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しおりを挟む龍神side
っていう感じだね、と飄然とした様子で御法川が語り終える。俺はただただ絶句するしかなかった。
「まあ信じられなくても良いけど、一応言っておこうと思ってね」
あっさりとそう言う御法川。それはあっけらかんとしたものではあったが、確かに諦観からくるものだった。一応本人にも自覚はあるのかと意外に思いながら、しかし俺は首を振る。
「この場合はお前が嘘をついてもメリットはないから、その辺は特に疑っていない。それに、お前が嘘をついているのかそうでないかを区別できないほど付き合いが浅くないからな」
言い切った俺の言葉に御法川は一瞬、びっくりしたような顔をしてこちらを見た。目が合うと破顔する。容姿は整っているんだが中身がいかんせん伴っていない。
「ははっ、そういうところ自覚してって言ったつもりだったけどやっぱ無駄だったみたい。まあ、それが可愛いんだけどね……で、瑚珀はそれでどうするのかな?僕は面白そうだから茂み君に期待するけど、瑚珀は接触したりとかしてみる?」
艶やかに微笑んだ御法川が俺に話を振ってきたので、少し顎に手をやって考える。接触か……。
御法川の話の通りだと、藍野の短気で我儘な姿は彼が演じていると捉えられる。転校当初からずっとあの様子なので、俄には信じられないが……そうなるとこの学校の生徒たちは俺や西連寺を含め、全員藍野に欺かれていたということになる。しかも、御法川の聞いたところでは誰かに強要されたというわけではなく自発的にしていることみたいだ。好かれるつもりもなくむしろ嫌われるためにしていたようだが、なぜこんなめんどくさい方法をとっているのか目的は全くわからない。一体何がしたいんだろうか。
「………今のところ、お前しか藍野の素を見ていないからどうしようもないな。気になるには気になるが、偽るということは人には知られたくないことがあるのだろう」
「じゃ、放置か。うんうん、それが一番面白いかもね。僕も胸の内に秘めとくとしよう」
「別に面白さは求めていない」
俺が絞り出した答えに御法川は、自分も目撃したものを黙秘することに同意した。その際校舎裏で見た藍野の姿を思い出したのか、くくっとおかしそうに笑った。
「でも本当、茂み君の会長への愚痴面白かったなぁ。僕、会長のことはどうも思ってないけど今回は流石に会長のことかわいそうに思っちゃった」
俺はてっきり西連寺と藍野の間に色恋沙汰が起きると思っていたんだが、まさか西連寺だけでなく藍野にも恋愛感情がないとは。
そういえば途中『推し』という言葉が出てきたが、あれは明らかに俺のことじゃないか?裏では俺は『推し』と呼ばれているのだろうか。そう考えると俺の推し、という発言はなんだか変な気がするが。
釈然としないながらも俺はその後結局、用具テント裏で御法川と別れて見回りに向かった。
自分の中で、藍野を見る目が180度変化したことを感じた。
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