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第四章 光魔法と闇魔法
女神様
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目が覚めると、俺は女神になっていた。
「女神様、此度は村をお救いありがとうございます」
「まさか、この村に女神様がいらっしゃっていたとは」
「えっと……これは一体?」
目が覚めると、村人達が俺に祈りを捧げていたのだ。しかも、よく見るとここは聖堂の祭壇の上。俺は神様に捧げる供物にされているのだろうか。
さっきまでゾンビと戦っていたはずなのに、これは一体全体どうなっているのか。
確か、村におりてきたゾンビを仲間と共に倒し、リアムらと再開した——。
『オリヴァー、ごめん。悪魔はいつの間にかいなくなってた』
『みんなが無事ならそれで良いよ。それより、これどうしたら良いんだろ』
ゾンビを倒したのは良いが、村中死体の山だ。埋め直すにしても、これだけの数を埋めるとなると流石に俺達だけでは無理だ。そして何より……。
『俺、絶対イヤだからな! 腐った死体なんて触りたくない!』
ジェラルドの言うように、正直俺だって触りたくはない。襲ってくるので、斬ったり殴ったりはしたが、そうでなければ触りたくない。
『浄化出来るかな』
俺は一体のゾンビに手をかざし、念じた。するとゾンビは砂のようになって天に昇っていった。
『お前すげーよな。無詠唱なんて。しかも浄化出来たし、他のも全部宜しくな』
『他人事だと思って。これ、後何回しないといけないんだ』
途方に暮れていると、ミラがキラキラした瞳で言った。
『お姉様凄い! まるで絵本に出てくる女神様みたい!』
確かに今は女装したままなので女の子ではあるが、女神様は大袈裟だ。
ミラに微笑みかけていると、ノエルが思いついたように言った。
『そうですわ、女神様ですわ!』
『ノエル?』
『絵本に出てくる女神様は、お祈りすると弱い魔物を一斉に浄化することが出来るのですわ』
『あれ御伽話だから。女神様だってただの崇拝の対象で、架空の人物だから』
俺がツッコミを入れても、ノエルは自信満々に続けた。
『それに、長い黒髪に純白のワンピース。正に今のお兄……お姉様ですわ! 今は魔法も無詠唱でいけますし、お祈りポーズできっと村中のゾンビを浄化できますわ』
『俺本当は黒髪じゃないし……それに、お祈りポーズじゃ対象が定まらないよ』
『対象は村中のゾンビですわ!』
無茶苦茶すぎる。ゾンビは三百体以上いるというのに。
『良いじゃねーか。駄目なら一体一体浄化していけば』
『分かったよ』
俺は胸の前で両手を組んだ。
そんな俺をキースとエドワードはやや哀れみの目で見てきた。
『お前も大変だな』
『頑張って』
『ありがとう。一応やってはみるけど多分無理だよ』
俺は目を瞑って念じた。
『うわぁ』
『すげー』
感嘆の声が聞こえてきた。目を瞑っているので何が起こっているのか分からない。しかし、分かる事がただ一つ。
『魔力切れだ……』
俺はパタンと、その場に倒れた——。
そして、目覚めたらこの様だ。
「女神様、うちの畑で採れる野菜です」
「女神様がそんなもん食う訳ねーだろ。こんな可愛い顔してるんだ、うちの苺を是非」
「とにかく誰か説明を……」
あたふたしていると聖堂の扉がバンッと開いた。そこに現れた姿を見て安堵した。
「ジェラルド!」
「目ぇ覚めたか? 迎えに来たぞ」
俺は祭壇からおりて、ジェラルドの元へ軽快な足取りで向かった。
「あ、ノエルにリアムも」
そこには仲間が皆揃っていた。
「どうしてこんな事になってんの?」
村人はまだ俺のことを目で追って、お祈りしている。
「お前が魔力切れ起こしたからな」
「魔力切れで何で聖堂?」
「前にアイリス先生に聞いたことがあるんだ。『私は魔力切れ起こした時は、祭壇で寝たら回復が早かったよ』って。同じ光属性だから祭壇が一番だろ」
「アイリス先生……」
魔力切れを起こして祭壇で寝るという発想。そして、その勇気。さすが師匠だ。
「それに、村人達がお前がゾンビを浄化するとこ見て『女神様だ』って付いてきてよ。寝てる間に拝ませといたら満足するかなって。な?」
「はい! これは知名度アップのチャンスですわ」
「知名度って……俺、今どっち?」
エドワードを見ると困った顔で笑った。
「そのまま来たから……」
恥ずかしい、恥ずかしすぎる。穴があったら入りたい。女装する変態な勇者だと思われる。
「出よう! 早くこの村から出よう!」
「オリヴァー、待てよ」
まだ一つの村なら無かった事にできる。あれは幻だったと思ってもらおう。
俺は急いで聖堂から出た。まばゆい光に一瞬目が眩んだ。
「やっと出てきた」
逆光で顔が見えないが、聞いたことのある声だ。
「良くこんな所に長時間いられるな。さぁ、行こう」
