笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア

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さて、冷静でいられないのは腐男子、響飛鳥ひびきあすかだけでは無い。



「副委員長ぉぉおおおおお」

「委員長が転校生に告られたってホントなんですか?!」

「ああああああああぁぁぁ俺らの委員長があ!」

「転校生マジで処す」

「ふ、ふふ、今こそ目には目を歯には歯を」



 龍神風紀委員長ガチセコム、もとい風紀委員達は響とは別の意味でご乱心だった。
 ある者は現実を受け入れきれずに机に頭を打ち付け。
 ある者は据えた目で警棒片手にドス黒いオーラを出し。
 またある者はどこからか取り出した五寸釘とハンマーでナニかをしようとしていた。

 


「皆さんちょっと落ち着いて下さい」

「…………うっせえ」



亘と一匹狼こと都島の一言で一瞬で静かになった風紀委員達だったが、皆一様に顔が死んでいる。

昨日ここ、風紀室で起こったことは既に風紀委員会の中では周知の事実であり、彼らは知らせを受けた時から絶望していた。委員長が…俺たちのかっこよくてちょっと可愛い憧れの委員長が…あんな有害マリモに告られて…アッだめだ涙出てきた今すぐ処そう、処すしかないこれが人類のためになることだ処そうマリモめまじ絶許。



「藍野君がした事は別に校則に違反したことでもないので処すとか物騒な事は控えて下さいね。風紀委員会が風紀を乱す事が一番あってはならないことであり委員長を悲しませることになる事をお忘れなく」


顔が死んでいた風紀委員達は、亘が最後に言った言葉でハッと蘇った。


委員長を悲しませるなど言語道断!


一致する思いが同じなのはさすが龍神瑚珀風紀委員長ガチセコムというところか。


転校生は処したい……が、そこは弁えている委員達。ボスに迷惑を掛けたりはしない。


「あの人の為に俺らがやらなきゃなんねーのは、いつもの仕事を完璧にこなして負担を減らすことだ」


きっぱりと言い切るガチセコム筆頭の都島にも触発され、風紀委員達は活気を取り戻した。


「うんうん、俺は委員長の為に生きるわ」

「へへ、僕とした事が冷静じゃなかったみたいです……お恥ずかしい」



こうして、風紀委員会には新たな暗黙のルールが一つ臨時で加わった。




転校生に手は出さないが委員長は絶対に守る。
というか、転校生以外からも委員長を守る。



こんなに過保護なルールが裏に存在すると龍神が知ればどんな顔をする事やら分からないが、しばらくこの掟は消えそうになかった。






















しかし、ボソリと亘が呟く。

「…………まあぽっと出のヒヨっ子が空気も読まずズケズケと我が物顔で委員長に近づいて身の程を弁えずにあまつさえこの私の目の前で告白をした時は腸が煮えくり返るほど腹が立ったのも確かですけどね」


(((副委員長くそ怖い無理)))
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