理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら

赤羽夕夜

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繋がる縁

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ユーゴーは港町に帰った。



特に日常が変わることもなかったが、ユーゴーとは手紙のやり取りや事業を通して会う機会が増えた。



以外とマメな人で今日あった些細なことを手紙でしたためると丁寧に返してくれたり。定期的に時間を作っては会おうと言い出してくれたり。多い時は週に1度も顔を合わせれば仕事に明け暮れる私たちには他愛のない話の話題の底がついてしまう時だってあった。



そんな時に、ふとお互いの事業の話題になれば以外と他愛のない話より話が弾んだ気がした。私も宿泊事業の話やユーゴーの事業の話が楽しくてついつい話過ぎてしまうところがあった。



服やアクセサリーの話を無理に話していた時と比べると楽しい。



ユーゴーの前でありのままの私でいられることがどれだけ気が楽だろうか。



そんなある日。ふと酒の席でユーゴーから有益な話が聞けたのがきっかけだった。



ユーゴーの貿易事業が軌道に乗っており、港町と周辺一帯の海路は賑わいを見せていた。タナー王国自体が外国との交易の幅を広げたということもあり、港町一体の店は珍しい品物であふれかえり、観光客が増えているという。



その中で船を活かした船旅の事業を展開しようという話が商会内で持ち上がったそうだ。ユーゴーが所有する大型の客船を改築し、貴族をターゲットにした宿泊施設なんて楽しそうだ、と話すとユーゴーはまるで子供が流行りの童話の続きを聞きたがるような好奇心に満ちた目で聞き返した。



そうして、大型船を客室が備わった客船へと改造し、宿泊施設を増設すること。船旅に、海から見る港町の絶景ポイントを周り、有名な音楽団や外国の旅芸人などを招いてのショー。ディナーは歌姫や吟遊詩人のディナーショーで、旅の夜の〆は豪華な花火を打ち上げるなどのエンターテイメントという付加価値をつけたら面白そうだと提案すると悪くない案だと受け入れた。



海運で荷物を運ぶとき、乗務員たちは何日も船の中で寝泊まりをするという。何日も船に揺られて退屈だという話を追加で聞いて、絶対にこれは流行る!と勢い込みで話すとトントン拍子で話が進んだ。



客船の内部の従業員と催し物に関わるサービス面の全ての差配はフォンティーヌ家が。船に関わる管理や運営、港関係の全てをユーゴーのテーヌ家が請け負うことで話が進んだ。





まずは王国民向けに事業発表をして反応がよければ試験的に外国向けに徐々に展開していく。宿泊事業としてはもちろん、移動手段としても利用してくれるようになれば、観光客が主に港町にもお金を落としてくれて、結果的に経済も潤う。



船とホテルをかけ合わせた新しい在り方に私は胸を躍らせつつ、新しい企画のために寝る間も惜しんで準備と調整を重ねた。

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