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ダンジョン経営の始まり
カイ・リンデンバウムは想定外の出来事に動揺する 3
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「それで旦那、何か収穫はあったのかい?」
「あぁ、セッキ。良くぞ聞いてくれたな、実は―――」
カイが話すのを待ちきれないという様子のセッキは、せっつくようにして彼へと何か収穫はあったのかと問い掛ける。
その言葉に、カイはこちらこそ話したくて仕方がないのだと口を開いていた。
カイの言葉に、彼の側近の部下達はついにきたかと顔を見合わせ、集まった魔物達も一斉に生唾を飲み込んでいた。
「このダンジョンに冒険者がやってくる」
注目が集まってきたことを感じていたカイは、若干の溜めを作ってその事実を告げる。
しかし期待とは裏腹に、彼らの反応はまるで続きを待っているような静かなものであった。
(あれ?なんか反応薄いな。初めてお客さんだぞ?あー・・・そういえば、彼らはまだ冒険者じゃなかったっけ?いや、それは別に関係ないよな?)
薄い反応に、カイはその胸中に小さな疑問を芽生えさせる。
しかし彼が、その疑問の答えに辿り着く事はないだろう。
何故なら彼は彼が留守の間、部下達が散々大袈裟に彼の凄さと、その帰還によって一気に事態が動くと新参者達に言い触らした事を知らないからだ。
彼らの言動によって、その場に待機している者達のハードルは上がっており、冒険者がやってくるという程度の事では反応を示さなくなってしまっていた。
「冒険者来るって、それはなんだい旦那。撃退の準備をしろって話しかい?大物なのか、そいつらは?」
「いや、まだ年端もいかない子供達のパーティだな。それに撃退なんてとんでもない、彼らには無事に帰ってもらうさ。十分なお土産を持たせてね」
肩透かしを食らったような表情でカイの話が続くのを待っていたセッキも、彼がいつまでも続きを話さなければ、いつしかじれて問い質しもする。
セッキはそのやってくる冒険者が大物である事を期待するが、残念ながらそうはならない。
それどころか撃退するのではなく、接待して無事に帰すのだというカイの話しに、セッキは理解が出来ないと顔を歪めてしまっていた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ旦那!無事に帰すだって?それに土産を持たせてだと・・・それ、本気なのかい?」
「そうだぞ?彼らにはこのダンジョンの宣伝をしてもらって、冒険者をじゃんじゃん呼び込んでもらうんだからな」
カイの発言に、セッキは訳が分からないとでもいいたげに食って掛かってくる。
しかしその反応に意味が分からないのは、カイも同じであった。
カイは何故こんな簡単な事も分からないのかと、心底不思議に思い首を傾げる。
そうして、ある事実に思い至っていた。
(ん?もしかして、ダンジョンに冒険者を呼び込みたいのって俺だけ?あー・・・だってそうだよな、ダンジョンにとって冒険者って基本侵入者だし。あっれー?なんか、冒険者を呼び込みさえすればオッケーって思ってたけど、それで喜ぶのって俺だけじゃん。うっわー・・・完全に考えてなかったわ)
冒険者を呼び込む事によって、全てがうまく回ると考えていたカイは、その当てが外れた事によって完全に思考停止してしまう。
彼の目には、その発言によってざわざわと騒ぎ始めている魔物達の姿が映っていた。
「それで、カイ様。冒険者を呼び込んで、どうなさるおつもりなのじゃろうか?勿論カイ様の事じゃから、深い考えがおありなのじゃろうが・・・ご覧の通り、皆戸惑っております。その考えの一端でも、説明いただけたらと・・・」
「・・・悪いが、今は説明できない」
戸惑う魔物達の姿に、ダミアンが代表して彼らの言葉を代弁する。
しかしその言葉を、カイはにべもなく却下していた。
(ごめんなさいー!何も考えてませんでしたー!!だってさ、冒険者を呼び込めばそれで終りだと考えてたんだもん!!)
