転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽

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96話 シグレと幼き聖女様

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(Side シグレ)

 なぁ、人間ってこんなあっさり死ぬんだな。
 一応言っとくが俺が死んだ時に思った事だからな?
 別に殺したりとかはしていない。
 俺は転生者ではなく、転移者である。
 
「ねぇ、まだ?早くー!」

 ――バンっ!バンッ!

 この幼女………もとい聖女様は我儘だ。
 ミウ様は齢4歳で、この国の聖女だ。

「んー。もうすぐだな。ちょっと待て。……ってあんまり近づくなよ?」

「いー匂い。ミウ待てないかも?」

 今、ケーキを焼いている。聖女様用の小さいやつな。
 俺は神様…………えーと、どの神かは忘れたが神によって転移させられた。
 おっと、最初に言った通り俺は死んだ。
 その体を修復し、更に魂を戻したらしい。
 神様いわく、新しい体を与えるのが面倒臭かったらしい。
 ………………面と向かって死んだばかりの俺たちに言うものだから少し泣きそうになったな………。

「ほら、コレ食って待ってろ」

 聖女様にジャーキーを与えて大人しくさせる。
 コレ、便利だわ。あの聖女様が大人しくなるからな。
 ジャーキーは硬いしよく噛まないといけないからどうしても大人しくなる。その間に焼けるのを待つとしよう。
 ちゃっちゃかとクリームの用意をし、ちょっと笑った。
 ジャーキーを引っ張ったりしている聖女様が少し面白い。…………あ、睨まれた。

ふぁわく、ずぐどゅ!はやく、つくる!

「はいはい」

 でも転移といってもその後の責任は神様は持たないと言われた。
 まぁ、当たり前だな……神様のせいで死んだわけでもないし、善意で記憶保持のまま前世の体で飛ばしてくれるわけだから。
 何故、神様が他の世界に転移させたのかは説明はなかったがやばい時には神託を降ろすからよろしく~と軽く言われた。ちなみに俺、時雨しぐれと親友2人で転移している。
 最初は冒険者になってみたりもしたけどなんか有名になると周りがうるさくなって3人でいる時間が全然取れなくなった。だから辞めた。次に隣国で商売を始めたが筋肉バカの親友紅蓮ぐれんが貴族相手に喧嘩売って帰ってきたため断念。最後にこの国で魔法について研究してみたがラノベ好きの親友千春ちはるが暴走した。
 なんか、魔法の才能があったらしく見事元からあった厨二病が綺麗に悪化した。
 …………つまり辞職した。いや、あの白い目で見られてみ?凄い恥ずかしくなるから!まぁ、救いだったのはこの世界の基準で彼女は成人済みに見えない身長だったため年齢を知らない人は温かい目で見てくれた事だろう。
 ………いま思い出しても最後のはやばいかったな……。

―――ピピピッ!

 おっ、いい匂いだ。シフォンケーキにしては上出来。一応料理ができるとはいえ俺は料理人ではなかったのでそんなに上手くは作れない。

 クイッ

 ズボンを引っ張られ脱げた。
 …………。
 …………………。

「うわぁぁあ!変態っ!」

 腹を抱えて笑っている聖女様は意地悪だと思うんだ。
 絶対わざと引っ張っただろ?!

「ぷっ……あ、あはははは!」

 ズボンを履き直し、無言で切り分けたケーキを持ち上げ歩く。すると楽しみにしていた聖女様がとてとてと着いてきた。んで、俺はゴミ箱の前に立ち………

「!?メッ!メッ!」

 何をするか悟ったらしい。大人げない?可哀想?
 残念、俺はそんな優しくはないのでーす。

 と、いうわけでポケットから人参を取り出した。

「あ、あぁ゙……メッ……」
 
 聖女様が絶望している。

「ざんねーん」

 んで、ケーキを一回聖女様の手が届かない近くの棚において、あらかじめ皮を向いておいた人参をサバイバルナイフでざっと切る。

「!!!ケーキ………」

 必死にぴょんぴょんしているが全然届かない。勿論踏み台でも無理だ。それを尻目に切った人参を水を魔法で作り
風魔法でで球体型にして浮かせその中に入れた。

「むぅ…………。グレーーン、どこー?!」

 なるほど、紅蓮の手を借りるのか。

 さて、火で水の温度を急激に上げ一気に煮た。
 出来上がった人参を取り出す。

「んー、呼んだか?」

「ケーキ、アレ」

「……………またやってんのな…」

 呆れるのやめて欲しいんだけど?!俺だって好きでやってるわけじゃ……わけじゃ……いや、やっぱ楽しいわ(笑)
 細かくしてソースみたいにしてケーキにかける。
 はーい、完成。

「あ……………むぅ…」

「ケーキ出来たぞ?どうした?食べたいと言ってたじゃんか、食べないのか?じゃあ、俺が……」

「食べない、言ってない!むぅ……」

 聖女様の前に置くと膨れてケーキとにらめっこしている。……実は人参が嫌いで食べないんだ、この幼女様。
 嫌がら…………ごほん、好き嫌いが治るよう俺は心を鬼にして時々使っている。とはいえ、最終的には俺が作ったやつなら食べてくれはするが。

 うん、美味しいな。……ん?俺の?イチゴのクリームだけど?聖女様も羨ましそうに見ている。

「はぁ、半分食べたら俺のも半分やるよ。はんぶんこな」

 聖女様が嬉しそうに笑う。聖女様は一人で教会に預けられている。両親に会えるのも年に数回。寂しいのもあるだろうな。はんぶんこすると言うだけでこの笑顔。周りは媚を売る者や敬う堅苦しい人しかいないのだから。

「うん。はんぶんこ!!…………ん…お友達のお姫様、今度、呼んでいい?お菓子あげる」

 …………この流れで言ったら作るの俺だろうな。

「と、友達?!ミウ様に?!た、大変だ!」

 いや、何故紅蓮が騒いでるんだ?!なんか娘に初めて友達できたみたいな反応なんだけど??独身だったよな?!

「俺はいいけど。口調直らないし、何なら失礼に当たるけどいいのか?あと、神官長に許可貰いな」

「はーい」

 というかいつ王女様?に出会ったんだ?……あ、昨日どっかに行ってしまい捜索してたな。アレか。
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