笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア

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 情けなくも泣き出してしまった俺を連れ、司さんは店を出た。

 流石にその頃には俺も泣き止んだが、どうしても声だけは涙声のままで声を出す気にはならない。



 大丈夫?という言葉に無言で頷くと、司さんは家まで送ろうと言ってくれた。普段なら断るが、今日は何だかそんな気力もなくて好意に甘えることにした。


 
「俺も降魔で教師やれたら瑚珀を見守れたのにな。今更異動願い出しても来年だろうし……残念だな」

 


 何も言わない俺を気にせず、司さんは隣で不満そうにしている。あの学園に司さんが来たら一瞬で人気が出るだろうことが想像できるので、俺としてはいなくて良かった。



 司さんを兄のように思う俺にとって、みんなに司さんを取られるときっと寂しくなってしまうから。子供みたいな感情を抱いて困らせたくない。


 少しして、龍神家の門扉の前に着く。街灯に照らされて煌めく司さんの黒髪に見惚れていると、視線に気がついたようで微笑まれる。それにどう返すのが正解か分からずに視線を逸らした。
 


 
「ん、無事到着。それじゃあ瑚珀、また今度会おうな」





 頭上で吐息だけで笑う音が聞こえ、大きな手がそっと頭を撫でる。

 いつでも連絡していいから、そう言って司さんは颯爽と去っていった。あっという間に暗闇に溶け込んで、見えなくなってしまう。


 その姿を見送り、俺は玄関に向かう。戸に手を掛けて、ゆっくりと深呼吸をした。








___あの二人は気遣ってるんじゃない、本当にお前を心から愛してる。






 先の司さんの言葉を思い出し、俺はぐっと手に力を込める。少し震える手を睨み、息を吐く。




 

少しずつ、変わっていきたい。



 




 
俺も、愛していると、いつか。






 


いつか。







 

心から、言えるといい。























 



「___ただいま、帰りました」




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