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最終章
173,決戦 Part,2
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なんとかドーム何個分という表現が適切な巨大な広間の端で相手を縫い付けるようにして戦闘を繰り広げているドリルさん。
如何にレーネさんとグレーさんがランクSクラスの実力を持つといっても一瞬であそこまで行けるものではない。
しかし不意を打たれ、2人も戦力を削られて作戦の変更を余儀なくされている状況だ。たどり着くまでの時間は作戦を修正する時間にあてられることになる。
ドリルさんはあの黒い炎の不意打ちを完全に回避するほど敏捷一点特化だからまだもつだろう。というかもたせなさい。
素早くグレーさんが作戦を修正し全員に念話で通達。
中衛がいなくなった分だけ層が薄くなったがなんとかなるだろう。予想以上にドリルさんが使えているからね。
オレ達以外の全員が鬼刃戦前までの彼女しか知らない。
鬼刃戦以降ドリルさんの成長は著しいの一言だろう。今現在と以前の彼女では相当な実力の開きがあるはずだ。それが故に黒い炎の不意打ちを完全回避し、1人でオークロードを押さえ込んでいる事が出来ているのだ。
……ただ惜しむらくは今の彼女ではまったくダメージを与えられないというところだろうか。
魔道具無効化のスキルがなくても彼女の攻撃力では蚊ほどにもダメージを与えられない。
敏捷一点特化の弱点といえるだろう。
彼女の使っている武器もこの状況を作り出している一因だ。
あの極薄の刃は高い器用を活かす武器ではあるが、高い敏捷を活かせる武器ではない。速度に物を言わせて叩きつければ一瞬で粉々になるし、だからといって高い器用による超絶技巧で振ってもオークロードの高い防御力の前には意味をなさないようだ。
……ドリルさんも鈍器持てばいいのに。
耐久性のある鈍器なら速度を活かして叩きつけて叩きつけて叩きつけるだけで防御を突破できるかもしれない。
まぁたぶんその前に持ってられなくなると思うけど。
しかし攻撃力という点に目を瞑れば彼女の速度は頭おかしいと断言できるレベルだ。
現にたった1人でオークロードを縫い付けている。
ほんと頭おかしい。故に頼もしい。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
戦いの場に駆ける中、前から赤い雫が降ってきた。
傷は全員完全に治し終わっている。しかし流れ出た血液が消えるわけではない。
それでもある程度は拭っているがもちろん全部ではない。
最初はそう思った。
しかし先ほど降ってきた赤い雫は違ったようだ。
それはオレの前を走るライリさんが唇を噛み切るほどの悔しさから流れたものだったようだ。
亡くなったアイトさんはエリア姫達の仲間だ。
エリア姫の従者となっているアイトさんとライリさんの2人は相応に付き合いも長かったのだろう。
2人の間に何があったかは知らないが、唇を噛み切るほどに悔しそうにしている様は色々と想像させるには十分だ。
だがそれを口に出さないのは今が非常時で状況をきちんとわかっているからだ。
そうでなければ声を上げて泣きたいだろう。彼のために涙を流したかっただろう。
エリア姫だってきっと同じだろう。
あの姫はアレで仲間思いだと思うし。
今は一刻も早くオークロードを倒して故人を偲べる時間を作ろう。
オークロードの場所まではもう少しだ。
作戦に沿ってグレーさんとレーネさんがさらに速度をあげて突撃する。
弾丸の如く弾かれるように飛び出したレーネさんの速度は尋常じゃない。
勇者の装備の付与効果により急上昇したステータスを完全にコントロールしている。
さらに念話でタイミングを計り、ドリルさんと攻守を瞬時に切り替えオークロードに最初の一撃が繰り出された。
女神の祈りによって魔道具無効化スキルを完全に妨害することに成功しているため、完全に機能している赤熱した朱珠白塵が深々とオークロードを切り裂いた。
しかしその瞬間オークロードの体が一瞬にして黒い霧へと変わり、レーネさんの攻撃が流される。
……吸血鬼とかがもってそうな物理無効化能力か? 大抵こういう場合は魔法攻撃が効くんだよな。