内心の動揺とは別に、カイは至って冷静に動揺する部下達の姿を見渡している。
彼はもはや言う事はないというような雰囲気を醸し出すと、戸惑う彼らの間を通り抜けてダンジョンへと足を進めてゆく。
「とにかく、彼らは二日後の昼にはやってくる。それまでに各自、準備しておくように」
去り際にカイは一度振り返ると、彼らに決定事項だけをはっきりと告げる。
それを言い終わった彼はもはや、振り返ることも立ち止まる事もなく歩いていく。
それもその筈だろう。
彼にはもはや、彼らを説得する言葉など思いつく筈もない。
今はただ、黙って彼らが従ってくれることを期待することしか出来ないのだから。
祈るような気持ちで彼は、ダンジョンコアの眠る最奥の間へと歩いていく。
その心はまるで、希望から絶望に向かって歩みを進めているようだった。
「あぁ、セッキ。良くぞ聞いてくれたな、実は―――」
カイが話すのを待ちきれないという様子のセッキは、せっつくようにして彼へと何か収穫はあったのかと問い掛ける。
その言葉に、カイはこちらこそ話したくて仕方がないのだと口を開いていた。
カイの言葉に、彼の側近の部下達はついにきたかと顔を見合わせ、集まった魔物達も一斉に生唾を飲み込んでいた。
「このダンジョンに冒険者がやってくる」
注目が集まってきたことを感じていたカイは、若干の溜めを作ってその事実を告げる。
しかし期待とは裏腹に、彼らの反応はまるで続きを待っているような静かなものであった。
(あれ?なんか反応薄いな。初めてお客さんだぞ?あー・・・そういえば、彼らはまだ冒険者じゃなかったっけ?いや、それは別に関係ないよな?)
薄い反応に、カイはその胸中に小さな疑問を芽生えさせる。
しかし彼が、その疑問の答えに辿り着く事はないだろう。
何故なら彼は彼が留守の間、部下達が散々大袈裟に彼の凄さと、その帰還によって一気に事態が動くと新参者達に言い触らした事を知らないからだ。
彼らの言動によって、その場に待機している者達のハードルは上がっており、冒険者がやってくるという程度の事では反応を示さなくなってしまっていた。
「冒険者来るって、それはなんだい旦那。撃退の準備をしろって話しかい?大物なのか、そいつらは?」
「いや、まだ年端もいかない子供達のパーティだな。それに撃退なんてとんでもない、彼らには無事に帰ってもらうさ。十分なお土産を持たせてね」
肩透かしを食らったような表情でカイの話が続くのを待っていたセッキも、彼がいつまでも続きを話さなければ、いつしかじれて問い質しもする。
セッキはそのやってくる冒険者が大物である事を期待するが、残念ながらそうはならない。
それどころか撃退するのではなく、接待して無事に帰すのだというカイの話しに、セッキは理解が出来ないと顔を歪めてしまっていた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ旦那!無事に帰すだって?それに土産を持たせてだと・・・それ、本気なのかい?」
「そうだぞ?彼らにはこのダンジョンの宣伝をしてもらって、冒険者をじゃんじゃん呼び込んでもらうんだからな」
カイの発言に、セッキは訳が分からないとでもいいたげに食って掛かってくる。
しかしその反応に意味が分からないのは、カイも同じであった。
カイは何故こんな簡単な事も分からないのかと、心底不思議に思い首を傾げる。
そうして、ある事実に思い至っていた。
(ん?もしかして、ダンジョンに冒険者を呼び込みたいのって俺だけ?あー・・・だってそうだよな、ダンジョンにとって冒険者って基本侵入者だし。あっれー?なんか、冒険者を呼び込みさえすればオッケーって思ってたけど、それで喜ぶのって俺だけじゃん。うっわー・・・完全に考えてなかったわ)
冒険者を呼び込む事によって、全てがうまく回ると考えていたカイは、その当てが外れた事によって完全に思考停止してしまう。
彼の目には、その発言によってざわざわと騒ぎ始めている魔物達の姿が映っていた。
「それで、カイ様。冒険者を呼び込んで、どうなさるおつもりなのじゃろうか?勿論カイ様の事じゃから、深い考えがおありなのじゃろうが・・・ご覧の通り、皆戸惑っております。その考えの一端でも、説明いただけたらと・・・」
「・・・悪いが、今は説明できない」
戸惑う魔物達の姿に、ダミアンが代表して彼らの言葉を代弁する。
しかしその言葉を、カイはにべもなく却下していた。
(ごめんなさいー!何も考えてませんでしたー!!だってさ、冒険者を呼び込めばそれで終りだと考えてたんだもん!!)
内心の動揺とは別に、カイは至って冷静に動揺する部下達の姿を見渡している。
彼はもはや言う事はないというような雰囲気を醸し出すと、戸惑う彼らの間を通り抜けてダンジョンへと足を進めてゆく。
「とにかく、彼らは二日後の昼にはやってくる。それまでに各自、準備しておくように」
去り際にカイは一度振り返ると、彼らに決定事項だけをはっきりと告げる。
それを言い終わった彼はもはや、振り返ることも立ち止まる事もなく歩いていく。
それもその筈だろう。
彼にはもはや、彼らを説得する言葉など思いつく筈もない。
今はただ、黙って彼らが従ってくれることを期待することしか出来ないのだから。
祈るような気持ちで彼は、ダンジョンコアの眠る最奥の間へと歩いていく。
その心はまるで、希望から絶望に向かって歩みを進めているようだった。
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