俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

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第八章 逆ハーレムまっしぐら

走馬灯

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 結界が破られた。すぐに修復はしたが三体何かが結界内に侵入してきている。結界を破るくらいだ。相当強い敵に違いない。そう思って転移して見にきたら……。

「なんだ。雑魚A、B、Cじゃん。生きてたんだ」

「お前、この間の。女だったのか?」

「あいつメレディスの嫁だろう? なんでメレディスだけあんな可愛い嫁がいるんだよ。オレなんて連敗なのによ」

「今回はメレディスいないし、使えるな」

 この三体は悪魔で、メレディスとは昔からの腐れ縁だそうだ。

「オリヴィア、こいつら知ってんのか? 俺に内緒でまた知らない男と……」

 ジェラルドの周りに冷たい風が流れた。もちろん怒りで魔力が放出されただけだが。

「ジェラルド、あれは普通に敵だよ」

 そう言うと、安心したのかいつものジェラルドに戻った。ホッとしながら付け加えた。

「メレディスと一緒に一度倒したんだけど、生きてたみたい」

「あいつと……?」

 ジェラルドが再び怒りを露わにした。

「ジェラルド、面倒臭いよ。好きな子に嫌われるよ?」

「お前……」

 ジェラルドが俺と向かい合って立った。そして、両肩をガシッと掴まれた。

「ど、どうしたの? 敵あっちだよ」

「あんな雑魚よりこっちが大事だ」

「チッ、また雑魚呼ばわりか」

 雑魚Bが怒りを露わにして、こちらに向かって闇の閃光を放ってきた。

 ギュッと目を瞑ると、爆発音が聞こえた。しかし、吹き飛ばされたり痛みなども全くない。恐る恐る目を開くと、ジェラルドが氷のシールドを張って攻撃を防いでいた。

 パカラバカラパカラ。

 王都から派遣された騎士団が馬に乗ってやってきた。遅れて、宮廷魔導士らも現れた。

「第三王子は、あんなのと毎回戦っておられたのか」

「私の弟子らは凄いでしょう」

 これはヒューゴ副団長。俺とエドワードの剣の師匠だ。

「私らでも敵うかどうか……」

「それを容易く倒すのですよ。私の弟子らは」

 どうしても弟子自慢がしたいらしい。嬉しい反面恥ずかしい。

「とにかくやるしかない! 行くぞ!」

 騎士団長の掛け声で、魔法が使える騎士や魔導士らは一斉に詠唱した。すると、上空に向かって火や水や風、様々な魔法が飛び交った。

 今までにない程のその迫力にキースとエドワードは呆気にとられている。

 そんな中、ジェラルドと俺の周りだけ空気が違う。時が止まったようだ。

「俺、お前に嫌われたら生きていけねぇ」 

「大袈裟だよ」

「だから嫌いにならないでくれ」

「嫌いになんてならないよ」

 とても悲しそうな表情のジェラルド。何がジェラルドをそんなに不安にさせるのか、恋愛未経験の俺には分からない。

 俺はジェラルドの頬にそっと手を置いた。

「俺は昔も今もこれからもジェラルドのモノなんでしょ?」

「オリヴィア」

「だから…………え?」

 突然景色が変わった。

「お前、浮気してんのか? メレディスに言ってやろうか」

「なッ、雑魚A。いや、Cだったかな」

「忘れんなよ! Aだよ! って、Aでもないよ!」

 ノリの良い雑魚Aに捕まってしまった。ジェラルドとエドワードは俺がいるからか、雑魚Aに攻撃出来ないでいる。

「俺をどうする気だ」

「次は失敗出来ねーからな。手伝ってもらおうと思ってな」

 そう言って雑魚BとCの元まで飛び上がった——。

「うわ、凄い攻撃されてるじゃん! 死ぬ死ぬ、死んじゃうじゃん!」

「あんなんで死なねーだろ。暴れてると落ちるぞ」

 雑魚BとCは背を向けた。

「よし、お前あいつらの相手頼んだぞ」

「は?」

「あいつらの相手してからじゃ時間かかっちまうからな。頼んだぞメレディスの嫁」

「待って待って待って、意味分かんないから。俺、襲撃の手伝いなんてしないから」

「そんなこと言いながら、シールド張ってくれてんじゃねーかよ」

「いや、これは……」 

 雑魚Aは俺の腰の辺りを後ろから持っているだけなので、魔法は普通に使える。俺は下からの攻撃を受けないようにシールドを張っている。まるで俺が雑魚の味方みたいだ。

「それにお前、羽生えてんじゃねーか。もう悪魔の仲間入りだな」

「違うよ」

 それよりどうしたものか。雑魚三体は俺が勝手に命名しただけで普通に強い。分散されては被害は間違いない。出来ればこの場で倒したい。

 俺は闇のシールドを解除した。

「なッ、貴様」

「クソッ、またあいつらの相手しなきゃなんねーだろーが」

「お前、分かってんのか? オレ達は再生能力高いけどお前は……」

 ドンッ。

「言わんこっちゃない。おい、メレディスの嫁! 大丈夫か?」

 攻撃を受けるとは思っていたが、まさか急所に当たるとは思わなかった。

 俺は治癒魔法はかけずに、お祈りした。雑魚三体が浄化しますように……と。

「うッ、お前……何を……」

 キラキラと光る雑魚Aの手から、俺はするりと落ちた。

 いよいよ死ぬのだと思った。走馬灯が流れ始めたから。

 下で仲間達の声がする。アーサーが呼びかけてくれている。その声は全て遠くに感じ、このまま一人で死ぬのだと思うと涙が出てきた。そして、ふと思い出した。

「メレディス、ごめん」

 俺が死ねばメレディスも死ぬ。何も知らぬままメレディスは死ぬのだ。最後に一目会って謝罪だけでもしよう。

「メレディス、助けて」

 ボンッ。

 落ちていく途中、空中でメレディスの元気そうな顔が見えた。その顔は次第に真っ青になっていく。

「オリヴァー?」

「メレディス、ごめんね……」

 最後の力を振り絞ってニコッと笑うと、俺はそのまま地面に叩きつけられた——。
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