俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

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第四章 光魔法と闇魔法

鑑定士を探そう

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「ッたく、また歩きかよ」

「仕方ないじゃん。急いでたんだから。それに元はと言えばジェラルドが……」

「悪かったって言ってんだろ。しつこいな」

 ——俺達はノエルが読み聞かせをしている教会に転移した。運良く宿にあった荷物も一緒に転移していた為、俺は皆を連れて逃げるように教会を出てララル村を後にした。

 絵本を描いて読み聞かせたノエルにも怒ったが、元はと言えばジェラルドとリアムが誘拐された時の格好のまま、孤児を助けに行こうと言ったのが事の始まりだ。

 女装さえしていなければ、村人にと崇められることは無かったはず。そして何より、メレディスに夫婦の刻印をつけられることも無かったのだ。

 あの時、着替えてさえ行っていたなら……後悔だけが押し寄せる。

 なので、ことあるごとにジェラルドとリアムに文句を言いながら歩いている——。

 エドワードが俺とジェラルドのやり取りを苦笑しながら聞いて来た。

「これからどこ行く? 強くなる為に冒険するしかない訳だけど」

「強くなるったってなぁ」

「ランクにこだわらなければ、前みたいに魔物が出る山みたいな所でみっちり修行すれば良いけど」

 俺はノエルをチラリと見た。

「強くなるのはもちろんですが、冒険が終わるまでにはSSランクになっていませんと、主人公と言えませんわ」

「SSって……俺らまだDなんだけど。依頼だって大したの受けられないし」

 ギルドの依頼外の事が多すぎて、今の調子では中々ランクが上がらない。SSなんて夢のまた夢だ。

 そんな時、キースが言った。

「お前ら知らないのか? パーティー内にランクの高い奴がいたら、それに見合った依頼が受けられるんだぞ」

「そうなの?」

 キースはランクA。つまり、一つ上のランクの依頼も受けられるから、ランクSの依頼も受けられるのか。

「だとしても、キースもA止まりで中々Sには上がらないって言ってたじゃん」

「そうなんだよなぁ。そっから上が中々なぁ」

「リアム? どうしたの?」

「オレ、何か付いてるか?」

 リアムは立ち止まって、キースを上から下までまじまじと見ている。

「鑑定士を探そう」

「鑑定士?」

「恐らくギルドのランク上げの基準は、どんな依頼をどれだけ受けたかで決めてるだけなんだ」

「うん。だから……」

「でも、それはきっとAまで」

 リアムが再び歩き始めたので、俺達も横に並んで歩いた。

「冒険前に確認しておいたんだけど、この国にランクAは数百人いたけど、Sはたったの五人しかいないんだ。SSなんて一人もいなかったよ。おかしいと思わない?」

「おかしい?」

「数さえこなしてランクが上がるならSなんてゴロゴロいるはずなんだよ」

「確かに」

「きっと鑑定士がいるギルドがあるはずだよ。そこで見てもらえば、君達に見合ったランク付けをしてくれると思うよ」

「じゃあ、俺達がやってたことって無駄だったってこと?」

「無駄ではないよ。何事も経験値は必要だからね。能力だけあって経験が無かったら、それはそれでランクは低いと思うよ」

「ランク下がったらどうしよ……」

「勇者様がネガティブすぎだろ」

 キースが冗談ぽく笑えば、リアムは平然と言った。

「今のオリヴァーならあり得るかもね。闇魔法を自分のものに出来ないと害でしかないし。まずはその力を使いこなせるようになって。その間、僕は鑑定士の情報収集するから」


 ◇


 というわけで、俺達は海に来た。

「やはり、恋愛には海が一番ですわね」

 もちろん愛情を深め合う為ではない。闇魔法を使いこなせるようになる為に。

 アイリス先生が言っていた。

『魔法は何かの力を借りて発動させる』

 治癒の為には大地の力、聖なる光はそこら辺にある光、つまり、闇も何かしらの闇っぽいものを利用すれば出来るはず!

 海なら深海の辺りが闇っぽいし、夜になれば空も海も闇だ。

 キースとエドワードは早速、剣を交えている。

「よし、俺も闇の球を出してみよう」

 闇、闇、深海の闇……。

「駄目か」

 光の球が出た。

「やっぱ深海の闇をイメージするだけじゃ甘いんじゃね? アイリス先生は体感しろって感じだったじゃん?」

「でも、深海まで潜るわけにもいかないし」

「視界に光が入るから駄目なのでは? ジェラルド様、こちらを」

 ノエルがジェラルドに長めの布切れを手渡した。

「確かにな。ちょっとあっち向いてろ」

 ジェラルドに目隠しされた。

「どうだ?」

「うん、光は入ってこないよ」

「では、魔法を発動させるのは闇になれてからということで、今日一日これで過ごしてみましょう」

「え、一日?」

 闇に慣れた方が良いのは分かるが、さすがに目隠しされたまま海の近くで一人ウロウロ歩くのは危険だ。今も、何処に何があるのか分からない。

「オリヴァー、そっちは海だ」

「じゃあこっち?」

「ほぼ向き変わってねーぞ」

「もう、分かんないよ」 

 俺が嘆いていると、そっと両手を引かれた。

「ッたく、こっちだよ」

「ジェラルド、ありがとう」

「目隠ししてる間は俺が近くにいてやるから」

 シャッ、シャッ。

 この音は……ノエルが絵を描いている音だ。

 まさか、この目隠しは闇に慣れるという目的ではなく、ジェラルドと手を繋いだりスキンシップをさせる為?

 しかし、闇に慣れるという意味では必要なこと。魔法が使えなくて困っている兄に対して、そんなふざけたことはしないはず。

 自分自身に納得させながら、俺はジェラルドに手を引かれながら歩く一日を過ごすのだった。
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