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第三章 新メンバー登場
命に代えて……
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荷馬車に揺られながら地図を広げて作戦会議。
「さて、次はどこに行こうか」
「面倒ごとのない普通の村に行きたいよな」
今は何となく北に向かって進んでいるだけ。
エドワードが剣の手入れをしながら言った。
「そろそろ剣を使いたいよね。冒険始めて二ヶ月目に入るのに全然剣の出番ないからさ」
「確かに」
エドワードは将来騎士になりたいのだ。剣を扱わない日々が続けば感も鈍くなるというものだ。
「うーん、じゃあ、ここなんてどう?」
リアムが地図上の、ある場所を指差した。
「ここは……山?」
「うん。ギルドの依頼は受けられないけど、魔物が沢山いるって噂だよ」
「魔物倒したことないけど大丈夫かな」
「サキュバス倒しておいて何ビビってんだよ」
「いや、あれは倒した内に入らないし……」
「上の方まで行かなければ大丈夫だよ。下の方は下級魔物しかいないらしいから。それに、下級でもたまにレアな魔石が手に入ることがあるみたいだよ」
「それは行くしかありませんわ。是非レアな魔石を手に入れましょう」
魔石は魔物を倒したら出てくる。
この国で魔石は日常生活に必要な電力の供給源として使用されている。しかし、レアな魔石は剣や盾等、武器に付ければ特殊な力を発揮するのだとか。
「御者に行き先伝えてくるね」
エドワードが上機嫌に馬車の小窓から御者に進路を伝えた。
◇
数時間後、山の麓に到着。
「聖人様、本当にこちらで待っていなくて宜しいのですか?」
「何日滞在するか分かんないからね」
御者と別れの挨拶を済ませた俺達は、ひとまず食事をすることにした。
「何か凄い鳴き声聞こえるな」
「ジェラルドはこういうのは怖くないの?」
「生きてるからな」
「こっちの方が遺跡より不気味だと思うけど」
山からはキキー、ギャオォォォ、と魔物の鳴き声が聞こえる。
「でも何でこの山には魔物が沢山いるのに、山の周りは何もいないんだろ」
俺の問いにリアムが応えた。
「魔素や瘴気の関係だと思うよ。魔物にとったらこの山は居心地が良いんじゃないかな。人間だって居心地が良い所からわざわざ出たがらないでしょ」
「なるほど」
つまり、この辺は安全というわけだ。
「ノエルとリアムはここで待っててよ。食べたら三人で登ってくるから」
すると、ノエルとリアムが不機嫌な顔になった。
「わたくしはお兄様に付いて行きますわ」
「僕も行くよ」
「でも、ここにいた方が安全だし」
「どこにいたって命に代えて守ってくれるんだよね? あれは嘘だったの?」
「いや、嘘じゃないけど」
皆の前で言わなくても……。
俺は確かにリアムに言ったのだ。
『命に代えても守る』
と。俺はリアムと同室になった時に、ひまわりの刺繍の意味について説明した——。
『そのひまわりの意味は告白とかじゃないからね。リアムがもっと輝いて上に立てたらなって意味で』
『分かってるよ』
『なんだ』
嫌われたかもと思ったのは杞憂だったのかもしれない。だが、まだ怒っているように見える。この際、率直に聞いてみることにした。
『リアム、怒ってる?』
『怒ってないよ』
『本当に? 俺のこと嫌いじゃない?』
『どうして僕が嫌いになるの? 逆でしょ普通。僕があんなことしたんだから』
俺を押し倒したことは覚えているようだ。あえて口に出さなかったのか。
『あれは仕方ないじゃん。リアムのせいじゃないよ』
『じゃあ、どうしてあんな貴重なアイテムくれるの? 僕があんなことになって惨めで哀れだとでも思ったの? それとも魔法の使えない僕が可哀想だと思った?』
『やっぱり怒ってるじゃん』
リアムはバツが悪そうに目を逸らした。
『ごめん。言い過ぎた』
『思ってちゃ悪いの? リアムに少しでも危険な目に遭ってほしくなくて、みんなで話し合ったんだから。こんな冒険に付き合わせた責任だってあるし』
『それは自分の意思だよ。君に責任はない』
『例えそうだとしても……とにかく、リアムが嫌だって、余計なお世話だって言っても俺はリアムを命に代えても守り抜くから! そのマント道中外したら絶交だからね』
言いたいことだけ言って俺は毛布に包まった——。
リアムがその事を言うものだから、皆の視線が俺とリアムに集まっている。
「さすが勇者だね。リアム殿下にそんなこと言ったの?」
「俺も遺跡に入る時言われたかったな」
「その格好良いセリフはなんですの? リアム殿下、詳しくお聞かせ下さいませ」
ノエルはメモをとり始めた。
「わー、良いから! リアムも嬉しそうに応えなくて良いから」
「僕も連れてってくれる?」
