ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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ダミアン・ヘンゲは焦らない 2

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「ダミアン、確かに貴方の言う事にも一理あると思うわ。でもこのまま静観して、彼らが死んでしまっては元も子もないでしょう?・・・貴方の事だから、何か考えがあるのではないかしら?」
「な、なるほど!そういう事かダミアン!ふふふ・・・お前も中々、意地が悪いな」

 ダミアンの意見にも、ヴェロニカはカイの考えを支持する姿勢を崩さない。
 しかし彼女はダミアンの言葉の裏に、別の意図があるのではないかと考えていた。
 彼女の言葉にようやくその事に思い至ったカイは、コンソールから離した指を口元へと当てては、まるで始めから分かっていたとでも言いたげな態度を見せている。

「いやいや、ご謙遜を・・・わしの考えは危険が伴うもの、場合によってはすぐにスケルトン共を引かさねばなりません。カイ様はそれを分かっておったのでしょう?」
「んんっ!?ま、まぁな・・・そういう部分もあったかな」

 カイの先ほどまでの振る舞いを、分かっておりますとダミアンは頷いてみせる。
 彼はカイの行動が、自身の考えを理解した上での振る舞いだったと解釈する。
 しかしそれが何の事だかさっぱり見当のつかないカイからすれば、ただただ知ったかぶりをした態度を見せる以外に術がなくなってしまっていた。

(こいつは一体何を言っているんだ?しかし分からないとは言えない、一気に信望を失ってしまうかもしれないし・・・ていうかさー、何でこの人達、俺が全部分かってるみたいに話す訳?そんな訳ないでしょうが!本当、もう勘弁してくれよ・・・)

 必死にそれっぽい言葉を紡ぎながら、カイはダミアンが言わんとしている事を推測する。
 しかし彼の頭では老獪なダミアンの思考など読み解く出来る訳もなく、意味ありげな表情で佇む事しか出来ないでいた。

「流石はカイ様!そのような事まで、とっくにお見通しとは・・・その深謀たるお考えには、感服するばかりでございます」
「おおっ、そ、そうか・・・まぁ、そう言われるほどもあるかな。ふふふ・・・」

 カイとダミアンのやり取りに、素直に感心した表情を見せ賞賛の言葉を述べてくるヴェロニカに、カイは思わず肩を跳ねさせてしまう。
 ただただ知ったかぶりのポーズを取っているだけの彼からすれば、彼女の賞賛の言葉こそが心に刺さる一言であった。

「それで、その・・・お考えというのは、どのようなものなのでしょうか?私にもお教え願えませんか?」
「うっ・・・そ、それはだなぁ。えーっと・・・」

 主人の考えを慮る事が出来ずに悔しそうな表情を作っているヴェロニカは、カイの方へと視線を向けると、縋るような仕草でその考えを教えて欲しいと懇願してくる。
 カイが彼女のそんな視線から顔を背けたのは、何もその美しさにたじろいだからではない。
 彼にはそれについて、何一つ話す事が出来ないからであった。

(えぇ・・・そんな事言われても無理だっての。だって俺にも分からないんだもん。てか、ヴェロニカの方が俺より頭が良いんだから、実はとっくに分かってて俺をからかってるんじゃ・・・?いや、それはないか。うぅ、可愛いなぁくそっ!そんな目で俺を見ないでくれ!なんか悪い事してる気分になるだろっ!)

 僅かに身体を前に傾けた上目遣いで、カイへと懇願の瞳を向けるヴェロニカの表情は、色々あって年頃の女性が若干苦手な彼の心にも、刺さるものがあった。
 圧倒的な美人が持つオーラ故か、顔を背けても何らかの圧力を感じる彼女の視線に、カイは静かに苦しみ続けていた。
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