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二学期 一章 新学期は生徒会と共に
003 ガチゆり大事件――ゆりは緩いくらいが丁度いい
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全校生徒から集まった行事に対する意見が書かれた紙の山を、パソコンに次々と打ち込んでいく。
「ごめんね、弟くん。昼休みだけじゃなく、休み時間もずっと手伝ってもらちゃって……。」
生徒会会計の言葉先輩は、集まった意見用紙が詰まった大きな箱を抱えながら言った。
「いえいえ、人手は一人でも多い方がいいですからね。」
一学期の球技大会とは違い、さすがに大物行事が目白押しの今回は、生徒会メンバーだけでなく、各クラスのクラス委員長、各委員の委員長たちも集められ、全校生徒の意見の整理作業に一丸となって取り掛かっているようである。
「全く――自分の姉貴ながら、本当よくやるなぁと感心しますよ。」
姉貴が生徒会長に就任したのは昨年の三学期である。『学生の学生による学生のための統治』を宣言し、圧倒的支持率で当選した。そもそも彼女に対抗して生徒会選挙に出馬しようとする者はいなかった。
「吹雪ちゃんはやるって決めたら、達成するまで曲げないからなぁ。それがいいところでもあり、傍で見ていて少し不安になっちゃうところでもあるけどね。」
「……さすが、言葉先輩は姉貴のこと、よく見ていますね。」
姉貴の右腕にして、親友でもある言葉先輩は、いつも姉貴を理解し支えてくれている。
「来年の生徒会長は誰がやるんですかねー。姉貴の後釜とか、絶対大変だと思うんですけど。」
次期生徒会長となる人は、どうしたって姉貴と比較されてしまう。その可哀そうな次期生徒会長を決める選挙も、この二学期に行われる。
言葉先輩は俺の疑問に対して、とてもにこやかな笑顔で物騒な事をいった。
「そうだねー。弟くんが生徒会長やったらいいんじゃないかな?」
「えぇ? 無理ですよ。部活で忙しいですし。」
「そうだった、弟くんはキャプテンになったんだもんねー。まぁ順当にいったら、今の副生徒会長である永森氷菓ちゃんがなるんじゃないかな。」
永森氷菓ながもりひょうか――現在高校二年生、そして現行生徒会の副会長である。
「あぁ、あのちびっ子副会長ですか。でも、ちょっと頼りないというか、危なっかしいところあるんだよなぁ。」
「へぇー。雪は――わたしのこと、そんな風に思ってたんだー。」
唐突に俺の背後から、舌足らずな子供っぽい声が聞こえてきた。
「……え゛!?」
驚いて振り返ったが、俺の背後には誰もいなかった。
「あれ? 誰もいないな……。」
「……弟くん、下だよ下。」
言葉先輩の声に従って目線を下げると、頬をふくらませて俺を見上げている永森氷菓がいた。
「あぁ、小さすぎてわからなかった。まさかリアルで池乃めだか現象が起こるとは。」
関西圏のみなさんはお馴染み、知らない人は吉本新喜劇をご覧いただきたい。
「なにっ~! 吹雪様の弟であるとはいえ、もう怒ったかんね! ぶっ殺すかんな!」
「おっと、悪かったよ……。」
永森氷菓が短い腕をブンブン振り回してきたので、俺は彼女の頭をがしっと押さえつけた。腕の長さ的に、こうしていれば彼女の攻撃は俺にかすりもしない。
「ぐるるるぅぅぅっ!!」
「ははっ、そんなロリボイスで唸って威嚇されても怖くないなぁ!」
「なんだとぉっ!?」
「俺は日々、姉貴の威圧の元で生きてるんだぞ。ロリっ子副会長の威圧程度、可愛いとしか思わんな。」
自分で言っておいて、姉貴に威圧されて生きる弟ってのも妙なものだ。
「ロリっ子いうな! 吹雪様にあることないこと言いつけるよっ!」
「えっ……、それはまじでやめてほしい。」
「まぁまぁ、二人とも落ち着こうよ。」
言葉先輩はそう言って、もめあう俺たちの間に割って入った。
「ほら、休み時間終わっちゃうよ。作業が終わらないと、吹雪ちゃんに怒られちゃうぞ~?」
「っは、そうでした! 吹雪様から与えられた使命が最優先でした。あと……、雪! 今日の部活終わった後さ、少し話したいことがあるから時間くれない?」
「うん、まぁ別にいいけど。今じゃ駄目な話なのか?」
「あー、うん。できれば、ゆっくり話したいから……/// っじゃあ、またね!」
そう言って、氷菓は大きな段ボールを抱え、ふらふらした足どりで立ち去っていった。
「おやおや、これは……もしかして告白とかじゃないの?」
言葉先輩はにやにやしながら、そんな事を言ってきた。
「いや、それはないでしょ? だって、あいつって姉貴のこと大好きだし。あんまり詳しくないんですけど、あれって百合ってやつですかね。ゆるゆり?」
俺の疑問に、言葉先輩は少し頭をかかえながら教えてくれた。
「まぁ確かにそうだね……。ちねみに、弟くん。あの子のはガチだと思うよ。ガチゆり」
