俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

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第四章 光魔法と闇魔法

男の目的

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 どうやら、俺は厄介な男に目を付けられたらしい。

 ベンは女装した俺と娘のリリーを重ねている。百歩譲って重ねるだけならまだ良い。だが、その執着心が異常すぎる。

 さて、どうやってここから逃げよう。

 鎖は魔法で切れるだろうか。ベンは一瞬で気絶してくれるだろうか。攻撃方法も色々と考えてみるが、確実に脱出しなければ今より拘束レベルは上がるだろう。

 ベンが何処かに行っている内に鎖が切れるか試したいが……。

「パパ、お仕事行かなくて大丈夫?」

 普段通り喋れば怒られるだけなので、女の子のように演技をしてみる。

「リリーはそんな事心配しなくて良いんだよ」

 駄目か。

「ミラに会いたいんだけど」

「今は皆寝てるから……あ、そうだ。リリーもママに会いたいだろう?」

「ママ? ママがいるの?」

 ベンは二年前に妻と娘を事故で亡くしてから独り身なはず。

「もうすぐ帰って来るんだよ。二年も離れ離れだったからね、ご馳走を作ってお祝いしないと」

 二年離れ離れ……つまりそれは、死んだベンの妻? 俺が無理矢理娘を演じさせられているように、他の誰かも被害にあっているのだろうか。

「パパ」

「何だい?」

「死んだ人は帰って来ないんだよ」

 そう言った瞬間、ベンの顔が曇った。ベンは立ち上がり、無表情でベンに見下ろされた。俺は手に汗を握りながらベンを見上げた。

「リリー」

 ベンは無表情のまま右手をあげた。

 叩かれる! そう思って身構えたが、ベンは俺の頭を優しく撫でた。表情はいつもの優しそうなベンに戻っている。

「失敗続きだったけど、力を貸してくれる人が現れたんだ。今度はきっと上手く行くよ」

「それはどういう……?」

 自らベンの犠牲になりたいという志願者が現れたのだろうか。

「今晩決行するから一緒にママの所へ行こう。パパは準備してくるから、それまでゆっくり休んでるんだよ」

 ベンは俺の頭から手を離し、ゆっくりと部屋から出て行った。そして、カチャリと鍵を閉められた。

「何だったんだ……?」

 良く分からないが、逃げるなら今がチャンスだ。

「聖なる光よ、対象を切る刃となれ光刃ライトブレード

 詠唱すれば、鎖はシャリンと音を立てて切れた。

「案外あっさり切れたな」

 机の引き出しを開けて、首輪の鍵を探すがそれらしき物は見当たらない。

「まぁ、外に出ればどうにでもなるか」

 俺は扉から距離を取って立った。呼吸を整え、扉に向かって走り、思い切り飛び蹴りを食らわ……せられなかった。

「え、え!?」

 扉が突然開いたのだ。しかし、勢いは止まらない。そのまま俺は何かを蹴り飛ばした。

「痛て……」

「兄ちゃん大丈夫!?」

 俺が蹴りを食らわせたのはキースだった。そして、隣にはリアムとショーンの姿もあった。

「お前、そんな小さい体でよくこんな威力の蹴りが出せるな」

「ごめん、まさかいると思わなくて。でも何でここに?」

「説明は後でするよ。ちょっと待ってて」

 リアムは部屋の中に足を踏み入れると、すぐに本棚へと向かった。

 本のタイトルを一通り眺め、目星の物が無かったのか、リアムは次に机の引き出しを漁り始めた。

「何してんの? 早く行かないとベンが戻って来ちゃうよ」

「あの男ならさっき出てったよ」

「そうなの?」

 リアムは付箋が沢山付いている本を手に取って開いた。

「ああ、やっぱりだ」

「やっぱりって?」

「あの男、人を生き返らせようとしてる」

「え……?」

 『ママがもうすぐ帰って来る』これは別の誰かを死んだベンの妻に仕立て上げるのではなく、本物を生き返らせるという意味だったのか。

「そんなこと出来るの? 誰かが力を貸してくれるみたいな事は言ってたけど」

「力を……?」

 リアムは顎に手を当てて考え始めた。

 すると、廊下から誰かが走って来る音が聞こえた。

「あいつが戻って来たんじゃない? とにかくここ出ようよ。変な薬使われたら厄介だし」

 俺が一人慌てていると、キースとショーンは落ち着いた様子で言った。

「この足音は大丈夫だ」

「うん。ジェラルドとエドワードだね」

「え、分かるの?」

「野盗やってたからな。野生の感ってやつかな」

 ニコッと笑うキースの後ろから、ジェラルドとエドワードが走って来た。

「やっぱりここだったんだ。ショーンが一緒に潜入してくれたおかげだね」

 エドワードがショーンを褒めると、照れたようにショーンは後ろ足で頭を掻いた。

「それよりこの屋敷、俺ら以外誰もいないぞ。もぬけの殻だ」

「子供達は? みんな寝てるって聞いたけど」

「こんな昼間から全員寝ないだろ」

 今は昼なのか。買い物に連れて行くにもベンが連れて出るのは二人まで。謎は深まるばかりだ。

「リアム、他にも何か分かった?」

「ベンは悪魔と契約しようとしてるのかも」
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