俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

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第四章 光魔法と闇魔法

無詠唱

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 日は完全に沈み、満天の星が輝き、とてもロマンティックだ。ここが墓場でなければ。

「さぁ、悪魔様。妻を、妻を生き返らせて下さい」

「引き換えに何をくれる?」
 
「あそこにいる子供達の命を。十一人おります」

 ベンが俺達の後ろにいる孤児をさした。

「この子達に手は出させない」

 俺は光のシールドで孤児を覆い、その前に立ちはだかった。キースとエドワードも前に出てきて言った。

「生き返らせるのは勝手だが、自分の命を使ってやってくれ」

「そうだ。子供達は関係ない」

 ジェラルドは……。

「こっち見んなよ。いざとなったら出てやるから」

 死体が生き返るところを間近で見たくないのだろう。離れた場所にいるリアムとノエルの間に立っていた。

「いや、良いけどさ……わッ」

 前に向き直った瞬間、目の前に悪魔がいた。しかも鼻と鼻が触れ合うのではと思うくらい至近距離に。

「オリヴァー、逃げて!」

 キースとエドワードも突然のことで、反応が遅れた。二人同時に悪魔に剣で斬りかかったが、悪魔が片手を上げると、闇のシールドが現れて二人は弾き飛ばされた。

 悪魔は俺の首からぶら下がっている鎖を手に取って言った。

「汝が欲しい」

「汝って……俺?」

 つまり、俺の命と引き換えにベンの妻を生き返らせると……?

「悪魔様、それは我が娘のリリーです。それだけはお許し下さい! 子供ならこちらに沢山いますから」

 ベンが悪魔に縋り付こうとしたが、悪魔は鎖を持っていない方の手をベンに向けると、闇の球がベンを襲った。

「うッ……悪魔様、リリーだけは駄目です」

「うるさい。私の自由だ」

 無表情だった悪魔がニヤリと笑った。

「特別サービスだ」

 悪魔が指をパチンと鳴らすと、地響きがし始めた。ベンが掘り起こした棺桶も、カタカタと音を鳴らして揺れている。

 俺は冷や汗を流しながら、恐る恐る悪魔に聞いてみた。

「何をしたんだ?」

「気分が良いからな。ここに眠る者全てに魂を吹き込んでやっただけだ」

「全て?」

「まぁ、肉体までは元に戻らんがな。ついでに自我もないぞ」

「なっ、それってただのゾン……」

 棺桶の前にいたベンが歓喜の声を上げた。

「リュシー? リュシーなのか?」

 そう言ってベンは、棺桶から出てきたリュシーと呼ばれるゾンビの手を取った。

「リュシー、会いたかったぞ。リリーもいるんだ。そうかそうか、リュシーも嬉しいか」

 ベンは喜びの声を上げるが、どう見てもゾンビに頭を齧られている。

 ジェラルドは身震いしながら言った。

「あいつ、とうとう狂っちまったな……て、何だよ、この数のゾンビは!」

 地面から手がニョキっと出てきては、ゆっくりと這い上がってくる。中には、ゾンビ同士で土から引き上げ合ったりしている者もいる。その数、ニ百……いや、三百体は有に超えている。

 エドワードがゾンビを剣で斬りながら叫んだ。

「大変だ、村の中心部に流れて行ってる」

「だが今はオリヴァーだ。仲間も救えない奴が村人なんて救えるか!」

 纏わりついていたゾンビにキースは思い切り短剣を振るうと、短剣からボワッと炎が吹き出した。

「わ、これすげぇ」

 レア魔石の効果だろう。斬られたゾンビは火だるまになり、その隣にいるゾンビにも引火した。そして、その周囲は勝手に自滅していった。

 リアムとノエルは、ジェラルドが近くにいたおかげで氷のシールドの中にいた。ひとまず安全そうだ。怖がりなのも、たまには役に立つものだ。

 参戦したい所だが、今はそれどころではない。どうにかしてこの悪魔から離れなければ。

 悪魔の顔を見ていると、ふと思い出したことがある。

『誰よ、こんなの出すのは』『その攻撃は通用しないわ』

 俺が魔法でただ光を出した時にアデルに言われたセリフ。サキュバスのアデルも悪魔だ。つまりこの悪魔にも光魔法は有効なはず。

 ただ、詠唱の時間は与えてくれないだろう。俺は手元にポゥっと光の玉を出した。

 悪魔は顔を歪めた。そして、そのまま俺から離れ……ない。

「何をしている?」

「えっと……」

 まさか、何ともない? アデルはあんなに苦しがっていたのに。

 細やかな抵抗ではあるが、俺は手にある光の玉を空中に浮かべて、悪魔の上でパチンと弾けさせた。すると、悪魔の身体にキラキラと光の粒子が舞い降りた。

 それが悪魔の皮膚にくっつくと、ジュッと一瞬焼かれたような音がなり、皮膚が爛れた。

 見ていて痛々しいが、効果はあるようだ。ただ、この後どうするか何も考えていなかった。

 悪魔は怒っているのだろう、俺をじっと見据えている。

「汝……」

「あの、ごめんなさい……そんなつもりはなくて」

 このまま死ぬのかと思ったら、つい言い訳が口から出てしまう。

 謝るくらいなら詠唱すれば良いのに、と言われるかもしれないが、ピンチに直面すると冷静な判断と行動が出来ないのが人間だ。

「汝……そんなに嬉しいのか?」

 嬉しい? そんな訳あるはずがない。魂を悪魔に捧げるなんて死んでも嫌だ。

 俺は涙目になりながら、プルプルと首を小さく横に振った。

「その顔堪らんな。王に横取りされる前に付けておくか」

 悪魔の牙が俺の首筋に近付いてきた。

 殺される、殺される、殺される——。

夫婦めおとの刻印」

「死にたくない!」

 そう叫んだ瞬間、眩い光が俺の手から放たれた。悪魔は雷に打たれたようにピタリと止まった。同時にパッと闇のシールドも消えた。

「あれ? 詠唱してないのに魔法が」
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