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第八章 逆ハーレムまっしぐら
秘技上目遣い
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何だろうか、この快感は。そしてこの苦しみは。
時間が経つと、その快感は遠ざかって別のものになる。ただ、苦しみは強まる一方。
苦しみと言ってもお腹だけ。何故だかお腹が苦しいのだ。タプタプなのだ。
——確か俺は死んだ。誰かの魔法が心臓辺りに直撃し、しかも空高くから落下した。
死んだ後は、てっきり天界へと行くものだと思っていた。神の元へと帰るのだと。しかし、ここは天界とは違う……と、思う。
まただ……。
もうお腹はパンパンなのに、何かが少しずつ体の中に流し込まれていく。そしてこの快感……リアムとした時のだ。
何を? リアムとの何だ?
「————ヴァー、オリヴァー、目を覚まして」
「私に寄越せ」
「メレディスはやめなっていってるじゃん。浄化されたら逆効果なんだから。僕がやるよ」
エドワードの声だ。
また何かが流れ込んできた。そして先程とは違った快感が訪れる。もっと味わっていたいような気分になっていると、遠ざかる。
「貴様らのやり方ではちゃんと入っていないのではないか? 一向に目を覚まさんではないか」
ん? 魔王?
死んだ後は仲間の声を思い出しながら天に召されていると思ったが、違うのか? それとも魔王すら仲間と認識しているのだろうか。
「こういうのはな、こうするんだ」
「ちょッ、魔王も浄化されるんじゃ……いや、浄化されたら好都合?」
エドワードが戸惑いの声を上げる一方で、今までにない程の快感が全身に行き渡る。
「んん……」
「「「「オリヴァー!」」」」
「ほら見ろ。もう一息だ」
魔王がそう言うと、一瞬離れていた快感が再び口を通して全身に行き渡る。それが再び離れようとするものだから、俺は言った。
「もっと……」
「おねだりが上手だな」
再びねっとりと口の中に何かが入ってきて、舌を絡みとられた。同時に太腿を何かが這っていく。
「んんッ」
最近トロトロにキスされた挙句、その先がないので不満でも溜まっているのだろうか。
死んだというのに誰かとキスをしながらエロいことをしているような、そんな感覚に陥っている。
「陛下、それ以上は流石に陛下でも許しませんよ」
「魔王、それは俺のモノだ。それ以上触ると殺すぞ」
急に周りが騒がしくなった。爆発音まで聞こえてくる始末。ただ、誰かに深い深い口付けをされながら体のラインに沿ってなぞられているのは変わらない。
「こんなに感じているのに、やめる方が無粋と言うものだ。そうだろう?」
何故だろうか。死んだ後の夢か何かのはずなのに、このままされるがままでは何かがまずい気がする。俺は重たい瞼をゆっくりと開けた。
「魔王……」
会話の流れからは分かっていた。分かっていたが何故魔王が?
至近距離でばっちりと目が合うと、蕩けるような笑顔を向けられた。
「ジェネシス……ジェネ様と呼んでくれ」
「ジェネ……様?」
キョトンとしながら言えば、魔王にギュッと抱きしめられた。
「何と愛らしいのだ!」
「……ん?」
魔王に抱きしめられながら見た世界はカオスだった。
ここがどこかは分からないが、辺り一面草原が広がっている。そして、目の前には闇のシールド……いや、これは結界か?
それに向かってメレディスとジェラルド、エドワード、キースが怒鳴りながら一斉に攻撃している。しかし、結界は強固なようで破れない。リアムも心配そうな顔でこちらを見ている。
そんな状況下でノエルは一所懸命に肖像画を次々に描いている。アーサーとショーンがその横で口を挟み、描いた肖像画をお父さんがまとめている。
マッチョとメガネは、残念そうな顔でこちらを見ながらお茶をしている。
「まだ全快ではないのだろう? もう一本飲むが良い」
「んんッ」
魔王に口付けされた。そこから何かの液体が流れ込んでくるのが分かった。ゴクリとそれを飲み込んで、やっと理解した。
これは『聖水』だ。
つまり、俺は生きている?
