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第五章 うっかり魔界へ
またまた魔界ルールに嵌められた
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メレディスは自身の光魔法に浄化されようとしている。体は半透明で、向こう側にある山が透けて見える。
「なんだか気分が良いんだ。このまま逝きたい」
「ダメダメ! 早く光魔法抑え込んで!」
これは非常にまずい。光魔法を抑え込んだところで浄化が食い止められるかは疑問だが、何もしなければ確実にメレディスは死ぬ。そして、俺も死ぬ。
俺はメレディスが天に召されないよう、必死にメレディスに縋り付いた。
「死んだら嫌だよ。メレディスが死んじゃったら俺どうすれば良いの? 俺、生きられないよ」
「汝……そんなに私のことを」
メレディスは何百年と生きているかもしれない。だけど、俺はまだたったの十四年。人生これからなんだ。
「こんなことなら冒険なんてするんじゃなかった。冒険さえしなければ、メレディスにさえ出会わなければ、こんな気持ちになることも無かったのに」
「……」
俺はこのまま死ぬのか。せめて仲間に囲まれながら、ノエルに見守られながら死にたかったな。最後に両親にも会いたい。
皆のことを考えたら涙が出てきた。ボロボロボロボロ涙が出て止まらない。
「夫婦は苦楽を共にするんでしょ? メレディスは楽になるかもしれないけど、俺はこんな最後苦しいよ」
「そうだったな……今はまだ夫婦だもんな」
メレディスは俺を引き剥がし、涙を拭ってくれた。
「死なないでよ。お願いだから」
「辛い思いをさせて悪かったな」
メレディスの浄化が止まったようだ。徐々に色を取り戻しつつある。
俺は安堵からメレディスに抱きついた。
「怖かった」
◇
俺とメレディスは、みーちゃんの背に乗せてもらいながら移動している。俺が前でメレディスが後ろだ。
ちなみに、雑魚三体はそのまま放置してきた。その後のことは……知らない。
「みーちゃんって便利だね」
「通常はこんなことしてくれんが、汝の事を随分と気に入っているようだな」
「そっか。でもメレディスとの刻印が消えたら、みーちゃんとも会えなくなるんだね……わッ」
寂しくなるなと思っていると、みーちゃんが変わった動きをしたので、振り落とされそうになった。
「大丈夫か?」
「うん。ありがとう」
振り落とされそうになった俺の腰にメレディスは後ろから腕を回して支えてくれた。
「キィィ」
「ッたく、こいつわざとしてるな」
メレディスは呆れた顔でみーちゃんを見下ろした。
「わざとって。まさか、みーちゃん、俺のこと落として殺そうと?」
「馬鹿なのか」
「馬鹿って……メレディス酷い」
ムッとしていると、メレディスは俺の腰に回した手に力を加えて更に引き寄せた。完全にメレディスと密着した形になり、更には肩に顔を乗せられた。
「メレディス、近くない……?」
戸惑っていると耳元で囁かれた。
「こいつは私達が仲良くすることを望んでるんだ。そういう精霊だからな」
「でもメレディスは女の子が好きだし、俺だって」
「もう強がらなくても良い」
「強がる?」
どうでも良いが、メレディスの声が色っぽすぎる。真夜中の星空の下、ムードが良すぎるからだろうか。
腰に回された腕とは反対の手でメレディスに手を握られた。驚いたがメレディスが話し始めたので、抵抗せずに聞いた。
「事情も聞かず私のことを庇ってくれたり」
メレディスは、今は一応味方だ。味方が馬鹿にされれば腹も立つ。
「私がいないと生きられないと泣きながら縋ってくれたり、汝の気持ちは十分に伝わった」
「あれは、ごめん」
今考えると自分勝手すぎたかもしれない。自分が死にたくないことしか考えていなかった。でも、そんなに根にもたなくても良いのに。
「陛下に刻印を消さないで欲しいと必死に懇願していたのも本心だったんだな。それなのに、私はチャンスとばかりに……酷い仕打ちをして悪かったな」