「分かったよ。みんなで行こう」
こうして俺達はレア魔石採取のため、山登りを開始した——。
「さて、次はどこに行こうか」
「面倒ごとのない普通の村に行きたいよな」
今は何となく北に向かって進んでいるだけ。
エドワードが剣の手入れをしながら言った。
「そろそろ剣を使いたいよね。冒険始めて二ヶ月目に入るのに全然剣の出番ないからさ」
「確かに」
エドワードは将来騎士になりたいのだ。剣を扱わない日々が続けば感も鈍くなるというものだ。
「うーん、じゃあ、ここなんてどう?」
リアムが地図上の、ある場所を指差した。
「ここは……山?」
「うん。ギルドの依頼は受けられないけど、魔物が沢山いるって噂だよ」
「魔物倒したことないけど大丈夫かな」
「サキュバス倒しておいて何ビビってんだよ」
「いや、あれは倒した内に入らないし……」
「上の方まで行かなければ大丈夫だよ。下の方は下級魔物しかいないらしいから。それに、下級でもたまにレアな魔石が手に入ることがあるみたいだよ」
「それは行くしかありませんわ。是非レアな魔石を手に入れましょう」
魔石は魔物を倒したら出てくる。
この国で魔石は日常生活に必要な電力の供給源として使用されている。しかし、レアな魔石は剣や盾等、武器に付ければ特殊な力を発揮するのだとか。
「御者に行き先伝えてくるね」
エドワードが上機嫌に馬車の小窓から御者に進路を伝えた。
◇
数時間後、山の麓に到着。
「聖人様、本当にこちらで待っていなくて宜しいのですか?」
「何日滞在するか分かんないからね」
御者と別れの挨拶を済ませた俺達は、ひとまず食事をすることにした。
「何か凄い鳴き声聞こえるな」
「ジェラルドはこういうのは怖くないの?」
「生きてるからな」
「こっちの方が遺跡より不気味だと思うけど」
山からはキキー、ギャオォォォ、と魔物の鳴き声が聞こえる。
「でも何でこの山には魔物が沢山いるのに、山の周りは何もいないんだろ」
俺の問いにリアムが応えた。
「魔素や瘴気の関係だと思うよ。魔物にとったらこの山は居心地が良いんじゃないかな。人間だって居心地が良い所からわざわざ出たがらないでしょ」
「なるほど」
つまり、この辺は安全というわけだ。
「ノエルとリアムはここで待っててよ。食べたら三人で登ってくるから」
すると、ノエルとリアムが不機嫌な顔になった。
「わたくしはお兄様に付いて行きますわ」
「僕も行くよ」
「でも、ここにいた方が安全だし」
「どこにいたって命に代えて守ってくれるんだよね? あれは嘘だったの?」
「いや、嘘じゃないけど」
皆の前で言わなくても……。
俺は確かにリアムに言ったのだ。
『命に代えても守る』
と。俺はリアムと同室になった時に、ひまわりの刺繍の意味について説明した——。
『そのひまわりの意味は告白とかじゃないからね。リアムがもっと輝いて上に立てたらなって意味で』
『分かってるよ』
『なんだ』
嫌われたかもと思ったのは杞憂だったのかもしれない。だが、まだ怒っているように見える。この際、率直に聞いてみることにした。
『リアム、怒ってる?』
『怒ってないよ』
『本当に? 俺のこと嫌いじゃない?』
『どうして僕が嫌いになるの? 逆でしょ普通。僕があんなことしたんだから』
俺を押し倒したことは覚えているようだ。あえて口に出さなかったのか。
『あれは仕方ないじゃん。リアムのせいじゃないよ』
『じゃあ、どうしてあんな貴重なアイテムくれるの? 僕があんなことになって惨めで哀れだとでも思ったの? それとも魔法の使えない僕が可哀想だと思った?』
『やっぱり怒ってるじゃん』
リアムはバツが悪そうに目を逸らした。
『ごめん。言い過ぎた』
『思ってちゃ悪いの? リアムに少しでも危険な目に遭ってほしくなくて、みんなで話し合ったんだから。こんな冒険に付き合わせた責任だってあるし』
『それは自分の意思だよ。君に責任はない』
『例えそうだとしても……とにかく、リアムが嫌だって、余計なお世話だって言っても俺はリアムを命に代えても守り抜くから! そのマント道中外したら絶交だからね』
言いたいことだけ言って俺は毛布に包まった——。
リアムがその事を言うものだから、皆の視線が俺とリアムに集まっている。
「さすが勇者だね。リアム殿下にそんなこと言ったの?」
「俺も遺跡に入る時言われたかったな」
「その格好良いセリフはなんですの? リアム殿下、詳しくお聞かせ下さいませ」
ノエルはメモをとり始めた。
「わー、良いから! リアムも嬉しそうに応えなくて良いから」
「僕も連れてってくれる?」
「分かったよ。みんなで行こう」
こうして俺達はレア魔石採取のため、山登りを開始した——。
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