聖水を飲ませる為に、皆が代わる代わる口移しで飲ませてくれていたのだろう。だからお腹もこんなにタプタプに……って、こんなにタプタプになるまで何回口移しをされたのだろうか。聞くのが恐ろしい。
何はともあれ、聖水で生き永らえたようで安堵……している暇はない。
貪るように口付けをしてくる魔王の胸をパシパシと叩くと、魔王の口が離れた。
「ぷはッ、もう良いから! 全快してるから!」
「そうか、それならば続きをしようではないか。もっと触って欲しいのだろう?」
「は?」
「さっき言っていたではないか。『もっと』と」
言ったかもしれない。魔王のキスがあまりにも心地よかったから。
「おねだりされてはメレディスに何と言われようとするしかなかろう? 我と汝は相性が良さそうだしな。このまま我の妃になれ」
こんな俺でも分かる。これは押し倒されるパターンだ。
今の俺はリアムにも勝てない程に腕力がない。そもそも魔王は隙がない。しかも、仲間は皆、魔王の結界の外。このままでは皆に見られながら貞操を奪われ兼ねない。それも外で。
俺はメレディスとリアムに禁止されていることを自らすることにした——。
まずは儚げにやや俯き加減に。そして、ピンクの瞳をウルウルさせながら上を見上げた。
ただ、これだけ。
一応名前も呼んでみるか。
「魔お……ジェネ様?」
するとどうだろう。魔王だけ時が止まったように動かなくなった。
これぞ秘技『上目遣い』だ。
そして、両手に光の魔力を集中させた。
「オリヴァー、それはダメだ!」
「バカッ」
「そんなことしたら」
仲間達が俺の行動を止めたが、覆水盆に返らず。渾身の一撃で魔王に光魔法を放った。
魔王はそれを一身に受け止め、結界の外まで吹き飛んだ。
「あ、忘れてた……」
ヘンテコな魔界ルールのひとつ。
『求婚を申し出た相手に傷をつけることは最上級の合意の仕方』
魔王は傷ついた体を起こし、極上の笑みを見せた。
時間が経つと、その快感は遠ざかって別のものになる。ただ、苦しみは強まる一方。
苦しみと言ってもお腹だけ。何故だかお腹が苦しいのだ。タプタプなのだ。
——確か俺は死んだ。誰かの魔法が心臓辺りに直撃し、しかも空高くから落下した。
死んだ後は、てっきり天界へと行くものだと思っていた。神の元へと帰るのだと。しかし、ここは天界とは違う……と、思う。
まただ……。
もうお腹はパンパンなのに、何かが少しずつ体の中に流し込まれていく。そしてこの快感……リアムとした時のだ。
何を? リアムとの何だ?
「————ヴァー、オリヴァー、目を覚まして」
「私に寄越せ」
「メレディスはやめなっていってるじゃん。浄化されたら逆効果なんだから。僕がやるよ」
エドワードの声だ。
また何かが流れ込んできた。そして先程とは違った快感が訪れる。もっと味わっていたいような気分になっていると、遠ざかる。
「貴様らのやり方ではちゃんと入っていないのではないか? 一向に目を覚まさんではないか」
ん? 魔王?