メレディスの力が無くなれば逃げ切れる気がしなかったから、本心といえば本心ではあるが。
「私もここまで一途に想われて拒むことはできん」
「メレディス、何の話を……ひゃッ! ちょっと何処に手入れてんの!?」
腰に回されていたメレディスの手が、シャツの中に入ってきた。
「暴れたら落ちるぞ」
「だってくすぐったいし」
「その内、気持ちよくなる」
「ぴゃッ」
服の中をまさぐられながら、メレディスに耳を舐められた。
「可愛いな」
「刻印? 刻印が疼いてるの?」
俺の刻印は疼いていないが、メレディスは疼いているのかもしれない。
「案ずるな、これは自らの意思だ」
「いやいやいや、案ずるよ。物凄い案ずるよ」
「今更恥ずかしがることはない。溺愛して欲しかったんだろう? 望みを叶えてやろうと思ってな」
「溺愛? 望み?」
「相変わらず惚けるのが上手いな。私の力を扱えるようになった所を見て欲しかったのだろう?」
メレディスが苛々してたから、闇魔法を扱えるようになった所を見せはしたが、それと今の状況はどう繋がるのだろうか。さっぱり分からない。
「それが『私を溺愛して』と同義なのも分かっていると自分で言っていたではないか」
「……は?」
俺は、また訳のわからない魔界ルールに嵌められてしまったようだ。
「だから陛下には絶対に渡さんから安心しろ。無論あの男にも返さん。一生二人で生きていこう」
あの男とは誰のことか分からないが、メレディスはこの暑さのせいで冷静な判断が出来ずにいるに違いない。
「メレディス、早くここから出て人間界に行こう」
「そうだな。人間界に汝を無事に送り届ければ休みが十年は貰えるからな。それから思う存分愛でることにしよう」
人間界に戻るのも不安になって来た。
そうだ、こういう時は帰ってノエルの意見を聞こう。まともな意見が返ってこないノエルだが、ノエルが口にした事は全て現実になるのだ。
俺をジェラルドやリアム達とくっつけたがっているノエルの意見を聞けば、自ずとメレディスとは距離が出来るはず。
「ちょ、ズボンはやめて、本当にやめて。もうメレディス、落ちちゃうって」
「だったら抵抗するな」
「なんだか気分が良いんだ。このまま逝きたい」
「ダメダメ! 早く光魔法抑え込んで!」
これは非常にまずい。光魔法を抑え込んだところで浄化が食い止められるかは疑問だが、何もしなければ確実にメレディスは死ぬ。そして、俺も死ぬ。
俺はメレディスが天に召されないよう、必死にメレディスに縋り付いた。
「死んだら嫌だよ。メレディスが死んじゃったら俺どうすれば良いの? 俺、生きられないよ」
「汝……そんなに私のことを」
メレディスは何百年と生きているかもしれない。だけど、俺はまだたったの十四年。人生これからなんだ。
「こんなことなら冒険なんてするんじゃなかった。冒険さえしなければ、メレディスにさえ出会わなければ、こんな気持ちになることも無かったのに」
「……」
俺はこのまま死ぬのか。せめて仲間に囲まれながら、ノエルに見守られながら死にたかったな。最後に両親にも会いたい。
皆のことを考えたら涙が出てきた。ボロボロボロボロ涙が出て止まらない。
「夫婦は苦楽を共にするんでしょ? メレディスは楽になるかもしれないけど、俺はこんな最後苦しいよ」
「そうだったな……今はまだ夫婦だもんな」
メレディスは俺を引き剥がし、涙を拭ってくれた。
「死なないでよ。お願いだから」
「辛い思いをさせて悪かったな」
メレディスの浄化が止まったようだ。徐々に色を取り戻しつつある。
俺は安堵からメレディスに抱きついた。
「怖かった」
◇
俺とメレディスは、みーちゃんの背に乗せてもらいながら移動している。俺が前でメレディスが後ろだ。
ちなみに、雑魚三体はそのまま放置してきた。その後のことは……知らない。
「みーちゃんって便利だね」
「通常はこんなことしてくれんが、汝の事を随分と気に入っているようだな」
「そっか。でもメレディスとの刻印が消えたら、みーちゃんとも会えなくなるんだね……わッ」
