酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵

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道具制作

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鍛冶工房の炉が赤々と燃え、鉄槌の音が響く。

「よし、次は酒造りの道具を作るぞ!」

俺は作業台にダマスカス鉱石を並べ、必要な道具の設計を考えた。

「さて、酒造りにはいろんな道具が必要だけど、まずは仕込み用の大桶だな。」

「大桶? ダマスカス鉱石で作るんですか?」

エスメラルダが不思議そうに聞く。

「いや、桶自体は木製のほうがいい。ただ、補強用の金具や攪拌棒の先端、ろ過に使う網はダマスカス鋼で作るつもりだ。」

「なるほど、酒を作るときの強度や耐久性が上がるってわけね。」

ベアトリーチェが頷く。

「あと、今回は特製の酒器も作るぞ。」

「酒器?」

「そう。普通の酒器じゃなくて、ダマスカス鋼の性質を活かしたものだ。」



ギルドの鍛冶職人たちも興味津々で作業を手伝ってくれた。

「ダマスカス鋼の酒器か……酒造りに使うのは初めてだな。」

「この素材、加工は大変だが、うまく作れば最高の道具になるぞ。」

彼らの協力もあり、いくつかの道具を完成させていく。

攪拌棒(かくはんぼう)

──醗酵中の酒を混ぜるための棒。先端にダマスカス鋼を使い、菌の繁殖を防ぐ仕様に。魔法耐性も強い為、魔法付与ま同時に行う。

濾過網(ろかあみ)

──酒の澱(おり)を取り除くための網。丈夫で錆びにくい。

特製の酒器

──ダマスカス鋼の酒器は、熱伝導が良く、温度を保ちやすい。冷酒にも熱燗にも向く逸品になるはずだ。

「すごい……ダマスカス鋼の網は、普通の金網よりもしっかりしてるわ。」

エスメラルダが感心して触る。

「これなら濾過もスムーズにできるだろうな!」

フェリシアが満足そうに頷く。



ケンイチのこだわり

俺はさらにもう一つ、特別な酒器を作っていた。

それは、「聖酒杯」と名付けたダマスカス鋼の杯。

「この杯には、俺の酒聖スキルの力を込めることができる。つまり——」

「酒を注ぐだけで、品質が向上する……?」

ミコが驚いた顔で言う。

「そういうことだ。これがあれば、少ない材料でも最高の酒が作れるかもしれない。」

「すごいわね……!」

三姉妹やミコが感動していると、ギルドの職人も感心したように言った。

「ケンイチ、お前、鍛冶の才能もあるな。」

「いやいや、俺はただの酒造りのための道具作りだよ。」

「……だが、この技術は戦にも応用できるぞ?」

ギルド長が意味深な視線を向ける。

「戦……か。」

俺は少し考え込んだが、すぐに首を振った。

「いや、俺はあくまで修道院での酒造りのためにやってるんだ。」

「フッ、そうか。だが、お前の技術はこの街にも役立つ。これからも頼むぞ。」

「守る為なら手を貸すよ。」



こうして、ダマスカス鉱石を活かした酒造りの道具が完成した。

「これで、さらに美味い酒が作れるぞ……!」

「すごいわ、ケンイチ!」

「これで次の酒はもっと良くなる!」

「いっぱい飲みたいの!」

三姉妹もセラフィーナも喜び、ミコも微笑んでいた。
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