37 / 74
青春は心臓に悪すぎる
しおりを挟む
続いて、俺はイーリスに引きずられて――ではなく二人で薬草採取の依頼に出ていた。
平原からもう少し進んだ森の奥、魔力回復に効くという青い花弁の薬草が群生していて、それを納品するという内容だ。
依頼内容としては、初心者向けの安全コース。
この辺りは、俺にとって庭みたいなもんだ。
昔、狂ったように採取依頼ばかり請け負っていた時期がある。
数えきれないほど草を抜き、虫に刺され、時には薬草泥棒に絡まれて泣きながら逃げた日々。
だからわかる。この薬草がどこに生えているか、何時ごろが一番採りやすいか、ついでに周辺に出る小動物や魔物の習性まで。
俺にとっては「秒で終わるお散歩」レベルの依頼。
――だが、今日の目的はそこじゃない。
「今日は……絶対にシンさんのお役に立ちます!」
イーリスはそう言って、きゅっと小さな拳を握りしめていた。
真剣そのものの顔。だが、どこか頬が上気していて、わずかに期待が混じっている。
(……なんでそんなに張り切ってるんだお前は)
そう、今回はイーリスが「どの程度の観察眼を持っているか」を見るのが狙いだ。
彼女は遠距離が得意、つまり仲間の支援に回る場面も多い。
観察力が欠けていれば、戦闘では命取りになる。
だから俺は、イーリスがどう動くのか、しっかり見極めようと考えていた。
決して、「俺の役に立ちたい」なんて健気な言葉にちょっと心を揺らされてるわけじゃない。断じてない。
「薬草って……この森のどこかに生えてるんですよね?」
「生えてる。俺は前に山ほど抜いたからな。……ただし、似た雑草も多い」
「見分けが難しいんですね……!」
イーリスは頷き、森の中を歩き出した。
「これとかどうですか?」
「それはただの草だ」
「じゃあ、こっちは!」
「毒草だな」
「っ……!」
イーリスはあからさまに肩を落とす。が、すぐに顔を上げて、「もう一回!」と気合を入れ直した。
その姿に、俺は少し感心する。
普通ならすぐに投げ出してもおかしくない。
だがイーリスは諦めない。
俺の「役に立ちたい」と言った言葉に、嘘はないんだろう。
それからも、彼女は必死に森を歩き回った。
時には虫に驚いて跳ね上がり、時には小枝にスカートを引っかけて慌てて直す。
「……っ、あっ!」
突然、イーリスが小さな歓声を上げる。
指差した先には、青い花弁が陽の光を受けて揺れていた。
「見つけましたっ!」
「……おお、当たりだ」
彼女は駆け寄り、膝をついて両手で丁寧に一株を摘み取った。
「ちゃんと根を傷つけずに採れました!」
「さすが、森の近くで暮らしてただけあるな」
採取経験ゼロにしては手際がいい。
イーリスは摘んだ薬草を胸元に抱えながら、ぱっと顔を上げる。
大きな瞳がこちらを真っ直ぐに見つめて――。
「もっと褒めてくれても、いいんですよ?」
小首を傾げて笑うその仕草に、俺は一瞬言葉を失う。
……いや待て、かれこれ一時間くらい迷ってたんだぞ。観察眼があるとは言い難い。
危うくせに頭を撫でるところだった。
だが、諦めずに頑張ったのもまた事実。
よく考えたら、俺が初めてこの草を探す時は、三時間くらいかかっていた気がする。
「……よく頑張ったな」
採取した薬草を差し出しながら、イーリスがちょっと照れたように笑う。
一度だけ撫でてやると、彼女はさらに頬を赤くした。
「……もっと、もっと頑張ります。そうしたら、また撫でてくれますよね?」
イーリスが上目遣いでそう言った瞬間、俺の心臓が跳ねた。
おお、なんだこれは!
リゼットやセラとはまた違う、青春のトキメキ……!