寂しくなるなと思っていると、みーちゃんが変わった動きをしたので、振り落とされそうになった。
「大丈夫か?」
「うん。ありがとう」
振り落とされそうになった俺の腰にメレディスは後ろから腕を回して支えてくれた。
「キィィ」
「ッたく、こいつわざとしてるな」
メレディスは呆れた顔でみーちゃんを見下ろした。
「わざとって。まさか、みーちゃん、俺のこと落として殺そうと?」
「馬鹿なのか」
「馬鹿って……メレディス酷い」
ムッとしていると、メレディスは俺の腰に回した手に力を加えて更に引き寄せた。完全にメレディスと密着した形になり、更には肩に顔を乗せられた。
「メレディス、近くない……?」
戸惑っていると耳元で囁かれた。
「こいつは私達が仲良くすることを望んでるんだ。そういう精霊だからな」
「でもメレディスは女の子が好きだし、俺だって」
「もう強がらなくても良い」
「強がる?」
どうでも良いが、メレディスの声が色っぽすぎる。真夜中の星空の下、ムードが良すぎるからだろうか。
腰に回された腕とは反対の手でメレディスに手を握られた。驚いたがメレディスが話し始めたので、抵抗せずに聞いた。
「事情も聞かず私のことを庇ってくれたり」
メレディスは、今は一応味方だ。味方が馬鹿にされれば腹も立つ。
「私がいないと生きられないと泣きながら縋ってくれたり、汝の気持ちは十分に伝わった」
「あれは、ごめん」
今考えると自分勝手すぎたかもしれない。自分が死にたくないことしか考えていなかった。でも、そんなに根にもたなくても良いのに。
「陛下に刻印を消さないで欲しいと必死に懇願していたのも本心だったんだな。それなのに、私はチャンスとばかりに……酷い仕打ちをして悪かったな」
メレディスの力が無くなれば逃げ切れる気がしなかったから、本心といえば本心ではあるが。
「私もここまで一途に想われて拒むことはできん」
「メレディス、何の話を……ひゃッ! ちょっと何処に手入れてんの!?」
腰に回されていたメレディスの手が、シャツの中に入ってきた。
「暴れたら落ちるぞ」
「だってくすぐったいし」
「その内、気持ちよくなる」
「ぴゃッ」
服の中をまさぐられながら、メレディスに耳を舐められた。
「可愛いな」
「刻印? 刻印が疼いてるの?」
俺の刻印は疼いていないが、メレディスは疼いているのかもしれない。
「案ずるな、これは自らの意思だ」
「いやいやいや、案ずるよ。物凄い案ずるよ」
「今更恥ずかしがることはない。溺愛して欲しかったんだろう? 望みを叶えてやろうと思ってな」
「溺愛? 望み?」
「相変わらず惚けるのが上手いな。私の力を扱えるようになった所を見て欲しかったのだろう?」
メレディスが苛々してたから、闇魔法を扱えるようになった所を見せはしたが、それと今の状況はどう繋がるのだろうか。さっぱり分からない。
「それが『私を溺愛して』と同義なのも分かっていると自分で言っていたではないか」
「……は?」
俺は、また訳のわからない魔界ルールに嵌められてしまったようだ。
「だから陛下には絶対に渡さんから安心しろ。無論あの男にも返さん。一生二人で生きていこう」
あの男とは誰のことか分からないが、メレディスはこの暑さのせいで冷静な判断が出来ずにいるに違いない。
「メレディス、早くここから出て人間界に行こう」
「そうだな。人間界に汝を無事に送り届ければ休みが十年は貰えるからな。それから思う存分愛でることにしよう」
人間界に戻るのも不安になって来た。
そうだ、こういう時は帰ってノエルの意見を聞こう。まともな意見が返ってこないノエルだが、ノエルが口にした事は全て現実になるのだ。
俺をジェラルドやリアム達とくっつけたがっているノエルの意見を聞けば、自ずとメレディスとは距離が出来るはず。
「ちょ、ズボンはやめて、本当にやめて。もうメレディス、落ちちゃうって」
「だったら抵抗するな」
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