妹に全てを奪われた私、実は周りから溺愛されていました

日々埋没。

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 とうとう晩餐会の日にちがやってきた。
 一家総出の招待だったけれども、本音を言えば欠席したかった。

 おおかたアルフレッドに捨てられた私が出席をしても、踊る相手がいないダンスの時間にみじめな思いをするだけ。
 そうでなくても他の出席者に白い目で見られ、あるいは婚約者を奪われた哀れな令嬢として同情を寄せられるのが容易に想像できたからだ。

 しかし私は豚とは違う。
 将来はヴァンディール公爵家を継ぐ者として、奇異のまなさじやそしりに怯えて逃げ出すなどと、それこそ貴族としての責任とプライドが問われるというもの。
 だからこうして私は、地味な黒いドレスを着て王城に出向いていた。

 その前にお母様が別にドレスを用意してくれると言ってくれたが、きっぱりと固辞した。
 急ごしらえで用意立ててもらう手間を考慮してというよりかは、なかば意地に近かったのもある。

 あくまでこのドレスは私が好きで着ているものであって、見苦しい豚に少しは華をもたせるためにお下がりを貸し与えたのだと、そう自分を納得させるために。
 幸い、私と同じような格好をしている貴婦人が多かったために浮くことはなかったのだが。

 すでに大広間は賑わっており、いつもなら自ら率先して挨拶まわりをしているところだが、今回ばかりはそんな気分になれない。
 
 きっと他の貴族たちは私の話題で盛り上がっていることだろうから。
 なにせ先ほどからチラチラと、こちらの様子をうかがう視線が気になるほどだ。
 それでも誰も声をかけてこないのは、果たして気遣ってくれているのかそうでないのか。

 とにかく居心地が悪いことだけは確かで、胸の辺りに不快感が満ちていくのが分かる。
 だからせめて豚のドレス姿を思い出し、溜飲を下げることにした。

「……ぷっ」

 あれは傑作だった。
 私の丈周りの倍ほどもあるものだから、無理を通してやっと着たドレスの生地が伸びに伸びて、それはもう面白い有り様になっていたっけ。

 おかげで胸元から脂肪の塊ぶたのちぶさがこぼれおちそうになっていて、まるで露出狂のようだと思ったわ。

 だというのにお母様ったら「まあアリスちゃんよく似合っているわ、綺麗よ」なんておだてるものだから、本人も馬鹿でその気になってご満悦げに頷いていたことに笑いを禁じ得なかったわ。

 しかし私が豚の恥ずかしい格好に心を弾ませていられたのはそこまでだった。
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