このPTは完全に物理攻撃に特化している構成だ。そうレーネさんとアル以外は解釈している。
しかし実際はオレが回復も攻撃も補助もスキルと魔法でこなせるので万能型のPTだ。
しかもオレはもう力を隠す気なんてさらさらない。
……まぁ言ってないけどさ。言わなくていいなら言わない方がいいだろうし。
だが現状は物理無効化と思われるスキルのような個体能力? のようなものも使ってきている。
魔法で攻撃する前にアレを使ってみるか。
狐槌舞姫の首飾りに魔力を流し、紫電の大槌の柄を起動させると同時に紫電を纏いさらなる能力を開放する。
――第3段階開放、紫幻装身。
瞬時にオレに纏わりついていた紫電が収束し、小さな人型を形作る。
その手に握るのは様々な武器。長剣、大剣、斧槍、大槌、ランス、弓。
計6体の紫電の幼女が姿を現した。
紫の雷で構成された戦闘人形。それが紫幻装身だ。
自動的に戦闘が出来る自立思考を搭載しているが、オレが動かす事も出来る高性能スキルだ。
「わ、わたりん、それはなんじゃ?」
「紫幻装身ですよ。私の装備の固有スキルです。GO!」
「す、すごいのじゃ……」
オレの掛け声と共に散開してオークロードに攻撃を仕掛け始める紫電の人形達。
ステータスは第3段階での魔力を6等分した程度だ。しかし紫電で構成されるその体に物理攻撃はまったく効かない。黒い炎に注意すれば問題ないはずだ。
前衛3人の邪魔にならないように立ち回り、黒い霧となって攻撃を回避するオークロードに対して紫電の武器を駆使してかき乱す。
思ったとおりに霧状態では物理攻撃は効かないが紫電のような魔法攻撃は効くみたいだ。
それもかなり痛そうに呻いている。ダメージ的には微々たるものだろうが高い防御を突破するよりは容易にダメージを与えることが出来ている。
……問題は再生能力と回復能力か。
あるのかどうか微妙だが、あると仮定した方がいいだろう。
紫電の人形が加勢して攻撃の手数が増え、霧になっても逃げる事ができなくなったためにダメージが蓄積されていく。
どうやらオークロードの戦法は黒い炎と霧と魔道具無効化スキルだけのようだ。
戦闘中に転移スキルは使えないのか、まったく使おうとしない。溜めの時間がいるか、消耗が激しいのだろうか。
何にせよ武器もなく、格闘能力も高くないオークロードは黒い炎にさえ気をつければ大したことがない。
しかしあの黒い炎は危険だ。
アレのせいで回避に比重を置くために攻撃が消極的になってしまう。
勇者の装備で身を固めているレーネさんくらいしか気にせず攻撃できる者はいない。
紫電の人形達も黒い炎は直撃したらアウトだ。
ドリルさんとグレーさんは徹底的に攻撃補助に回り、レーネさんを攻撃の要に置いている。
黒い炎が直撃しても大したダメージを負わないレーネさんが防御をほぼ捨てて積極的に攻撃し、レーネさんの攻撃が通り易くなるように他全てが支援する。
赤熱化が止まらない朱珠白塵が凄まじい速さで閃き続ける。
そんな赤を通り越して白くなった、夜空を縦横無尽に駆ける星々の光のような剣閃から逃れるように霧になると人形達が群がり、霧化を阻害する。
「なんとかなりそうじゃな」
「……この程度でしょうか?」
「……まだ変身とか残してそうじゃな。ラスボスはみんなそうじゃ」
【皆のもの! 気を引き締めるのじゃ! まだ何か隠しておるぞ、こやつ!】
転生者のエリア姫らしい台詞のあとに全員に対して警告を発する。
しかしその後も変身することもなく、攻防は続いていく。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「硬いのぅ……。傷が再生していないから再生能力はないようじゃが、どういうことなんじゃ?」
「たぶん、単純にHPが異常なんじゃないですかねぇ……」
「むぅ……」
すでに3時間近く戦闘は続いている。
そろそろ前衛の集中力がきれるのではないだろうか。
紫電の人形達はすでに8代目だ。
彼女達は魔力で動いているので動けば動くほど初期投入の魔力を消耗し、使い切れば消滅する。
もちろん攻撃の手を止めるわけにはいかないので消滅する前に一時的に追加で作成して攻撃に参加させている。