瞬時に呼び起こされる、灰色の学生時代。
手も握らず卒業していったあの頃、失われた眩しいイベントが、今ここで補填されているかのような錯覚。脳細胞が一気に桃色に染まる。
俺に足りなかったのは……これなのか?
(いや……よく考えろ。時々感じる悪寒は本物だ)
心の中で、俺は慌ててブレーキを踏む。
そうだ、この世界で俺に好意を向けてくる人間は、誰もがヤバい一面を持っている。
イーリスだって、高校生くらいの歳の割に妙な迫力を発揮することがあるからな。
迂闊に撫でるのは……命に関わるかもしれない。
俺が逡巡している間にも、イーリスはじっと見つめてくる。
その頬は赤く、呼吸はわずかに速い。
無垢に見えるが、まさか計算じゃないよな?
「えーっと、あー……撫でるのは、犬とか猫とかそういうのにするものだろ?」
「じゃあ、私は違うんですか?」
「いや違うっていうか……」
「……シンさんにとって、私は撫でる価値がないってことですか?」
イーリスがしゅんと肩を落とす。
「もう一回、撫でてくれますか?」
「……よくやったな」
俺は結局、抗えずにぽんっとイーリスの頭に手を置いた。
イーリスは顔を真っ赤にして、嬉しそうに目を細める。
そのまま数秒。撫でている俺の手に、彼女が小さく自分の頭をすり寄せてきた。
「……シンさん」
「な、なんですか?」
「私……シンさんになら、犬でも猫でもいいですよ?」
「――ッ!?」
爆弾だ爆弾。
この年になって食らう青春イベントは、喜び以外の何かまでもたらしてくる。
なんていうか、心臓が熱いのに、背筋が寒い。
俺を構成する全てがそれを理解しているのだろう。
身体中に「ぐおおおおおお!」という警報音が鳴り響いて――脳内アラームじゃないなこれ。外から聞こえてるぞ?
音のする方へ振り向いた次の瞬間、森の奥で木々がごっそり揺れ、突き破るように巨体が姿を現した。
平原からもう少し進んだ森の奥、魔力回復に効くという青い花弁の薬草が群生していて、それを納品するという内容だ。
依頼内容としては、初心者向けの安全コース。
この辺りは、俺にとって庭みたいなもんだ。
昔、狂ったように採取依頼ばかり請け負っていた時期がある。
数えきれないほど草を抜き、虫に刺され、時には薬草泥棒に絡まれて泣きながら逃げた日々。
だからわかる。この薬草がどこに生えているか、何時ごろが一番採りやすいか、ついでに周辺に出る小動物や魔物の習性まで。
俺にとっては「秒で終わるお散歩」レベルの依頼。
――だが、今日の目的はそこじゃない。
「今日は……絶対にシンさんのお役に立ちます!」
イーリスはそう言って、きゅっと小さな拳を握りしめていた。
真剣そのものの顔。だが、どこか頬が上気していて、わずかに期待が混じっている。
(……なんでそんなに張り切ってるんだお前は)
そう、今回はイーリスが「どの程度の観察眼を持っているか」を見るのが狙いだ。
彼女は遠距離が得意、つまり仲間の支援に回る場面も多い。
観察力が欠けていれば、戦闘では命取りになる。
だから俺は、イーリスがどう動くのか、しっかり見極めようと考えていた。
決して、「俺の役に立ちたい」なんて健気な言葉にちょっと心を揺らされてるわけじゃない。断じてない。
「薬草って……この森のどこかに生えてるんですよね?」
「生えてる。俺は前に山ほど抜いたからな。……ただし、似た雑草も多い」
「見分けが難しいんですね……!」
イーリスは頷き、森の中を歩き出した。
「これとかどうですか?」
「それはただの草だ」
「じゃあ、こっちは!」
「毒草だな」
「っ……!」
イーリスはあからさまに肩を落とす。が、すぐに顔を上げて、「もう一回!」と気合を入れ直した。
その姿に、俺は少し感心する。
普通ならすぐに投げ出してもおかしくない。
だがイーリスは諦めない。
俺の「役に立ちたい」と言った言葉に、嘘はないんだろう。
それからも、彼女は必死に森を歩き回った。
時には虫に驚いて跳ね上がり、時には小枝にスカートを引っかけて慌てて直す。
「……っ、あっ!」
