ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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ダンジョン経営の始まり

事態の打開に向けて 2

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「あの人もなぁ・・・まぁ、人って言うか魔物なんだけど。完全にやる気なかったもんなぁ・・・俺とここのマスターが交代だっていう話聞いた途端、涙流しながらオールドクラウンに帰っていったし。まぁ、島流し紛いの追放先だし、当然か」

 彼の前任者であるダンジョンマスターは明らかに、人間にこのダンジョンを発見されることを望んでいなかった。
 それもその筈である。
 このダンジョンなど、所詮追放先の僻地に過ぎない。
 そんな場所で、多少実績を上げたところで何がどうなるわけでもない。
 カイの前任者はそんな環境に絶望し、何もせずに暮らすことを選んでいたのだ。
 そんな彼が元の場所に戻れると聞いて、どれほど喜んだかなど想像に難くない。
 カイは一刻も早く帰りたくて仕方ないといった様子の彼の姿を思い出して、思わず苦笑いを漏らしていた。

「そのお陰で、住環境が整っていたのは良かったんだけどな・・・」

 前任者はこのダンジョンで、ただ貝のようにじっとして過ごす事を選んでいた。
 そのため居住環境は十分過ぎるほど整備されており、カイ達は種族の違いを考えてちょっと手を加えるだけで、快適に過ごす事が出来るようになっていた。

「でもなぁ、そもそもダンジョンとして存在すら知られてないってどうなのよ?」

 じっとして過ごすだけならば、訪問者などいない方がいい。
 ただ時が過ぎるだけの日々を望んだ前任者は、このダンジョンを自然の洞窟に偽装し、その存在を徹底して隠すことに注力していた。
 その結果が、全く人のやってこない現状へと繋がっている訳だが、彼の境遇を考えると責める訳にもいかないように思えてくる。

「ここに来た始めの頃は、びびって色々魔物とか作ったりしたんだけどなぁ・・・だって、全然防備が整ってないんだもん。まさか誰もやってこないとは、思わないじゃん?あれも今となっては、張り切りすぎて痛い感じになっちゃってるよなぁ」

 前任者とマスターを交代し、ダンジョンの状態を確認したカイは、そのあまりの無防備さに慌てふためき、ありったけの魔力を使用して魔物を生成してしまっていた。
 最初の一日などは彼もびくびくしながら夜を迎えたものであったが、今にして思えばかなり恥ずかしい振る舞いだったと、顔を赤らめてしまう。

「ほとんど待機させてるもんなぁ・・・完全に過剰戦力になっちゃってるな、今の状況じゃ」

 慎ましやかな生活を送っていた前任者のお陰もあってか、カイが就任した当初、このダンジョンの余剰魔力は膨大な量となっていた。
 それも今では、ほとんどすっからかんと言ってしまっていい状態となっている。
 それと言うのも冒険者が押し寄せてくることを恐れたカイが、遮二無二魔物を生成したからであった。
 それらの魔物も、今ではほとんどがダンジョンの収納スペースで待機している有様だ。
 余計な魔力の消費を抑えるためにそれは仕方のないことであったが、どこか失敗を隠蔽しているようで、カイはばつの悪さを感じていた。
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