俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

文字の大きさ
65 / 144
第四章 光魔法と闇魔法

闇魔法の扱いは難しい

しおりを挟む
「こんな時間にどこ行くの?」

「良いから、良いから。リアムはただ付いて来てくれたら良いから」

 俺は夜更けにリアムを外に連れ出した。

 外は静寂に包まれ、まるでこの世界には俺とリアムしかいないのではないかと思わせる程だ。

「ここって……」

「入りたそうにしてたでしょ? 温泉」

「でも……」

 リアムが躊躇っていると、脱衣場からキースが出て来た。

「やっと来たな。あいつら先に入ってるぞ」

 リアムは体にある虐待の痕を他人に見られるのが嫌で、本当は入りたい温泉も入れないでいた。

 こんな夜更けに温泉に入る人は少ないだろうが、キースらに人払いを任せておいたのだ。

「俺も一人で入る方が良いって思ってたけど、みんなで入るのも悪くないなって。だから、一緒に入ろうよ」

「安心しろ。誰も入れないように女神様が入浴中だって言っとくから」

「キース、女神様が男湯占領してるのおかしいから」

 ノエルも丁度女湯から出て来て、にっこり笑って言った。

「メレディス様が入ったことで亀裂が生じたかと思いましたが、安心致しましたわ。皆様の愛情、素晴らしいですわ」

「ノエル、愛情じゃなくて友情ね。とにかく、こんな暗いんだし、俺らだけだから入ろうよ」

 俺が手を差し出せば、リアムがその手を取った。


 ◇


 翌朝。

「温泉も堪能したことだし、これからどうする?」

 孤児を助けたり、ゾンビを倒したり、夫婦の刻印を付けられたり色々あったが、この村には温泉に入りにきただけなのだ。

「どうするも何も、お前のソレどうにかしろよ」

「はは……だよね」

 メレディスの力(以下闇魔法と呼ぶ)を手に入れたのは良いが、全く使いこなせない。自ら力を出そうとした時には発動しないのに、ふとした拍子に発動し、皆を攻撃してしまう。昨晩何事もなく温泉に浸かれたのが奇跡だ。

 今も何もしていないのに俺の周りには闇のシールドが張られている。

 エドワードが心配そうに聞いて来た。

「光と闇って相反するって聞くけど、体は大丈夫なの?」

「うん。体は特に変わりないかな。でも、これが出てる間は光魔法が使えないみたい」

「そっか。それにしてもメレディスが魔王の側近だったなんてね」

 そう、メレディスは魔王の側近だったのだ。その側近に向かって魔王を倒すだの何だの言ってしまった。

「先に襲撃食らったりして」

「それはないと思うよ」

 リアムが即答した。

「どうして分かるの?」

「今回のゾンビ事件はメレディスがオリヴァーに一目惚れして、嬉しさのあまりやったことだとしても」

「一目惚れって……」

「ベンとの契約のことは魔王の暇つぶしみたいだし、ショーンを猫にしたり遊び心満載の魔王だ。君達が強くなるのを待ってから迎え撃つと思うよ」

「なるほど」

「そもそも報告自体しない可能性が高いよね」

「何で?」

「夫婦の刻印を男に付けたなんて知られたら良い笑い者でしょ。それに、オリヴァーが死ねばメレディスも死ぬんだよ。わざわざ報告しないよ。まぁ、今頃メレディスは悩んでるんじゃない?」

「悩む?」

「オリヴァーを殺すわけにもいかないし、かと言って魔王討伐に手を貸すわけにもいかない……良い駒が手に入ったよね」

 キースの次はメレディスを駒扱いとは。俺のことも、友人ではなく一つの駒としか見られていないのではと疑いたくなる。

「とにかく、刻印が消えれば闇魔法が使えなくなる可能性高いから、刻印消すのも魔王倒してからね」

「これ後回しなの?」

 てっきり刻印を消してから魔王に挑んで、負ければ死ぬ前に帰ろうかと思っていたのに。

「そういえば、ノエルとショーンは? さっき部屋行ってもいなかったけど」

「二人なら教会に行ったよ」

 エドワードが言えば、キースは慌てて立ち上がった。

「あの二人まさか……」

「子供達に絵本の読み聞かせするんだって」

「読み聞かせ? 何でまた」

 キースの誤解は解かれたようだ。椅子に座り直した。

「子供達が今回のゾンビ襲撃で精神的に不安定になってるだろうからって」

 何て優しい妹なんだ。これは両親に報告できそうだ。

「だからか、俺に確認とってきたんだよ。『絵本にジェラルド様の絵も入れて宜しいですか?』って。後ろ姿なら許可しといた」

「あ、僕は横顔なら可にしといたよ」

「え、リアムも? それより、ノエルは自分で絵本作って、それを読み聞かせしてるってこと?」

 エドワードがにっこり笑って言った。

「良い子だよね。子供達の精神状態も考えながら『女神様の正体は、か弱い少女じゃなくて、強い勇者様なんだよ』って、オリヴァーの誤解も解くつもりらしいよ」

「は?」 

 ジェラルドとリアムが笑いを堪えている。

「ジェラルドもリアムも知ってたの? 知ってて放置してたの?」

「いや、そこまでは俺も初耳だ」

「僕も、ただ女神様がゾンビを浄化する場面を描いて完結だと思ってたから」

 今度こそ村人に変態扱いされてしまう。絵本まで残されたら、それこそ誤解しか生まれない。

「急いでノエルを止めにいこう。で、絵本は回収して早く村から出るよ」

 シュッ。

 俺達は教会の中にいた。そして、絵本を広げているノエルが隣にいる。どうやら知らぬ間に転移したようだ。

「あら、お兄様。丁度良いところに」

「……?」

「皆様、こちらが今説明した、この村を救った女神様で勇者様のわたくしの自慢のお兄様ですわ」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...