1 / 6
1
しおりを挟むある日、森の中、王子様に出会った。
あまりの衝撃に、私は前世を思い出した。
それは5歳の頃の出来事だった。
-----------------------------------
この世界は前世でプレイしていた乙女ゲームの世界に類似している
国の第一皇子、第二皇子、騎士、魔法使い、幼馴染、学園の先輩、双子、などなど攻略できる人間が多すぎて全員はクリアしていない。
その中でヤンデレ枠の第二皇子のヤバさったらない。
ハッピーエンドで監禁、ノーマルエンドは監禁、バッドエンドなら監禁。
いや全部監禁やないかーい
そんな好きな女は監禁しか脳のない第二皇子にばったりうっかり出くわしてしまった。びっくりしすぎて前世を思い出してしまったらしい。
フリーズした私は目をかっぴらいて皇子を見つめていたことだろう。
----------------------------------
5歳になると、お茶会という名の第二皇子の婚約者探し会が定期的に開催された。
幼い頃から定期的に開催し、最終的に15歳の学園入学までに皇子の婚約者候補は4人に絞られる。
そこから卒業までに妃を決める。
はじめこそ興味がなさすぎるし婚約者候補に残るなんて競争ごとに自分がうまく立ち回れるとは5歳ながらに思わなかったため
皇子ではなく、普段目にできぬであろうお茶会のお菓子達に熱心に目を向けていた。
そんな私がある日のお茶会前にうっかりお城の敷地内にある森に入り込んで、ばったり皇子と出会って前世を思い出して、自分の失態に気づいてしまった。
そう、第二皇子は『おもしれぇ女』が大好きなのである。
皇子に目もくれずお菓子へ視線を向ける私なんておもしれぇ判定の危険性しかない。
尚且つこんな男に万が一でも見初められてしまったが最後。
監禁人生まっしぐら、動けるスペースベットの周辺半径1mの鎖生活である。
そんなん怖すぎるだろうて!
そんなこんなでそこからの私の切り替えは早かった。
皇子に恋する女の子である。
そう、他の女の子と同じ、お菓子なんて興味ないし、あるのは皇子という肩書きとその顔の美貌のみ!!
「今日も素敵ですわ...絶対私が皇子妃になりますの!」
とか呟きながらうっとり見つめるようにする。他の候補から睨まれ、しかし皇子には無視される。これぞモブ。なんたるモブ。きっとゲーム画面では皇子の外見を説明するだけのためにセリフを与えられた目が描かれてない令嬢1の締めのセリフみたいになっていただろう。
澄ました顔でお茶を飲む王子の姿に惚れ惚れする女子達、に紛れて一緒に惚れ惚れする私。
グッジョブである。
115
あなたにおすすめの小説
外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます
刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない
斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。
襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……!
この人本当に旦那さま?
って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!
これは王命です〜最期の願いなのです……抱いてください〜
涙乃(るの)
恋愛
これは王命です……抱いてください
「アベル様……これは王命です。触れるのも嫌かもしれませんが、最後の願いなのです……私を、抱いてください」
呪いの力を宿した瞳を持って生まれたサラは、王家管轄の施設で閉じ込められるように暮らしていた。
その瞳を見たものは、命を落とす。サラの乳母も母も、命を落としていた。
希望のもてない人生を送っていたサラに、唯一普通に接してくれる騎士アベル。
アベルに恋したサラは、死ぬ前の最期の願いとして、アベルと一夜を共にしたいと陛下に願いでる。
自分勝手な願いに罪悪感を抱くサラ。
そんなサラのことを複雑な心境で見つめるアベル。
アベルはサラの願いを聞き届けるが、サラには死刑宣告が……
切ない→ハッピーエンドです
※大人版はムーンライトノベルズ様にも投稿しています
後日談追加しました
【完結】貧乏子爵令嬢は、王子のフェロモンに靡かない。
櫻野くるみ
恋愛
王太子フェルゼンは悩んでいた。
生まれつきのフェロモンと美しい容姿のせいで、みんな失神してしまうのだ。
このままでは結婚相手など見つかるはずもないと落ち込み、なかば諦めかけていたところ、自分のフェロモンが全く効かない令嬢に出会う。
運命の相手だと執着する王子と、社交界に興味の無い、フェロモンに鈍感な貧乏子爵令嬢の恋のお話です。
ゆるい話ですので、軽い気持ちでお読み下さいませ。
【完結】微笑みを絶やさない王太子殿下の意外な心の声
miniko
恋愛
王太子の婚約者であるアンジェリクは、ある日、彼の乳兄弟から怪しげな魔道具のペンダントを渡される。
若干の疑念を持ちつつも「婚約者との絆が深まる道具だ」と言われて興味が湧いてしまう。
それを持ったまま夜会に出席すると、いつも穏やかに微笑む王太子の意外な心の声が、頭の中に直接聞こえてきて・・・。
※本作は『氷の仮面を付けた婚約者と王太子の話』の続編となります。
本作のみでもお楽しみ頂ける仕様となっておりますが、どちらも短いお話ですので、本編の方もお読み頂けると嬉しいです。
※4話でサクッと完結します。
旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。
海咲雪
恋愛
結婚式当日、私レシール・リディーアとその夫となるセルト・クルーシアは初めて顔を合わせた。
「君を愛する気はない」
そう旦那様に言い放たれても涙もこぼれなければ、悲しくもなかった。
だからハッキリと私は述べた。たった一文を。
「逃げるのですね?」
誰がどう見ても不敬だが、今は夫と二人きり。
「レシールと向き合って私に何の得がある?」
「可愛い妻がなびくかもしれませんわよ?」
「レシール・リディーア、覚悟していろ」
それは甘い溺愛生活の始まりの言葉。
[登場人物]
レシール・リディーア・・・リディーア公爵家長女。
×
セルト・クルーシア・・・クルーシア公爵家長男。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる