笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア

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 やっぱりやめておけば良かった。いつも以上に刺さる視線と悲鳴の数々に居た堪れない気持ちになる。




 今すぐ消えてしまいたい。


 公開処刑同然のこの状況は本当に地獄でしかない。先ほどから色んなところで騒めきが聞こえてきて、俺への反感だろうかと心配になった。俺は親衛隊を荒らす側ではなくて諌める側だと思っていたが間違いだったのか。


 一刻も早く教室につきたくて西連寺にリードされていた手を引いて廊下を進む。階段を上がって大股で教室に向かいドアを開ければ、中にいたクラスメイトの視線が一気に集まった。時が止まったように教室内が静まり返る。



 そこでようやく俺はまだ手を繋ぎっぱなしだったことに気づき、内心恥ずかしくなるが、何とか平静を保って西連寺に言った。我ながら愛想のない声が出た。


 
「……もう離せ。着いただろう」


「そう言いつつも途中からは俺の手を引いて堂々と歩いてたのはどこのどいつだ?」



苦言を呈する俺に対し、西連寺はまるでクラスメイト達に見せつけるように握った手を持ち上げる。そうすると一瞬で平静が崩壊して、堪らず手を振り解いた。



 

「~っ!!この、ばか!!」

 


顔が、熱い。著しく低下した語彙で格好悪い罵倒をしてしまったが、今のはどう考えてもこいつが悪い。混乱した頭で席まで行って雑に机に教材を突っ込む。




 途端、しんとしていた教室の時間が戻って一気に騒めきが起こった。


 


 

「え?え??え???な、なん?」

 
「うぉえええいまさかの生徒会長×風紀委員長ktkr!!!」

 
「神は我々に味方した!!!」

 
「3Sはもうお二人のものだ!!!」

 
「あああありがとうございますぅぅうううう!!」

 
「萌えすぎて禿げそう」

 
「手繋ぎとか初恋かよ無理しんどい」

 
「最推し決定案件」




 



 みんなの声が混じりすぎて何を言っているのか全く聞き取れないが、とにかくもう帰りたい。色々限界だった為机に伏せてやり過ごしてしまった。


 斜め前から弾丸のごとく話しかけてくる響なんて知らない。






 こんなに一日授業が身に入らない日は初めてだった。






































































 


 龍神が突っ伏した後のみんな。



 

(ところでさっきの龍神様やばくなかった?)

(それ。赤面からの『この、ばか!!』は尊すぎた)

(何人か鼻血出してトイレ行ったよね、朝っぱらから)

(不可抗力でしょ)
 
(いつもの真顔も素敵だけど、今日のはもう、うん、色々桁違いだった)

(今日ほど生きてて良かったと思える日はないよね)

(なんかもうマリモとかどうでも良いわ。このエデンが守れればそれで)


 
(((それな)))
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