な性格だろうか。
人見知りで恥ずかしがり屋とはいっても年がら年中ビクビクしているようなタイプの人見知りではない。
普段は屈強な荒々しい連中が集まる冒険者ギルドでもランクAという高ランクに位置し、その性格が災いしつつもソロで依頼をしっかりこなしてくる実力者だ。
そんな中でもまれた結果として、周りから視線を集めても表面上はなんともない風を装えるようになっている。
でも心の中はというと常にてんぱっていたりする。
そんな彼女なので親しい友人も居らず、PTに入っても話すのが難しくすぐに居づらくなってしまう経験からここ数年、特にランクB以上になってからはPTに入ってすらいなかった。
そんな彼女がなぜオレ達と組むことになったか。
それはギルドマスターの強い要望とエリザベートさんの説得があったからだ。
結果としてレーネさんは十数年ぶりの友人を得ることができた。
未だに声を出して話すのは難しいが、念話では外から見た彼女とはなんだったのかというレベルで饒舌に話してくれる。
調査依頼を完了させて約束通りに買い物に繰り出したわけだが、ネーシャを迎えに行く時間にはまだまだ早いのでネーシャとの顔合わせはまた今度だろう。
レーネさんは大きな体に似合わない可愛らしい顔の人だ。
その可愛らしさ具合ときたらまるで愛玩動物のような愛くるしさである。
これで体が小さかったら多分エリザベートさんの餌食になっているだろうことは想像に難くない。
そんな愛らしいお顔のレーネさんは街中では常にフードを深く被ってしまう。
オレ達と一緒でもそれは変わらない。
彼女と普通に喋れるのはオレだけであり、オレと一緒ならアルも大丈夫だがアルだけとなると途端に喋れなくなってしまう。
レーネさんとのお買い物は基本的に彼女のリクエストに応える形にしてみた。
彼女はその巨体と白さで非常に目立つ。
だが彼女自身自分の外套の色が目立つことは自覚していなかった。
すごい実力者なのだがこういうところが抜けていて好感が非常に持てる。
ギャップ萌えの塊のような人だ。
ちなみにその真っ白い外套なのだが、これは魔道具なのだそうだ。
防御力にも非常に優れ、物理魔法問わず高い性能を発揮する。汚れにも強く軽い汚れなら払うだけで落ちてしまうほどで、この真っ白さはその効果が正常に発揮されている証だ。
なので今更この外套を脱ぐわけにも行かず、最終的にはやっぱり深く被ったフードをより深く被ってしまった。
なんとも苦笑いが漏れてしまうけど、彼女としては死活問題なので仕方ない。
まぁ外套の下にはこれまた魔道具なフルプレートアーマーを着用していてまるで要塞のような印象を与える。
以前騎士団詰め所で見た騎士の人なんかよりもずっと重そうな鎧なのだが、レーネさんが着ているとそんな風にはまったく見えない。
背負っている大剣も超重量らしいが重さを感じさせないレベルで扱うことが出来るそうだ。
腰に履いている長剣の方も魔道具であり、レーネさんは全身魔道具装備なのだ。
総額いくらになるかはちょっと計算したくない。
以前特殊進化個体討伐に参加して得られた1回分のお金の全てをつぎ込んでも足がでたくらいの金額だとは教えてくれた。
装備というのは冒険者にとって生死を左右する物だ。
高い物は天井知らずというのがよくわかった。
オレ達がそういう装備を手に入れられるのはいつの日になることやら。
あ、黒狼石の短剣や月陽の首飾りはそれ以上の品らしいので一応手に入れているのか。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【ワタリさん、このぬいぐるみすごく可愛いです……】
【手にとって見たらどうですか?】
【い、いいんですか!?】
【大丈夫ですよ、はい】
【……わぁ……。可愛い……】
レーネさんのたっての希望で訪れたぬいぐるみの館とでも形容すべきお店には所狭しと大小さまざまなぬいぐるみが陳列されている。
その中でもレーネさんの目を惹いたのはグレートピレネーズが2本足で立っているぬいぐるみだ。
ぬいぐるみを前にうっとりしながらも決して手に取ろうとしないレーネさんにちょっと強引に渡してみるとその表情は一気に緩み、破顔してしまった。
まるで幼い子供のように嬉しそうにしているレーネさんに癒されつつも、オレもぬいぐるみを手にとって見る。
「アル、アル。どうかな?」
「ワタリ様、このアル。理性を保つだけで精一杯にございますッ!」
「……そ、そう」
ちょっとふざけてぬいぐるみを抱きしめてにっこり微笑んでみたらアルが鼻を押さえてぷるぷるし始めたのでこれは危険だと判断した。
アルまでエリザベートさん化したらちょっと……いや大分……いや相当困る。
お願いだからエリザベートさん化だけはしないでね、アル。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
結局レーネさんはグレートピレネーズのぬいぐるみを購入し、オレはネーシャのお土産に狐がお座りしているオレの腕くらいの大きさのぬいぐるみを購入した。
意外と安かったのでネーシャが気に入ったら今度つれてこよう。
その後ちょっと露店を冷やかして串焼きを1本ずつ食べると、そろそろネーシャのお迎えの時間だとアルが教えてくれた。
この世界には時計はないが、みんな結構規則正しい生活をしている。
その中でもアルは特に秒単位で時間を正確に把握している節がある。
これも執事能力なのだろうか。アルは実に不思議なやつだ。まぁ便利だからいいけど。
【それでは今日はこの辺で解散ですね。よかったらまた一緒に遊びましょうね】
【はい! 是非ともご一緒させてください! あ、あと……その……】