問題は6体以上作る場合はMP消費がとんでもなく上がることだろうか。
そのときだけは王族の不文律を使わないとMPがまったく足りなくなる。
後衛まで攻撃が飛んでくることはほとんどないためにスタミナの回復量は待機状態であっという間に回復してくれるので問題ない。
「でもまずいですね。さすがに黒い炎に注意しなければいけないから精神的な消耗が蓄積されてきています」
「うむ……。しかし決定的なダメージが与えられないのじゃ……。こうやって時間をかけるしかあるまい」
当初のオレの予定は不意打ちによる火力特化で即死を狙うものだったが、すでに状況はそれを許さなくなっている。
紫幻装身を使っているのも原因の1つではあるが、レーネさん達の連携が完璧に決まっているのも大きい。
今無理にオレが火力特化で参加したら連携を乱して最悪取り逃がす可能性がある。
しかし現状ではちまちまダメージを与える事しかできない。
勝敗を決定付けるほどの大ダメージを与える事ができないのだ。
紫幻装身により霧化してもすぐに戻せているが、元に戻ると凄まじいほどの防御力をもって攻撃がほとんど通らない。
レーネさん以外はあの防御を突破できないためダメージにならないし、レーネさんの攻撃は完全に警戒されていて致命的そうなのは全て霧化されて流されてしまっている。
「うーん……。このままじゃこちらが不利ですね」
「むぅ……。ライリ、あとどのくらいもつかの?」
「最長でも2時間が限度かと思います……」
「蒼き巫女の力ですか?」
ライリさんの全ステータス強化+防御支援のユニークスキルは蒼き巫女という名前だ。
しかしどうやら連続で使うには時間制限が存在するらしい。
というかたぶん微々たるものだが徐々に体力なり、MPなりを使っているのだろう。
「まずいのぅ……。撤退も視野に入れねばならぬか……」
正直ここで取り逃がすと後が怖い。
オークロードに傷を回復させる時間を与えたくないし、こちらの手の内を学習された状態で逃がせばどうなるかわからない。
ただでさえ、150階層で待ち伏せなどというこちらの裏をかいてきたのだから。
今度こそ迷宮ではなく、街中で襲い掛かってくる可能性が高い。
そうなると被害はその街全土に及ぶだろう。
……仕方ない。ぐだぐだになって逃がす前に賭けに出ますか。
如何にレーネさんとグレーさんがランクSクラスの実力を持つといっても一瞬であそこまで行けるものではない。
しかし不意を打たれ、2人も戦力を削られて作戦の変更を余儀なくされている状況だ。たどり着くまでの時間は作戦を修正する時間にあてられることになる。
ドリルさんはあの黒い炎の不意打ちを完全に回避するほど敏捷一点特化だからまだもつだろう。というかもたせなさい。
素早くグレーさんが作戦を修正し全員に念話で通達。
中衛がいなくなった分だけ層が薄くなったがなんとかなるだろう。予想以上にドリルさんが使えているからね。
オレ達以外の全員が鬼刃戦前までの彼女しか知らない。
鬼刃戦以降ドリルさんの成長は著しいの一言だろう。今現在と以前の彼女では相当な実力の開きがあるはずだ。それが故に黒い炎の不意打ちを完全回避し、1人でオークロードを押さえ込んでいる事が出来ているのだ。
……ただ惜しむらくは今の彼女ではまったくダメージを与えられないというところだろうか。
魔道具無効化のスキルがなくても彼女の攻撃力では蚊ほどにもダメージを与えられない。
敏捷一点特化の弱点といえるだろう。
彼女の使っている武器もこの状況を作り出している一因だ。
あの極薄の刃は高い器用を活かす武器ではあるが、高い敏捷を活かせる武器ではない。速度に物を言わせて叩きつければ一瞬で粉々になるし、だからといって高い器用による超絶技巧で振ってもオークロードの高い防御力の前には意味をなさないようだ。
……ドリルさんも鈍器持てばいいのに。
耐久性のある鈍器なら速度を活かして叩きつけて叩きつけて叩きつけるだけで防御を突破できるかもしれない。
まぁたぶんその前に持ってられなくなると思うけど。
しかし攻撃力という点に目を瞑れば彼女の速度は頭おかしいと断言できるレベルだ。
現にたった1人でオークロードを縫い付けている。
ほんと頭おかしい。故に頼もしい。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
