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馬車を降りてカフェに向かう。
ここからは少し歩かないといけない。
街に出るのはいつぶりだろう。
シフォンと昔、街に出た記憶はあるけど
ここ最近は家かお茶会かシフォンの訓練場、たまにあるパーティ会場かのいずれかでしか行動していなかった。
今度気分転換に旅行でも行こうかな。
空気の澄んだ、領地でゆっくり過ごすのもいいかもしれない。
あそこには5歳ほど歳の離れたもう1人の幼馴染がいたし
「そう言えばここ数年ルイに会ってないわね」
ルイとはシフォンとは別のもう1人の幼馴染である。
ポソリと呟いたら、胸に光るルビーのペンダントが心なしか熱くなる
「?」
チラリと見るがそこにはいつもと変わらない普通のペンダントがそこにはあった。
「気のせいね...」
シフォンのことが好きすぎてペンダントの存在に縋り始めているのだろうか。
本当に嫌になってしまう。
はぁ、とため息をついて目的のカフェが見えてきたところで
入り口に誰かが立っているのが見えた。
その人物を私が見間違えるはずがない。
漆黒の髪と漆黒の瞳。
端正な顔立ちにスラリとした高身長。
魔法騎士団を思わせる騎士服を着ている。
「シ、フォン...」
「....」
いつもは私を見ないシフォンが、カフェから少し離れたところで歩みを止めた私をじっと見つめている。
どうしてここにいるのだろうか、と思ったところでハッとする。
今はオリヴィエ様の護衛をしているし、彼女がカフェにいるのかもしれない。
いやでも、ストーカー被害のため、今は家から出ないようにしていると言っていた。だから今日のお茶会にも参加していなかったし...。
でも、もしかしたら、息抜きのために...
それか、もしかして、デート.....
じんわりとまた涙が出てきて、別のカフェに行こうと踵を返す。
歩き始めたところで腕を強い力で引かれた。
「...どこに行くの、アリス。」
「!」
久しぶりに聞くシフォンの声。
咄嗟に振り返ると、いつもの無表情と変わらないはずなのに、とても冷たい顔をしたシフォンの顔が近くにあった。
「ひっ」
思わず声を漏らすと、なおも無表情な顔で迫ってくる。
「駄目だよ、他の男が存在する場所の移動は、許してない。」
「?」
ギュッと両腕を痛くない強さで掴まれて、真っ直ぐ至近距離で見つめられる。
「帰ろうか。」
「!し、フォン。ど、どうー」
言葉を言い終わる前にギュッと抱きしめられ、その場が光る。
パァ、と眩しい光の中に戸惑った私の専属騎士の顔が見えた。
ここからは少し歩かないといけない。
街に出るのはいつぶりだろう。
シフォンと昔、街に出た記憶はあるけど
ここ最近は家かお茶会かシフォンの訓練場、たまにあるパーティ会場かのいずれかでしか行動していなかった。
今度気分転換に旅行でも行こうかな。
空気の澄んだ、領地でゆっくり過ごすのもいいかもしれない。
あそこには5歳ほど歳の離れたもう1人の幼馴染がいたし
「そう言えばここ数年ルイに会ってないわね」
ルイとはシフォンとは別のもう1人の幼馴染である。
ポソリと呟いたら、胸に光るルビーのペンダントが心なしか熱くなる
「?」
チラリと見るがそこにはいつもと変わらない普通のペンダントがそこにはあった。
「気のせいね...」
シフォンのことが好きすぎてペンダントの存在に縋り始めているのだろうか。
本当に嫌になってしまう。
はぁ、とため息をついて目的のカフェが見えてきたところで
入り口に誰かが立っているのが見えた。
その人物を私が見間違えるはずがない。
漆黒の髪と漆黒の瞳。
端正な顔立ちにスラリとした高身長。
魔法騎士団を思わせる騎士服を着ている。
「シ、フォン...」
「....」
いつもは私を見ないシフォンが、カフェから少し離れたところで歩みを止めた私をじっと見つめている。
どうしてここにいるのだろうか、と思ったところでハッとする。
今はオリヴィエ様の護衛をしているし、彼女がカフェにいるのかもしれない。
いやでも、ストーカー被害のため、今は家から出ないようにしていると言っていた。だから今日のお茶会にも参加していなかったし...。
でも、もしかしたら、息抜きのために...
それか、もしかして、デート.....
じんわりとまた涙が出てきて、別のカフェに行こうと踵を返す。
歩き始めたところで腕を強い力で引かれた。
「...どこに行くの、アリス。」
「!」
久しぶりに聞くシフォンの声。
咄嗟に振り返ると、いつもの無表情と変わらないはずなのに、とても冷たい顔をしたシフォンの顔が近くにあった。
「ひっ」
思わず声を漏らすと、なおも無表情な顔で迫ってくる。
「駄目だよ、他の男が存在する場所の移動は、許してない。」
「?」
ギュッと両腕を痛くない強さで掴まれて、真っ直ぐ至近距離で見つめられる。
「帰ろうか。」
「!し、フォン。ど、どうー」
言葉を言い終わる前にギュッと抱きしめられ、その場が光る。
パァ、と眩しい光の中に戸惑った私の専属騎士の顔が見えた。
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