死んだ後は仲間の声を思い出しながら天に召されていると思ったが、違うのか? それとも魔王すら仲間と認識しているのだろうか。
「こういうのはな、こうするんだ」
「ちょッ、魔王も浄化されるんじゃ……いや、浄化されたら好都合?」
エドワードが戸惑いの声を上げる一方で、今までにない程の快感が全身に行き渡る。
「んん……」
「「「「オリヴァー!」」」」
「ほら見ろ。もう一息だ」
魔王がそう言うと、一瞬離れていた快感が再び口を通して全身に行き渡る。それが再び離れようとするものだから、俺は言った。
「もっと……」
「おねだりが上手だな」
再びねっとりと口の中に何かが入ってきて、舌を絡みとられた。同時に太腿を何かが這っていく。
「んんッ」
最近トロトロにキスされた挙句、その先がないので不満でも溜まっているのだろうか。
死んだというのに誰かとキスをしながらエロいことをしているような、そんな感覚に陥っている。
「陛下、それ以上は流石に陛下でも許しませんよ」
「魔王、それは俺のモノだ。それ以上触ると殺すぞ」
急に周りが騒がしくなった。爆発音まで聞こえてくる始末。ただ、誰かに深い深い口付けをされながら体のラインに沿ってなぞられているのは変わらない。
「こんなに感じているのに、やめる方が無粋と言うものだ。そうだろう?」
何故だろうか。死んだ後の夢か何かのはずなのに、このままされるがままでは何かがまずい気がする。俺は重たい瞼をゆっくりと開けた。
「魔王……」
会話の流れからは分かっていた。分かっていたが何故魔王が?
至近距離でばっちりと目が合うと、蕩けるような笑顔を向けられた。
「ジェネシス……ジェネ様と呼んでくれ」
「ジェネ……様?」
キョトンとしながら言えば、魔王にギュッと抱きしめられた。
「何と愛らしいのだ!」
「……ん?」
魔王に抱きしめられながら見た世界はカオスだった。
ここがどこかは分からないが、辺り一面草原が広がっている。そして、目の前には闇のシールド……いや、これは結界か?
それに向かってメレディスとジェラルド、エドワード、キースが怒鳴りながら一斉に攻撃している。しかし、結界は強固なようで破れない。リアムも心配そうな顔でこちらを見ている。
そんな状況下でノエルは一所懸命に肖像画を次々に描いている。アーサーとショーンがその横で口を挟み、描いた肖像画をお父さんがまとめている。
マッチョとメガネは、残念そうな顔でこちらを見ながらお茶をしている。
「まだ全快ではないのだろう? もう一本飲むが良い」
「んんッ」
魔王に口付けされた。そこから何かの液体が流れ込んでくるのが分かった。ゴクリとそれを飲み込んで、やっと理解した。
これは『聖水』だ。
つまり、俺は生きている?
聖水を飲ませる為に、皆が代わる代わる口移しで飲ませてくれていたのだろう。だからお腹もこんなにタプタプに……って、こんなにタプタプになるまで何回口移しをされたのだろうか。聞くのが恐ろしい。
何はともあれ、聖水で生き永らえたようで安堵……している暇はない。
貪るように口付けをしてくる魔王の胸をパシパシと叩くと、魔王の口が離れた。
「ぷはッ、もう良いから! 全快してるから!」
「そうか、それならば続きをしようではないか。もっと触って欲しいのだろう?」
「は?」
「さっき言っていたではないか。『もっと』と」
言ったかもしれない。魔王のキスがあまりにも心地よかったから。
「おねだりされてはメレディスに何と言われようとするしかなかろう? 我と汝は相性が良さそうだしな。このまま我の妃になれ」
こんな俺でも分かる。これは押し倒されるパターンだ。
今の俺はリアムにも勝てない程に腕力がない。そもそも魔王は隙がない。しかも、仲間は皆、魔王の結界の外。このままでは皆に見られながら貞操を奪われ兼ねない。それも外で。
俺はメレディスとリアムに禁止されていることを自らすることにした——。
まずは儚げにやや俯き加減に。そして、ピンクの瞳をウルウルさせながら上を見上げた。
ただ、これだけ。
一応名前も呼んでみるか。
「魔お……ジェネ様?」
するとどうだろう。魔王だけ時が止まったように動かなくなった。
これぞ秘技『上目遣い』だ。
そして、両手に光の魔力を集中させた。
「オリヴァー、それはダメだ!」
「バカッ」
「そんなことしたら」
仲間達が俺の行動を止めたが、覆水盆に返らず。渾身の一撃で魔王に光魔法を放った。
魔王はそれを一身に受け止め、結界の外まで吹き飛んだ。
「あ、忘れてた……」
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