妹に全てを奪われた私、実は周りから溺愛されていました

日々埋没。

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「生徒会長として新入生に挨拶を滞りなく終えることができて一安心ですけれど、今日から悩みの種が一つ生まれてしまいましたわ……」

「ひょっとして、アリスのことかい?」

「ええ、本当に頭が痛いですわ。フィーリアにも妹のあんな恥態を見られてしまいましたし噂にもなっているようで、もう姉として恥ずかしい限りでしてよ」

 学園内のサロンでこの国の王子アルフレッドを捕まえて愚痴をこぼす私。
 内容はもちろん今朝の一件だ。
 私たち姉妹共通の幼馴染にして婚約者でもある彼にしかこんなことは話せない、のだが。

「いいじゃないか別に。なにもアリスだって悪気があったわけじゃないだろうし」

「アルフレッド様までそのようなことを……。妹にもきちんと自らの立場を自覚してもらわないと我が家全体の品位が下がりますのよ」

「その分姉であるキミがしっかりしていればいいだけのことだよ。多少のわがままくらい見逃してやるのも姉の務めだと僕は思うよ」

 これだ。
 以前はもらす愚痴に共感してくれたというのに最近は妙に妹の肩を持つようになったと感じる。
 その上我が家に訪れた際には、なぜかアリスにまで声をかけてテラスでのひと時に同席させようとする。
 あげく、私が彼と二人きりがいいと言えば仲間はずれはよくないと窘められる始末。
 
 なんだか怪しいわね……。

 いたいけな子供の頃の話とはいえ、政略結婚に関係なく私に好きだとプロポーズまでしてくれたアルフレッドに限ってそのようなことはないとは思うが、内心どこか引っかかるのもまた事実。

「ふー暑い暑い、暑くて体がとろけそうだわー」

 学園の生徒たちに伝わる暗黙の了解として、私とアルフレッドが歓談に興じている際にはそれを邪魔してはいけないというものがあるらしいが、そんな不文律を破ったのは例によって妹だ。

「そこのアンタ、フルーツジュースをすぐ持ってきなさい。あとホットケーキね。砂糖たっぷりのすんごくあまーいやつ!」

 こちらの返事も待たずさも当たり前とばかりにアルフレッドの隣に座る妹は、初夏もまだ先だというのに全身汗だくで給仕係に注文をする。

 その間に履いているフレアスカートをバタバタとみっともなく仰いで風を送ろうとしているが、殿方の前ではしたないとは思わないのだろうか。

「やあアリス、入学おめでとう。ちょうど今君のことをリディアと話していたところなんだ」

「ふーん、あたしのことをねぇー。どんなことを話してたのアル、教えなさいよ!」
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