俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

文字の大きさ
75 / 144
第五章 うっかり魔界へ

アデル再登場

しおりを挟む
 ベッドの上には上半身裸のメレディスが眠っている。それを眺めながら俺は自身のシャツのボタンを一つ一つ掛け直した。

 身なりを整えた俺は剣を背負い、部屋を出た。

「うわ、広ッ!」

 王城ほどではないが、メレディスの屋敷も随分と大きかった。

 廊下には執事が歩いていたが、俺の顔を見ても怪訝な顔すら見せず、お辞儀した。

「行ってらっしゃいませ」

「ご苦労様」

 そのまま堂々と屋敷の玄関を目指し、堂々と侍従に見送られながら門を出た。

「夫婦の刻印って凄いな」

 メレディスに仕える者は、メレディスに絶対の忠誠を誓っている。そして、メレディスの嫁である俺も忠誠の対象なんだとか。

「こっちこっち」

 手招きされ、俺は呼ばれた方へ駆けた。

「助かったよ。アデル」

「私という者がありながら、メレディスと夫婦になるなんて考えられないわ」

 ムッとしているアデルに、苦笑を向ける。

「でもまさかアデルがメレディスの従兄妹だったなんて知らなかったよ」

 アデルは女悪魔のサキュバスだ。そして今回、俺の貞操を守ってくれたのがアデルなのだ。

 ——俺はメレディスに服を脱がされ、優しく頬を撫でられた。

『やはり顔は可愛いな』

 そのままメレディスの顔がゆっくりと近付いてきた。

『メレディス……怖いよ』

 涙目になりながら正直な気持ちを伝えると、メレディスは優しい眼差しを向けて言った。

『案ずるな。優しくするから』

『……うん』

『陛下にやるのが惜しくなってきたな』

 刻印も疼きっぱなしで半ば諦めていると、扉がバンッと開いた。

『メレディス、遊びに来てあげたわよ!』

 アデルがメレディスと俺を交互に見て、そっと扉を閉めた。

『今のってアデル?』

『知っているのか? まぁ、あいつは放っておこう』

 続きが再開されようとしたその時、再び扉が開いた。先程とは違って怒りを露わにさせながら、アデルが入ってきた。

『ちょっと、私のオリヴァーに何してるのよ?』

『私のって、これは私の嫁だ』

 アデルは刻印を見て、更に頭に血がのぼったようだ。次は俺に怒ってきた。

『あなたはこんなオッサンがタイプなの? 私に求愛したわよね?』

『えっと……』

『オッサンは言い過ぎだ。アデルとも百二十しか違わんだろう』

 悪魔の年齢の感覚は良くわからないのでスルーするにして、俺はアデルに言った。

『アデルお願い。メレディス眠らせて!』

『メレディスを?』

『なッ、今良いところだろう。それに、陛下に汝を逃すなと言われているんだ。魔眼を使わせる訳にはいかん』

 そう、アデルは魔眼の持ち主だ。アデルの魔眼を見れば、たちまち眠りに落ちる。

 メレディスはアデルの目を見ないよう、俺の首元に顔を埋めた。

『メレディス、ちょ、ちょっとそんなとこ舐めないでよ』

『何か事情がありそうね。メレディスを眠らせれば良いのね』

 俺は必死で首を縦に振ると、アデルがメレディスを俺から引き剥がした。

『くそ、相変わらず怪力な奴だ。アデルに攻撃は出来んしな。まぁ、目さえ見なければ』

 メレディスは目をギュッと瞑って、闇魔法で俺を縛った。目を瞑っている間に俺が逃げないようにだろう。

 それにしても、アデルは華奢な体つきなのに、いとも簡単にメレディスを引き剥がすとは……怪力は、サキュバスの特性なのだろうか。

『あなた、このままずっと目を瞑っておく気?』

『アデルが何処か行かない限りはな。刻印が疼いてどうしようもないんだ。早く出てってくれ』

 メレディスが乱暴に言えば、アデルはムッとしてメレディスをくすぐり始めた。

『や、やめろ……ふッ……ふはは……』

 必死に笑いを堪えるメレディス。見ていると可哀想だが面白い。しかし、それでもメレディスは目を開けない。

 アデルは何か思いついたようだ。ニヤリと笑って机の方を見た。

『メレディス、あなたの引き出しに入ってる物、オリヴァーに見せて良い?』

『なッ、ダメに決まってるだろう』

 メレディスが慌てて目を開くと、アデルと目が合った。その瞬間、メレディスは眠りに落ちた。そして、俺を縛っていたものもパッと消えた。

『あ、まずい』

 アデルは急いで窓から飛び出した。

 刻印から龍が飛び出して来たのだ。メレディスを眠らせたことによって、ある意味アデルと二人きりになったからだろう。

『オリヴァー、私、外で待ってるから』

『でも、どうやって出たら……』

『大丈夫よ。刻印のおかげで、あなたはこの屋敷の主人みたいなものだから』

 ——と、いうわけでアデルによって俺の貞操は守られた。そして、魔王からも逃げるのを手伝ってくれるようだ。

「私は転移出来ないから人間界の入り口目指していくしかないけど、ここからそう遠くないから安心して」

「ありがとう。でも反逆罪とかにならない?」

「私は命令されてないから大丈夫よ。メレディスは……魔王様と仲良いから大丈夫でしょ」

「それなら良いけど」

「それにしても厄介なことになってるわね」

「ごめん」

「とりあえず、その格好じゃ目立つから、ここで服買ってから行きましょう」

 そう、ここは人里離れた森の中でもなんでもない、魔王都の中心部。そんな所を俺は勇者の衣装を着て歩いているのだ。目立ってしょうがない。

 ただ、メレディスの血が混じっているおかげで、人間……あれ? やっぱり魔族? みたいな目で見られているらしい。

 このまま何事もなく人間界に戻れることを祈るばかりだ。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...