「ガチゆりですか……それは大事件ですね。」
ゆりはガチではなく、ゆるいくらいが丁度いいのである。
その日の放課後、俺は約束通りに氷菓と会う事になるのだが、その事を快くは思わない人物が一人いた。
「ごめんね、弟くん。昼休みだけじゃなく、休み時間もずっと手伝ってもらちゃって……。」
生徒会会計の言葉先輩は、集まった意見用紙が詰まった大きな箱を抱えながら言った。
「いえいえ、人手は一人でも多い方がいいですからね。」
一学期の球技大会とは違い、さすがに大物行事が目白押しの今回は、生徒会メンバーだけでなく、各クラスのクラス委員長、各委員の委員長たちも集められ、全校生徒の意見の整理作業に一丸となって取り掛かっているようである。
「全く――自分の姉貴ながら、本当よくやるなぁと感心しますよ。」
姉貴が生徒会長に就任したのは昨年の三学期である。『学生の学生による学生のための統治』を宣言し、圧倒的支持率で当選した。そもそも彼女に対抗して生徒会選挙に出馬しようとする者はいなかった。
「吹雪ちゃんはやるって決めたら、達成するまで曲げないからなぁ。それがいいところでもあり、傍で見ていて少し不安になっちゃうところでもあるけどね。」
「……さすが、言葉先輩は姉貴のこと、よく見ていますね。」
姉貴の右腕にして、親友でもある言葉先輩は、いつも姉貴を理解し支えてくれている。
「来年の生徒会長は誰がやるんですかねー。姉貴の後釜とか、絶対大変だと思うんですけど。」
次期生徒会長となる人は、どうしたって姉貴と比較されてしまう。その可哀そうな次期生徒会長を決める選挙も、この二学期に行われる。
言葉先輩は俺の疑問に対して、とてもにこやかな笑顔で物騒な事をいった。
「そうだねー。弟くんが生徒会長やったらいいんじゃないかな?」
「えぇ? 無理ですよ。部活で忙しいですし。」
「そうだった、弟くんはキャプテンになったんだもんねー。まぁ順当にいったら、今の副生徒会長である永森氷菓ちゃんがなるんじゃないかな。」
永森氷菓ながもりひょうか――現在高校二年生、そして現行生徒会の副会長である。
「あぁ、あのちびっ子副会長ですか。でも、ちょっと頼りないというか、危なっかしいところあるんだよなぁ。」
「へぇー。雪は――わたしのこと、そんな風に思ってたんだー。」
唐突に俺の背後から、舌足らずな子供っぽい声が聞こえてきた。
「……え゛!?」
驚いて振り返ったが、俺の背後には誰もいなかった。
「あれ? 誰もいないな……。」
「……弟くん、下だよ下。」
言葉先輩の声に従って目線を下げると、頬をふくらませて俺を見上げている永森氷菓がいた。
「あぁ、小さすぎてわからなかった。まさかリアルで池乃めだか現象が起こるとは。」
関西圏のみなさんはお馴染み、知らない人は吉本新喜劇をご覧いただきたい。
「なにっ~! 吹雪様の弟であるとはいえ、もう怒ったかんね! ぶっ殺すかんな!」
「おっと、悪かったよ……。」
永森氷菓が短い腕をブンブン振り回してきたので、俺は彼女の頭をがしっと押さえつけた。腕の長さ的に、こうしていれば彼女の攻撃は俺にかすりもしない。
「ぐるるるぅぅぅっ!!」
「ははっ、そんなロリボイスで唸って威嚇されても怖くないなぁ!」
「なんだとぉっ!?」
「俺は日々、姉貴の威圧の元で生きてるんだぞ。ロリっ子副会長の威圧程度、可愛いとしか思わんな。」
自分で言っておいて、姉貴に威圧されて生きる弟ってのも妙なものだ。
「ロリっ子いうな! 吹雪様にあることないこと言いつけるよっ!」
「えっ……、それはまじでやめてほしい。」
「まぁまぁ、二人とも落ち着こうよ。」
言葉先輩はそう言って、もめあう俺たちの間に割って入った。
「ほら、休み時間終わっちゃうよ。作業が終わらないと、吹雪ちゃんに怒られちゃうぞ~?」
「っは、そうでした! 吹雪様から与えられた使命が最優先でした。あと……、雪! 今日の部活終わった後さ、少し話したいことがあるから時間くれない?」
「うん、まぁ別にいいけど。今じゃ駄目な話なのか?」
「あー、うん。できれば、ゆっくり話したいから……/// っじゃあ、またね!」
そう言って、氷菓は大きな段ボールを抱え、ふらふらした足どりで立ち去っていった。
「おやおや、これは……もしかして告白とかじゃないの?」
言葉先輩はにやにやしながら、そんな事を言ってきた。
「いや、それはないでしょ? だって、あいつって姉貴のこと大好きだし。あんまり詳しくないんですけど、あれって百合ってやつですかね。ゆるゆり?」
俺の疑問に、言葉先輩は少し頭をかかえながら教えてくれた。
「まぁ確かにそうだね……。ちねみに、弟くん。あの子のはガチだと思うよ。ガチゆり」
「ガチゆりですか……それは大事件ですね。」
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