戦いの場に駆ける中、前から赤い雫が降ってきた。
傷は全員完全に治し終わっている。しかし流れ出た血液が消えるわけではない。
それでもある程度は拭っているがもちろん全部ではない。
最初はそう思った。
しかし先ほど降ってきた赤い雫は違ったようだ。
それはオレの前を走るライリさんが唇を噛み切るほどの悔しさから流れたものだったようだ。
亡くなったアイトさんはエリア姫達の仲間だ。
エリア姫の従者となっているアイトさんとライリさんの2人は相応に付き合いも長かったのだろう。
2人の間に何があったかは知らないが、唇を噛み切るほどに悔しそうにしている様は色々と想像させるには十分だ。
だがそれを口に出さないのは今が非常時で状況をきちんとわかっているからだ。
そうでなければ声を上げて泣きたいだろう。彼のために涙を流したかっただろう。
エリア姫だってきっと同じだろう。
あの姫はアレで仲間思いだと思うし。
今は一刻も早くオークロードを倒して故人を偲べる時間を作ろう。
オークロードの場所まではもう少しだ。
作戦に沿ってグレーさんとレーネさんがさらに速度をあげて突撃する。
弾丸の如く弾かれるように飛び出したレーネさんの速度は尋常じゃない。
勇者の装備の付与効果により急上昇したステータスを完全にコントロールしている。
さらに念話でタイミングを計り、ドリルさんと攻守を瞬時に切り替えオークロードに最初の一撃が繰り出された。
女神の祈りによって魔道具無効化スキルを完全に妨害することに成功しているため、完全に機能している赤熱した朱珠白塵が深々とオークロードを切り裂いた。
しかしその瞬間オークロードの体が一瞬にして黒い霧へと変わり、レーネさんの攻撃が流される。
……吸血鬼とかがもってそうな物理無効化能力か? 大抵こういう場合は魔法攻撃が効くんだよな。
このPTは完全に物理攻撃に特化している構成だ。そうレーネさんとアル以外は解釈している。
しかし実際はオレが回復も攻撃も補助もスキルと魔法でこなせるので万能型のPTだ。
しかもオレはもう力を隠す気なんてさらさらない。
……まぁ言ってないけどさ。言わなくていいなら言わない方がいいだろうし。
だが現状は物理無効化と思われるスキルのような個体能力? のようなものも使ってきている。
魔法で攻撃する前にアレを使ってみるか。
狐槌舞姫の首飾りに魔力を流し、紫電の大槌の柄を起動させると同時に紫電を纏いさらなる能力を開放する。
――第3段階開放、紫幻装身。
瞬時にオレに纏わりついていた紫電が収束し、小さな人型を形作る。
その手に握るのは様々な武器。長剣、大剣、斧槍、大槌、ランス、弓。
計6体の紫電の幼女が姿を現した。
紫の雷で構成された戦闘人形。それが紫幻装身だ。
自動的に戦闘が出来る自立思考を搭載しているが、オレが動かす事も出来る高性能スキルだ。
「わ、わたりん、それはなんじゃ?」
「紫幻装身ですよ。私の装備の固有スキルです。GO!」
「す、すごいのじゃ……」
オレの掛け声と共に散開してオークロードに攻撃を仕掛け始める紫電の人形達。
ステータスは第3段階での魔力を6等分した程度だ。しかし紫電で構成されるその体に物理攻撃はまったく効かない。黒い炎に注意すれば問題ないはずだ。
前衛3人の邪魔にならないように立ち回り、黒い霧となって攻撃を回避するオークロードに対して紫電の武器を駆使してかき乱す。
思ったとおりに霧状態では物理攻撃は効かないが紫電のような魔法攻撃は効くみたいだ。
それもかなり痛そうに呻いている。ダメージ的には微々たるものだろうが高い防御を突破するよりは容易にダメージを与えることが出来ている。
……問題は再生能力と回復能力か。
あるのかどうか微妙だが、あると仮定した方がいいだろう。
紫電の人形が加勢して攻撃の手数が増え、霧になっても逃げる事ができなくなったためにダメージが蓄積されていく。
どうやらオークロードの戦法は黒い炎と霧と魔道具無効化スキルだけのようだ。
戦闘中に転移スキルは使えないのか、まったく使おうとしない。溜めの時間がいるか、消耗が激しいのだろうか。
何にせよ武器もなく、格闘能力も高くないオークロードは黒い炎にさえ気をつければ大したことがない。
