笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア

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「そもそもその異常なほど近い距離はなんだ。べったりしやがって羨ま……ん゛んっ、龍神の邪魔になんだろうが!」



 鋭い眼光でもっともそうな事を言う西連寺が尚に怒る。今こいつ何か失言しかけただろう……。


「瑚珀いんちょー……おれ、邪魔?」



 西連寺の指摘を受けて尚が俺の袖をちょこん、とつまんで少し首を傾ける。無気力そうな瞳が心なしかうるうるしているような気がした。即、首を振る。


「いや、全く問題ない。大丈夫だ」



 邪魔だなんて思ってないが仮に思ってたとしてもこの顔を前に言えるわけがない。つまり可愛い。


 俺の返答に喜んだ尚が抱きついてきて、目を細めて擦り寄る。そしてそのまま得意げな顔を西連寺に向けた。



「おれ、邪魔じゃない……邪魔は、会長」


「このクソ猫が…………」





 べ、と尚が舌を出して挑発し、俺の首筋に満足そうに頭を埋めた。西連寺の口の端がピクピクと引き攣る。




 なぜBクラスである尚が俺たちと練習しているのかといえば、それは今年の組分けで3年ではSクラスとBクラスは同じ赤組だと決まったからだ。ちなみに3年の赤組にはもう一クラス、Eクラスも含まれている。


 降魔の体育祭では毎年、紅白戦で勝敗を決める。紅白の内訳はその年ごとに違うのだが、今年は3年のSクラスとAクラスが別々のチームになったようだな。ちなみにもう一つ補足しておくと、今俺たちが練習している二人三脚は学年競技なので三年は全員参加だ。それ以外は立候補で出場種目を決め、最低一人2種目は出るようになっている。


 
「んふふ……瑚珀いんちょーと授業………」



 尚は何の競技に出るんだろうか。



 幸せなそうな顔をする尚を見ていると、ふと単純な疑問が浮かんだので聞いてみる。


「尚、出場種目は決まったのか?」

「ん……リレーと、借り物きょーそー」



 どうやら寝ていたら決まっていたらしい。尚は無気力なだけなので本当は足が速い。リレーに出てもあまり苦戦はしないだろう。


「瑚珀いんちょーは?」

「俺か?俺は確か障害物競争とリレー、それと騎馬戦だ」



 俺の場合はなんでもいいので任せていたら、響が決めていた。いや、リレーは西連寺が決めたらしいが。西連寺も出るらしいので道連れということだろうか。



 何故か障害物競争に俺が出ると知った時クラスのみんなが響を称賛していたが、なんだか嫌な気がするのは俺だけなのか?障害物競争は去年もあった競技で、その名の通り色々試練の用意された競技だと記憶しているが……もしかしてみんな俺に勝ってほしくて期待しているんだろうか。そうだとすれば頑張らなくてはな。


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