4 / 7
4
しおりを挟む
オリヴィエの護衛にシフォンが選ばれたと聞いたのは、それから3日後のお茶会でのことだった。
どうやら前回のお茶会で話していたストーカーがついに部屋にまで侵入した痕跡が出たらしい。
オリヴィエの家の騎士団からも護衛騎士はいるはずだけど、より犯人を特定するために一時的に魔法騎士団を数名オリヴィエにつけることにしたとのことだった。
「それで、オリヴィエ様とシフォン様がいい感じだとか!」
「まぁ!素敵ですわね」
オリヴィエの取り巻きがキャッキャと声をあげている。
毎回パーティにはシフォンを伴って出席しているのだ、私がシフォンをストーカーしているなんてことは知らないにしても、少なからず想っているのはわかっているはずなのに、彼女達は私に目も向けずに話している。
「お二人が熱く見つめ合っている姿が目撃されたとか」
「まぁぁ!素敵ですわね」
「!」
み、見つめ合って...?
いつもどこか遠くの方を見つめているシフォンが?
いつも腕を絡めても何をしてもまるで何もないかのように振る舞っているシフォンが?
オリヴィエ様を、見つめて...?
じんわりと涙が出そうになるのを耐える。
こんなとこで泣くなんて伯爵令嬢の矜恃にかかわる。
それが本当の相思相愛。
私なんて眼中にない、その証拠にこの3日間、ぱったりとシフォンの前に姿を表さなくなった私をシフォンが気にする素振りはなかった。
この三日間、シフォンと私は愛し合っていたわけではなかったという事実を肯定したり否定したりを繰り返してきた。
人間は自分に都合の良い事実を信じたいものなのだ。
はっきりとシフォンから拒絶の言葉が出ていないのに、シフォンの心を悪い方に断言するなんて出来なかった。
でも、そんなもしかしてという淡い希望も、客観的に見た今の現状が否定してくる。
シフォンは、ずっと苦痛だったのだ。
気持ち悪いストーカーに悩まされて、身分差ゆえに拒否もできずに、、、
だから、やっと解放されたのに...
帰りの馬車で、耐えきれずに涙が出た。
オリヴィエ様とシフォンが結婚なんてしたら、私はもう社交界に出ることすら出来ないかもしれない。
それくらい、シフォンが好きなのに。
「うっ、...ねぇ、少し近くのカフェに寄ってちょうだい。」
ガタガタと揺れる馬車の中、御者に向かって話しかける。
「でも、この後、シフォン様が屋敷に来られるご予定でしたよ?」
私のシフォンへの想いは家のものであれば周知の事実だ。
御者も気を利かせて言ってくれたのだが、シフォンは私にではなく父に用事があるのだ。居なくても全く問題はないし、居た方がむしろ問題なのだ。
「い、いいの。いいから寄ってちょうだい...」
「へ、へぇ...」
少し涙声になっているのが御者にも伝わったのか、戸惑いながらも行き先を街の方へ変更してくれた。
今は1人で居たい気分なのだ、ましてやシフォンが家にくるなんて会えば号泣してしまう。
昔シフォンに貰ったルビーのペンダントをギュッと握りしめる。
心なしか少し熱を持ったような気がした。
どうやら前回のお茶会で話していたストーカーがついに部屋にまで侵入した痕跡が出たらしい。
オリヴィエの家の騎士団からも護衛騎士はいるはずだけど、より犯人を特定するために一時的に魔法騎士団を数名オリヴィエにつけることにしたとのことだった。
「それで、オリヴィエ様とシフォン様がいい感じだとか!」
「まぁ!素敵ですわね」
オリヴィエの取り巻きがキャッキャと声をあげている。
毎回パーティにはシフォンを伴って出席しているのだ、私がシフォンをストーカーしているなんてことは知らないにしても、少なからず想っているのはわかっているはずなのに、彼女達は私に目も向けずに話している。
「お二人が熱く見つめ合っている姿が目撃されたとか」
「まぁぁ!素敵ですわね」
「!」
み、見つめ合って...?
いつもどこか遠くの方を見つめているシフォンが?
いつも腕を絡めても何をしてもまるで何もないかのように振る舞っているシフォンが?
オリヴィエ様を、見つめて...?
じんわりと涙が出そうになるのを耐える。
こんなとこで泣くなんて伯爵令嬢の矜恃にかかわる。
それが本当の相思相愛。
私なんて眼中にない、その証拠にこの3日間、ぱったりとシフォンの前に姿を表さなくなった私をシフォンが気にする素振りはなかった。
この三日間、シフォンと私は愛し合っていたわけではなかったという事実を肯定したり否定したりを繰り返してきた。
人間は自分に都合の良い事実を信じたいものなのだ。
はっきりとシフォンから拒絶の言葉が出ていないのに、シフォンの心を悪い方に断言するなんて出来なかった。
でも、そんなもしかしてという淡い希望も、客観的に見た今の現状が否定してくる。
シフォンは、ずっと苦痛だったのだ。
気持ち悪いストーカーに悩まされて、身分差ゆえに拒否もできずに、、、
だから、やっと解放されたのに...
