俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

文字の大きさ
131 / 144
第八章 逆ハーレムまっしぐら

いざ、天界へ

しおりを挟む
 翌朝、俺達は天界にやってきた。どうやって来たかは……よく分からない。何せトナカイが速いのだ。ソリに乗った瞬間に景色が一変、数分も経たない内に天界の入り口に着いていた。

 ちなみに、全員で行く必要もないのでアーサーらは人間界で留守番だ。

「なんか吐きそう……」

「お兄様、大丈夫ですの?」

「ノエル達は大丈夫だったの? 物凄く揺れたんじゃない?」

「いいえ。袋の中はとても静かで快適でしたわ。ね、皆様」

 ノエルや仲間は皆、サンタの袋の中に入って移動したのだ。何故って、ソリは二人乗りだから。

 仕組みは分からないが、サンタの袋は無限に何でも入る。人間が入っても害は無いらしい。

「俺も袋の中が良かったな」

「何を言っておる。愛し子を袋なんぞに入れたら、誤解を解く前にこの世から永久追放じゃ」

「そんな大袈裟な……」

「とにかく、そこの門に光の力を流し込めば開く」

 サンタに言われて、とてつもなく大きな門を見上げた。門の周りは霧で覆われ、門以外何も見えない。というより、門しかなさそうに見える。今立っている場所も地表なのか、はたまた雲の上なのか、それすら分からない。

 そんな場所をゆっくりと歩き、門に近付いた。そこに右手を翳して光の魔力を流した。

 ギギィ。

「開いた」

「よし、早く行こうぜ!」

「ジェラルド、軽いなぁ」

 こういう時は、厳かに開く扉を前に息を呑んでゆっくりと一歩足を踏み入れたいものだ。

「オリヴァー、早く行こうよ!」

「リアムも楽しそうだね」

「天界なんて、未知の世界だからね」

 結局、ジェラルドとリアムに両側から手を引かれ、まるでテーマパークにでも来たかのように門の中に足を踏み入れた——。

 中はリンゴの果樹園ではないかと思わせる程にリンゴの木が並んでいた。しかも、リンゴは赤や緑ではなく、金と銀だった。

「天界と言えば金のリンゴですわよね!」

「そうなの? ところで、神様は何処にいるの?」

 振り返ってサンタに聞けば、サンタはまだ門の外にいた。

「わしはやはり中に入れんみたいじゃ。此処で待っておる」

 見えないバリアに阻まれ、サンタはそれ以上進むことが出来なかった。

「そのまま真っ直ぐ進めば泉がある。大抵神はそこにおるから頼んだぞ」


 ◇


「うわぁ、天使がいっぱい」

 泉には神がいると聞いていたが、真っ白い翼を生やした天使がザッと十体はいた。どれが神だか分からない。

 天使は不思議そうな顔で俺達を見るが、警戒はしていなさそうだ。

「神様の居場所、聞いてみよっか」

 相変わらず度胸のあるエドワード。近くにいた天使三人組に声をかけに行った。

 数十秒後、困惑した顔でエドワードが戻ってきた。

「どうかしたの?」

「三人共みんなバラバラの事を言うんだ。一人はあそこにいるのが神って言ったり、もう一人はここにはいない。そして、最後の一人は私が神だ、って」

「誰かが嘘吐いてるのかな?」

 俺が首を傾げれば、リアムが顎に手を当てて言った。

「これは面白いね。神を当てるゲームみたいだ。僕、ここにいる全員から情報収集してくるから、少し待ってて」

「一人は危ないだろ。オレも付いて行くぜ」

「兄ちゃんが行くならボクも」

 そう言ってリアムとキース、ショーンは、天使らから話を聞きに行った——。

「お兄様、待っている間、あれに乗りませんこと?」

「ボート? 勝手に乗っちゃダメでしょ」

「こちらに『ご自由にどうぞ』と書かれていますわ」

「本当だ」

 ボートの近くに看板が立っており、確かに書いてあった。

「では、お兄様。どちらと乗りますか?」

 ノエルがジェラルドとエドワードの腕を組んで聞いてきた。

「どちらとって、ノエルが乗りたいんじゃ……」

 そこへ、エドワードの熱い視線が俺に訴えかけてきた。

「俺、ジェラルドと乗るよ」

「仕方ねーな。お前漕げよ」

「うん」

 チラリとエドワードを見上げれば、満面の笑みを浮かべられた。

「ノエル、二人が戻ってくるまで僕と散歩でもしてよ」

「ではお兄様、わたくしはエドワード様とお散歩して参りますわ。ジェラルド様と素敵な時間をお過ごし下さい」

「はは、じゃあまた後でね……」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど

野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。 愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。 それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。  ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。 イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?! □■ 少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです! 完結しました。 応援していただきありがとうございます! □■ 第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。

春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。  新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。  ___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。  ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。  しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。  常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___ 「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」  ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。  寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。  髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?    

悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】

瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。 そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた! ……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。 ウィル様のおまけにて完結致しました。 長い間お付き合い頂きありがとうございました!

処理中です...