突然、イーリスが小さな歓声を上げる。
指差した先には、青い花弁が陽の光を受けて揺れていた。
「見つけましたっ!」
「……おお、当たりだ」
彼女は駆け寄り、膝をついて両手で丁寧に一株を摘み取った。
「ちゃんと根を傷つけずに採れました!」
「さすが、森の近くで暮らしてただけあるな」
採取経験ゼロにしては手際がいい。
イーリスは摘んだ薬草を胸元に抱えながら、ぱっと顔を上げる。
大きな瞳がこちらを真っ直ぐに見つめて――。
「もっと褒めてくれても、いいんですよ?」
小首を傾げて笑うその仕草に、俺は一瞬言葉を失う。
……いや待て、かれこれ一時間くらい迷ってたんだぞ。観察眼があるとは言い難い。
危うくせに頭を撫でるところだった。
だが、諦めずに頑張ったのもまた事実。
よく考えたら、俺が初めてこの草を探す時は、三時間くらいかかっていた気がする。
「……よく頑張ったな」
採取した薬草を差し出しながら、イーリスがちょっと照れたように笑う。
一度だけ撫でてやると、彼女はさらに頬を赤くした。
「……もっと、もっと頑張ります。そうしたら、また撫でてくれますよね?」
イーリスが上目遣いでそう言った瞬間、俺の心臓が跳ねた。
おお、なんだこれは!
リゼットやセラとはまた違う、青春のトキメキ……!
瞬時に呼び起こされる、灰色の学生時代。
手も握らず卒業していったあの頃、失われた眩しいイベントが、今ここで補填されているかのような錯覚。脳細胞が一気に桃色に染まる。
俺に足りなかったのは……これなのか?
(いや……よく考えろ。時々感じる悪寒は本物だ)
心の中で、俺は慌ててブレーキを踏む。
そうだ、この世界で俺に好意を向けてくる人間は、誰もがヤバい一面を持っている。
イーリスだって、高校生くらいの歳の割に妙な迫力を発揮することがあるからな。
迂闊に撫でるのは……命に関わるかもしれない。
俺が逡巡している間にも、イーリスはじっと見つめてくる。
その頬は赤く、呼吸はわずかに速い。
無垢に見えるが、まさか計算じゃないよな?
「えーっと、あー……撫でるのは、犬とか猫とかそういうのにするものだろ?」
「じゃあ、私は違うんですか?」
「いや違うっていうか……」
「……シンさんにとって、私は撫でる価値がないってことですか?」
イーリスがしゅんと肩を落とす。
「もう一回、撫でてくれますか?」
「……よくやったな」
俺は結局、抗えずにぽんっとイーリスの頭に手を置いた。
イーリスは顔を真っ赤にして、嬉しそうに目を細める。
そのまま数秒。撫でている俺の手に、彼女が小さく自分の頭をすり寄せてきた。
「……シンさん」
「な、なんですか?」
「私……シンさんになら、犬でも猫でもいいですよ?」
「――ッ!?」
爆弾だ爆弾。
この年になって食らう青春イベントは、喜び以外の何かまでもたらしてくる。
なんていうか、心臓が熱いのに、背筋が寒い。
俺を構成する全てがそれを理解しているのだろう。
身体中に「ぐおおおおおお!」という警報音が鳴り響いて――脳内アラームじゃないなこれ。外から聞こえてるぞ?
音のする方へ振り向いた次の瞬間、森の奥で木々がごっそり揺れ、突き破るように巨体が姿を現した。
12
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!
みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!
杉藤千夏はツンデレ少女である。
そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。
千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。
徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い!
※他サイトにも投稿しています。
※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる