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第三章 新メンバー登場
ノエルの魔法
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二十三個の魔石を地面に並べた。魔石は赤や白、オレンジがあった。
「全部普通の魔石だね」
レアな魔石はこの三色以外の色をしているらしい。見たことがないので何とも言えないが、とにかく色が違うのだ。
「これどうする? ギルドに渡せばお金にはなるけど」
「こんなに誰が持つんだよ。まだまだ増えるんだぞ」
魔石一つは拳大で大した重さもない。しかし、数が増えれば別だ。かさばる。重い。
「これはここに埋めてから行こう。帰りに回収しても良いし、誰かが発見すれば譲れば良いよ」
リアムが言えば、ノエルが挙手をした。
「穴ならお任せ下さい」
「ノエル得意だったよね、落とし穴」
「はい! 土よ、此処に大きな空間を開けよ土穴」
ノエルが詠唱すれば、地面にぽっかりと人一人が入れる程の穴があいた。
魔力量は俺とは反対にとても少ないノエル。扱うのも苦手なようだが、何故かこれだけは上手いのだ。
「お母様を落とすために何日も練習致しましたので」
「は? 誰って?」
聞き間違いだろうか。母と聞こえたような。
「お母様ですわ。細やかな意趣返しをしようと思いまして」
聞き間違いではなかったようだ。そして、落とし穴は決して細やかではない。
「ですが、その頃のわたくしはまだ五歳。ここまで上手くできませんでしたので、片足を穴に落として転ばすことしかできませんでしたわ」
「はは……」
「次こそはこの穴に全身埋めてみせますわ!」
ジェラルドとリアムが耳打ちしてきた。
「ノエルの兄は大変だな」
「心中察するよ」
エドワードは……。
「さすがノエルだね。発想が素晴らしいよ。きっと婦人もノエルの魔法が上達したって喜んでくれるね!」
恋は盲目と言うが、ここまでとは。
落とし穴に落とされた母が喜ぶことなど皆無だ。謹慎くらいで済めば良いが……。
◇
魔石を穴に埋めた俺達は再び歩を進めた。
歩きながらふと思った。
「何で太陽あるのに暗いんだろうね」
山の中は木々の隙間から太陽も差し込んでいる。そのはずなのに、どんよりと暗い。
「瘴気のせいじゃない? この辺は薄いからまだマシな方だよ」
リアムがそう言ったので、俺は辺りを見渡した。
「ジェラルド、瘴気分かる? 薄いんだって」
「いや、全く」
知識としてはあるが実際に瘴気を見たり感じたことはない。リアムの言い方だと今ここに瘴気があるらしいが、空気と何が違うのか、どれが瘴気なのか分からない。
「でもさ、人間って瘴気にあてられると死ぬんじゃなかったっけ? 俺達こんな所にいて大丈夫?」
「一週間くらいなら問題ないかな。それを過ぎてきたら徐々に体がしんどくなってくるけど、死にはしないよ」
「まるでリアムが体験したみたいだね」
何気なく言った言葉にリアムは平然と応えた。
「昔ね、そういう部屋に入れられたことがあるんだよ。実験だって言って」
「ごめん」
リアムの過去を少しは聞かされているが、全ては聞いていない。まさかそんなことまでさせられていたとは。
「別にオリヴァーが謝ることじゃないよ。それよりさ、人がいないよね」
「うん。でも、こんな魔物だらけの山に登ろうとする人がいないだけじゃないの?」
「観光名所ではないけど、ここは絶好の狩場だからね。経験値を積みたい人や、魔石が欲しい人、ここを収入源にしてる人もいるから人の出入りは多いはずなんだよ。それにこの道……」
「なるほど」
改めて見ると、何人もの人が歩いたのか自然と道が出来ている。
「特に山の麓から中腹にかけては魔物もさほど強くないから、人がいてもおかしくないんだけどね」
皆で不思議がっていると、エドワードが誰か見つけたようだ。
「あ、あそこに一人いるよ。一人で来るなんて相当強いのかな」
「魔物と対峙していますわね。あ、逃げましたわ」
男性は走るのが遅く、すぐに魔物に追い付かれていた。俺はそわそわしながら皆に意見を求めた。
「助ける? 助けた方が良いかな?」
「でもあんな弱い魔物相手に助けられたらプライドが傷付くかもしれねーぞ」
「確かに」
魔物はホーンラビット。うさぎに角が生えた可愛らしい見た目。攻撃も体当たりした時に角が当たって少し怪我をする程度。死にはしない。
「でもでも……」
放っておくのも心配で走り出そうとした時、ノエルが挙手をした。
「では、僭越ながらわたくしが……土よ、敵の下に大きな空間を開けよ土穴」
「あ、落ちた。って、落とす方が違うよ!」
「てへッ。失敗してしまいましたわ」
ホーンラビットではなく、男性が落とし穴に落ちてしまった。おかげでホーンラビットはどこかに行った。
「全部普通の魔石だね」
レアな魔石はこの三色以外の色をしているらしい。見たことがないので何とも言えないが、とにかく色が違うのだ。
「これどうする? ギルドに渡せばお金にはなるけど」
「こんなに誰が持つんだよ。まだまだ増えるんだぞ」
魔石一つは拳大で大した重さもない。しかし、数が増えれば別だ。かさばる。重い。
「これはここに埋めてから行こう。帰りに回収しても良いし、誰かが発見すれば譲れば良いよ」
リアムが言えば、ノエルが挙手をした。
「穴ならお任せ下さい」
「ノエル得意だったよね、落とし穴」
「はい! 土よ、此処に大きな空間を開けよ土穴」
ノエルが詠唱すれば、地面にぽっかりと人一人が入れる程の穴があいた。
魔力量は俺とは反対にとても少ないノエル。扱うのも苦手なようだが、何故かこれだけは上手いのだ。
「お母様を落とすために何日も練習致しましたので」
「は? 誰って?」
聞き間違いだろうか。母と聞こえたような。
「お母様ですわ。細やかな意趣返しをしようと思いまして」
聞き間違いではなかったようだ。そして、落とし穴は決して細やかではない。
「ですが、その頃のわたくしはまだ五歳。ここまで上手くできませんでしたので、片足を穴に落として転ばすことしかできませんでしたわ」
「はは……」
「次こそはこの穴に全身埋めてみせますわ!」
ジェラルドとリアムが耳打ちしてきた。
「ノエルの兄は大変だな」
「心中察するよ」
エドワードは……。
「さすがノエルだね。発想が素晴らしいよ。きっと婦人もノエルの魔法が上達したって喜んでくれるね!」
恋は盲目と言うが、ここまでとは。
落とし穴に落とされた母が喜ぶことなど皆無だ。謹慎くらいで済めば良いが……。
◇
魔石を穴に埋めた俺達は再び歩を進めた。
歩きながらふと思った。
「何で太陽あるのに暗いんだろうね」
山の中は木々の隙間から太陽も差し込んでいる。そのはずなのに、どんよりと暗い。
「瘴気のせいじゃない? この辺は薄いからまだマシな方だよ」
リアムがそう言ったので、俺は辺りを見渡した。
「ジェラルド、瘴気分かる? 薄いんだって」
「いや、全く」
知識としてはあるが実際に瘴気を見たり感じたことはない。リアムの言い方だと今ここに瘴気があるらしいが、空気と何が違うのか、どれが瘴気なのか分からない。
「でもさ、人間って瘴気にあてられると死ぬんじゃなかったっけ? 俺達こんな所にいて大丈夫?」
「一週間くらいなら問題ないかな。それを過ぎてきたら徐々に体がしんどくなってくるけど、死にはしないよ」
「まるでリアムが体験したみたいだね」
何気なく言った言葉にリアムは平然と応えた。
「昔ね、そういう部屋に入れられたことがあるんだよ。実験だって言って」
「ごめん」
リアムの過去を少しは聞かされているが、全ては聞いていない。まさかそんなことまでさせられていたとは。
「別にオリヴァーが謝ることじゃないよ。それよりさ、人がいないよね」
「うん。でも、こんな魔物だらけの山に登ろうとする人がいないだけじゃないの?」
「観光名所ではないけど、ここは絶好の狩場だからね。経験値を積みたい人や、魔石が欲しい人、ここを収入源にしてる人もいるから人の出入りは多いはずなんだよ。それにこの道……」
「なるほど」
改めて見ると、何人もの人が歩いたのか自然と道が出来ている。
「特に山の麓から中腹にかけては魔物もさほど強くないから、人がいてもおかしくないんだけどね」
皆で不思議がっていると、エドワードが誰か見つけたようだ。
「あ、あそこに一人いるよ。一人で来るなんて相当強いのかな」
「魔物と対峙していますわね。あ、逃げましたわ」
男性は走るのが遅く、すぐに魔物に追い付かれていた。俺はそわそわしながら皆に意見を求めた。
「助ける? 助けた方が良いかな?」
「でもあんな弱い魔物相手に助けられたらプライドが傷付くかもしれねーぞ」
「確かに」
魔物はホーンラビット。うさぎに角が生えた可愛らしい見た目。攻撃も体当たりした時に角が当たって少し怪我をする程度。死にはしない。
「でもでも……」
放っておくのも心配で走り出そうとした時、ノエルが挙手をした。
「では、僭越ながらわたくしが……土よ、敵の下に大きな空間を開けよ土穴」
「あ、落ちた。って、落とす方が違うよ!」
「てへッ。失敗してしまいましたわ」
ホーンラビットではなく、男性が落とし穴に落ちてしまった。おかげでホーンラビットはどこかに行った。
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