しかしあの黒い炎は危険だ。
アレのせいで回避に比重を置くために攻撃が消極的になってしまう。
勇者の装備で身を固めているレーネさんくらいしか気にせず攻撃できる者はいない。
紫電の人形達も黒い炎は直撃したらアウトだ。
ドリルさんとグレーさんは徹底的に攻撃補助に回り、レーネさんを攻撃の要に置いている。
黒い炎が直撃しても大したダメージを負わないレーネさんが防御をほぼ捨てて積極的に攻撃し、レーネさんの攻撃が通り易くなるように他全てが支援する。
赤熱化が止まらない朱珠白塵が凄まじい速さで閃き続ける。
そんな赤を通り越して白くなった、夜空を縦横無尽に駆ける星々の光のような剣閃から逃れるように霧になると人形達が群がり、霧化を阻害する。
「なんとかなりそうじゃな」
「……この程度でしょうか?」
「……まだ変身とか残してそうじゃな。ラスボスはみんなそうじゃ」
【皆のもの! 気を引き締めるのじゃ! まだ何か隠しておるぞ、こやつ!】
転生者のエリア姫らしい台詞のあとに全員に対して警告を発する。
しかしその後も変身することもなく、攻防は続いていく。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「硬いのぅ……。傷が再生していないから再生能力はないようじゃが、どういうことなんじゃ?」
「たぶん、単純にHPが異常なんじゃないですかねぇ……」
「むぅ……」
すでに3時間近く戦闘は続いている。
そろそろ前衛の集中力がきれるのではないだろうか。
紫電の人形達はすでに8代目だ。
彼女達は魔力で動いているので動けば動くほど初期投入の魔力を消耗し、使い切れば消滅する。
もちろん攻撃の手を止めるわけにはいかないので消滅する前に一時的に追加で作成して攻撃に参加させている。
問題は6体以上作る場合はMP消費がとんでもなく上がることだろうか。
そのときだけは王族の不文律を使わないとMPがまったく足りなくなる。
後衛まで攻撃が飛んでくることはほとんどないためにスタミナの回復量は待機状態であっという間に回復してくれるので問題ない。
「でもまずいですね。さすがに黒い炎に注意しなければいけないから精神的な消耗が蓄積されてきています」
「うむ……。しかし決定的なダメージが与えられないのじゃ……。こうやって時間をかけるしかあるまい」
当初のオレの予定は不意打ちによる火力特化で即死を狙うものだったが、すでに状況はそれを許さなくなっている。
紫幻装身を使っているのも原因の1つではあるが、レーネさん達の連携が完璧に決まっているのも大きい。
今無理にオレが火力特化で参加したら連携を乱して最悪取り逃がす可能性がある。
しかし現状ではちまちまダメージを与える事しかできない。
勝敗を決定付けるほどの大ダメージを与える事ができないのだ。
紫幻装身により霧化してもすぐに戻せているが、元に戻ると凄まじいほどの防御力をもって攻撃がほとんど通らない。
レーネさん以外はあの防御を突破できないためダメージにならないし、レーネさんの攻撃は完全に警戒されていて致命的そうなのは全て霧化されて流されてしまっている。
「うーん……。このままじゃこちらが不利ですね」
「むぅ……。ライリ、あとどのくらいもつかの?」
「最長でも2時間が限度かと思います……」
「蒼き巫女の力ですか?」
ライリさんの全ステータス強化+防御支援のユニークスキルは蒼き巫女という名前だ。
しかしどうやら連続で使うには時間制限が存在するらしい。
というかたぶん微々たるものだが徐々に体力なり、MPなりを使っているのだろう。
「まずいのぅ……。撤退も視野に入れねばならぬか……」
正直ここで取り逃がすと後が怖い。
オークロードに傷を回復させる時間を与えたくないし、こちらの手の内を学習された状態で逃がせばどうなるかわからない。
ただでさえ、150階層で待ち伏せなどというこちらの裏をかいてきたのだから。
今度こそ迷宮ではなく、街中で襲い掛かってくる可能性が高い。
そうなると被害はその街全土に及ぶだろう。
……仕方ない。ぐだぐだになって逃がす前に賭けに出ますか。
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