その人が近付いてくると、頭で太陽が隠れ、顔がはっきり見えた。
「悪魔……?」
「女神様、此度は村をお救いありがとうございます」
「まさか、この村に女神様がいらっしゃっていたとは」
「えっと……これは一体?」
目が覚めると、村人達が俺に祈りを捧げていたのだ。しかも、よく見るとここは聖堂の祭壇の上。俺は神様に捧げる供物にされているのだろうか。
さっきまでゾンビと戦っていたはずなのに、これは一体全体どうなっているのか。
確か、村におりてきたゾンビを仲間と共に倒し、リアムらと再開した——。
『オリヴァー、ごめん。悪魔はいつの間にかいなくなってた』
『みんなが無事ならそれで良いよ。それより、これどうしたら良いんだろ』
ゾンビを倒したのは良いが、村中死体の山だ。埋め直すにしても、これだけの数を埋めるとなると流石に俺達だけでは無理だ。そして何より……。
『俺、絶対イヤだからな! 腐った死体なんて触りたくない!』
ジェラルドの言うように、正直俺だって触りたくはない。襲ってくるので、斬ったり殴ったりはしたが、そうでなければ触りたくない。
『浄化出来るかな』
俺は一体のゾンビに手をかざし、念じた。するとゾンビは砂のようになって天に昇っていった。
『お前すげーよな。無詠唱なんて。しかも浄化出来たし、他のも全部宜しくな』
『他人事だと思って。これ、後何回しないといけないんだ』
途方に暮れていると、ミラがキラキラした瞳で言った。
『お姉様凄い! まるで絵本に出てくる女神様みたい!』
確かに今は女装したままなので女の子ではあるが、女神様は大袈裟だ。
ミラに微笑みかけていると、ノエルが思いついたように言った。
『そうですわ、女神様ですわ!』
『ノエル?』
『絵本に出てくる女神様は、お祈りすると弱い魔物を一斉に浄化することが出来るのですわ』
『あれ御伽話だから。女神様だってただの崇拝の対象で、架空の人物だから』
俺がツッコミを入れても、ノエルは自信満々に続けた。
『それに、長い黒髪に純白のワンピース。正に今のお兄……お姉様ですわ! 今は魔法も無詠唱でいけますし、お祈りポーズできっと村中のゾンビを浄化できますわ』
『俺本当は黒髪じゃないし……それに、お祈りポーズじゃ対象が定まらないよ』
『対象は村中のゾンビですわ!』
無茶苦茶すぎる。ゾンビは三百体以上いるというのに。
『良いじゃねーか。駄目なら一体一体浄化していけば』
『分かったよ』
俺は胸の前で両手を組んだ。
そんな俺をキースとエドワードはやや哀れみの目で見てきた。
『お前も大変だな』
『頑張って』
『ありがとう。一応やってはみるけど多分無理だよ』
俺は目を瞑って念じた。
『うわぁ』
『すげー』
感嘆の声が聞こえてきた。目を瞑っているので何が起こっているのか分からない。しかし、分かる事がただ一つ。
『魔力切れだ……』
俺はパタンと、その場に倒れた——。
そして、目覚めたらこの様だ。
「女神様、うちの畑で採れる野菜です」
「女神様がそんなもん食う訳ねーだろ。こんな可愛い顔してるんだ、うちの苺を是非」
「とにかく誰か説明を……」
あたふたしていると聖堂の扉がバンッと開いた。そこに現れた姿を見て安堵した。
「ジェラルド!」
「目ぇ覚めたか? 迎えに来たぞ」
俺は祭壇からおりて、ジェラルドの元へ軽快な足取りで向かった。
「あ、ノエルにリアムも」
そこには仲間が皆揃っていた。
「どうしてこんな事になってんの?」
村人はまだ俺のことを目で追って、お祈りしている。
「お前が魔力切れ起こしたからな」
「魔力切れで何で聖堂?」
「前にアイリス先生に聞いたことがあるんだ。『私は魔力切れ起こした時は、祭壇で寝たら回復が早かったよ』って。同じ光属性だから祭壇が一番だろ」
「アイリス先生……」
魔力切れを起こして祭壇で寝るという発想。そして、その勇気。さすが師匠だ。
「それに、村人達がお前がゾンビを浄化するとこ見て『女神様だ』って付いてきてよ。寝てる間に拝ませといたら満足するかなって。な?」
「はい! これは知名度アップのチャンスですわ」
「知名度って……俺、今どっち?」
エドワードを見ると困った顔で笑った。
「そのまま来たから……」
恥ずかしい、恥ずかしすぎる。穴があったら入りたい。女装する変態な勇者だと思われる。
「出よう! 早くこの村から出よう!」
「オリヴァー、待てよ」
まだ一つの村なら無かった事にできる。あれは幻だったと思ってもらおう。
俺は急いで聖堂から出た。まばゆい光に一瞬目が眩んだ。
「やっと出てきた」
逆光で顔が見えないが、聞いたことのある声だ。
「良くこんな所に長時間いられるな。さぁ、行こう」
その人が近付いてくると、頭で太陽が隠れ、顔がはっきり見えた。
「悪魔……?」
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