【ん? 遠慮せずに言ってみてくださいな】
【は、はい! よ、よかったらなんですけど……。い、一緒に依頼をやりませんか!】
フードに隠れた顔が真っ赤になってしまっているレーネさん。
彼女にとっては一世一代の頼みごとなのだろう。
だがランクAとランクFが一緒に依頼をやるのは大丈夫なのか? 考えなくてもランクFのオレの依頼に合わせる事になるし。
【えっと……。でも私のランクはFですよ?】
【はい、それは知っています。でも上のランクの者が下のランクの依頼を受けてはいけないということはないので。
……それに……】
【それに?】
【ワタリさんの実力はランクFとはとても思えません】
レーネさんの顔の赤味が大分引き、真剣な表情でこちらを見ている。
視線を合わせる為にがんばってしゃがんでくれているけど如何せんオレの身長が足りなさ過ぎる。
いやレーネさんがでかすぎるとも言えるけどね。
【ワタリさんが使っていた複数転移は移動距離から考えてもLv1でしょうが、あれだけ連続して使えるというのはランクAでも、専門の人でも少ないくらいです】
【それはこの月陽の首飾りがあるから……】
【それだけではないのは見ていればわかります。それに特殊進化個体討伐協力の際の情報もエリザベートさんから聞いていますので……】
【なるほど。それじゃあそう思うのも仕方ないですね】
【はい。ランクが低いのはまだ登録したばかりだから。でも実力はずっと高いと思います】
【だからランクアップの手伝いをしてくれる、と?】
【実力があるのに勿体無いと思うのも確かです。でも……私は出来ればもっと……その……ワタリさんと仲良く……なりたくて……】
最後の方は尻すぼみにどんどん小さくなっていってしまったけど、そっちの方が本音なのははっきりとわかる。
十数年ぶりに出来た友人なのだ。もっと仲良くなりたい、近づきたいと思うのは当然のことだろう。
久しぶりすぎて距離感を量りかねている感も否めないけど、それは仕方ないだろう。
彼女は冒険者で高ランクで、オレも冒険者。しかも低ランクだ。
教え導くことも可能だろうし、友人の力になりたいという想いもひしひしと伝わってくる。
【わかりました。でも私に付き合って依頼をこなすとなると、お金が全然稼げないと思いますよ?】
【あ、それは平気です。私こう見えても意外とお金持ちなんですよ?】
【あぁそうだよね。特殊進化個体討伐3回してるんだっけ】
【はい! だからそういう心配は必要ありません。だから私にワタリさんのお手伝いをさせてもらえませんか?】
確かにレーネさんが居れば色々と教えてもらえるだろう。
伊達にランクAではないのだ。彼女の立ち居振る舞いや知識は金を払ってでも得るべきものだろう。
だがオレは彼女に隠していることがいっぱいある。戦闘能力なんかもそのうちだ。
一緒に依頼を受けるとなるとその辺を隠し続けるのは難しくなる。
今日1日レーネさんと付き合ってみて彼女は信用できるとは思う。
でもやっぱりまだ1日の付き合いでしかない。確信できるほどではないのだ。
アルはこの世界に来てからずっとの付き合いだし、それ以上にオレが依存してしまっているので信用云々なんてすでに通り越している。
ネーシャは素直で良い子なのはもうわかりきっている。
だからレーネさんもきっと少しの時間をかければ確信できるくらい信用できるだろうと思う。
【えっと、じゃあ毎回ではなく少しずつ一緒にやっていくというのはどうでしょう?】
【はい! もちろんです! ワタリさんのやりやすいようにしてもらって構いません!】
レーネさんもどうやら毎回毎回一緒に、という風には思っていなかったようだ。
あっさりとこちらの案を了承してくれたのでホッと息を吐けた。
ちなみに信用云々の他にも打算的な思惑もあったりする。
このままでは討伐系なんかはエリザベートさんやアルの過保護なまでの妨害により受けることがままならないだろうからだ。実力者のレーネさんが保護者代わりについてきてくれるのなら反対もしづらいはずだ。
そういう打算もあり、レーネさんとはこれからPTを何度も組むつもりなのだ。
とりあえず、試しに明日一緒に依頼を受けるということで今日と同じくらいの時間帯で冒険者ギルドで待ち合わせをして一旦別れることにした。
ちなみにPTはそのままだ。
でもオレには複数転移があるのでそのことを話すと、さすがランクA。転移系のスキルは300m程度離れると巻き込まないということをすぐ教えてくれた。
その300mもPTを組んでいる時にわかるレーダーのような相手との距離を測れる能力によりわかるそうだ。
確かに以前エリザベートさんとPTを組んでネーシャを捜索したときに、範囲外になるとちょっと感じが変わったことは覚えている。
でも大したことでもなかったのでスルーしていた。まさかこういう機能だったとは思わなかったので便利なものだ。
ちなみにさらに離れて3kmくらい距離をあけるとまた感じが変わり、今度は念話が通じなくなるのだそうだ。
PTに効果があるスキルとしては他には、強化系や弱体化系などだがこれらは射程距離が短く、50mも離れると届かないらしい。
もちろん一度かけてしまえば距離を離しても問題ないそうだが。
さっそくレーネさんから色々教えてもらえて非常に勉強になった。
そういってお礼を言うとはにかんだ素敵な笑顔のレーネさんを見ることが出来た。
真っ赤になった焦っている顔ばかり見せていたので、その表情はとても新鮮でほっこりしてしまいこちらも笑顔になってしまう素敵な表情だった。
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