帰りの馬車で、耐えきれずに涙が出た。
オリヴィエ様とシフォンが結婚なんてしたら、私はもう社交界に出ることすら出来ないかもしれない。
それくらい、シフォンが好きなのに。
「うっ、...ねぇ、少し近くのカフェに寄ってちょうだい。」
ガタガタと揺れる馬車の中、御者に向かって話しかける。
「でも、この後、シフォン様が屋敷に来られるご予定でしたよ?」
私のシフォンへの想いは家のものであれば周知の事実だ。
御者も気を利かせて言ってくれたのだが、シフォンは私にではなく父に用事があるのだ。居なくても全く問題はないし、居た方がむしろ問題なのだ。
「い、いいの。いいから寄ってちょうだい...」
「へ、へぇ...」
少し涙声になっているのが御者にも伝わったのか、戸惑いながらも行き先を街の方へ変更してくれた。
今は1人で居たい気分なのだ、ましてやシフォンが家にくるなんて会えば号泣してしまう。
昔シフォンに貰ったルビーのペンダントをギュッと握りしめる。
心なしか少し熱を持ったような気がした。
223
あなたにおすすめの小説
【完結】断りに行ったら、お見合い相手がドストライクだったので、やっぱり結婚します!
櫻野くるみ
恋愛
ソフィーは結婚しないと決めていた。
女だからって、家を守るとか冗談じゃないわ。
私は自立して、商会を立ち上げるんだから!!
しかし断りきれずに、仕方なく行ったお見合いで、好みど真ん中の男性が現れ・・・?
勢いで、「私と結婚して下さい!」と、逆プロポーズをしてしまったが、どうやらお相手も結婚しない主義らしい。
ソフィーも、この人と結婚はしたいけど、外で仕事をする夢も捨てきれない。
果たして悩める乙女は、いいとこ取りの人生を送ることは出来るのか。
完結しました。
モブの私がなぜかヒロインを押し退けて王太子殿下に選ばれました
みゅー
恋愛
その国では婚約者候補を集め、その中から王太子殿下が自分の婚約者を選ぶ。
ケイトは自分がそんな乙女ゲームの世界に、転生してしまったことを知った。
だが、ケイトはそのゲームには登場しておらず、気にせずそのままその世界で自分の身の丈にあった普通の生活をするつもりでいた。だが、ある日宮廷から使者が訪れ、婚約者候補となってしまい……
そんなお話です。
私と彼の恋愛攻防戦
真麻一花
恋愛
大好きな彼に告白し続けて一ヶ月。
「好きです」「だが断る」相変わらず彼は素っ気ない。
でもめげない。嫌われてはいないと思っていたから。
だから鬱陶しいと邪険にされても気にせずアタックし続けた。
彼がほんとに私の事が嫌いだったと知るまでは……。嫌われていないなんて言うのは私の思い込みでしかなかった。
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
【完結】貧乏子爵令嬢は、王子のフェロモンに靡かない。
櫻野くるみ
恋愛
王太子フェルゼンは悩んでいた。
生まれつきのフェロモンと美しい容姿のせいで、みんな失神してしまうのだ。
このままでは結婚相手など見つかるはずもないと落ち込み、なかば諦めかけていたところ、自分のフェロモンが全く効かない令嬢に出会う。
運命の相手だと執着する王子と、社交界に興味の無い、フェロモンに鈍感な貧乏子爵令嬢の恋のお話です。
ゆるい話ですので、軽い気持ちでお読み下さいませ。
【短編版】番の身代わり婚約者を辞めることにしたら、冷酷な龍神王太子の様子がおかしくなりました
降魔 鬼灯
恋愛
コミカライズ化進行中。
連載版もあります。
ユリアンナは王太子ルードヴィッヒの婚約者。
幼い頃は仲良しの2人だったのに、最近では全く会話がない。
月一度の砂時計で時間を計られた義務の様なお茶会もルードヴィッヒはこちらを睨みつけるだけで、なんの会話もない。
義務的に続けられるお茶会。義務的に届く手紙や花束、ルートヴィッヒの色のドレスやアクセサリー。
でも、実は彼女はルートヴィッヒの番で。
彼女はルートヴィッヒの気持ちに気づくのか?ジレジレの二人のお茶会
三話完結
コミカライズ化に伴いタイトルを『憂鬱なお茶会〜殿下、お茶会を止めて番探しをされては?え?義務?彼女は自分が殿下の番であることを知らない。溺愛まであと半年〜』から
『番の身代わり婚約者を辞めることにしたら、冷酷な龍神王太子の様子がおかしくなりました』に変更させていただきます。
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる