ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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緊急事態 1

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 ずるずると地面を這いずっていたスピードも、背後で騒いでいる子供達の歓声を聞けば思い切った速度も出せる。
 地底湖で遊ぶ事に夢中になっている様子のクリス達に、カイは多少の物音を気にする事なく全速力で地面を這いずっていた。
 それはやがて先へと進む通路へと辿り着き、彼はその端へと軟体の手を伸ばすとほっと一息ついていた。

「ふぅ~・・・何とかなったな。後はヴェロニカ達の所に戻るだけか。このままだと動き辛いし、何か別の姿に・・・」

 クリス達にばれないように進んだ距離は、大した長さでなくとも精神的な疲労を強制していた。
 身体に押しかかる疲労も、この身体ではそれがどの部分なのかも分からない。
 カイは壁に手を置いて疲れた身体を休ませると、ヴェロニカ達の下へと帰ることを考え始める。
 それにはまず、この不慣れな身体を捨て去って動きやすい姿へと変身する所からだろう。

「やっぱり、いつもの姿に戻るべきかな?でもあの姿に服ごと変身するのは、なんか違和感があるしなぁ・・・動きやすかったし、もう一回スケルトンに―――」
「キィィィィィィ!!!」

 どんな姿に変身しようかと悩むカイは、とりあえずもう一度スケルトンの姿へと戻ろうと集中を始めようとしていた。
 しかしそれは、突如轟いた劈くような叫び声によって中断されてしまう。

「な、何だ!?」

 その叫び声は、彼の背後から響いてきている。
 それによって集中をかき乱されたカイは、ふよふよと揺れる球体のままの姿でそちら側へと視線を向けていた。

「部屋の方から聞こえたが、地底湖の方からか・・・あ、あれは、不味いっ!!」

 散々地面を這いずったからか少しだけ扱いに慣れてきたスライムの身体に、カイは通路の端にへばりついては身体の一部だけを伸ばして部屋の中を覗いている。
 響いた声は洞窟の反響のためか、その位置を判別し辛い。
 しかし一目で何もないと分かる部屋の入り口付近に、何かあるとすれば地底湖の方だろう。
 カイはそちらへと視線を向け、それを発見する。
 そこにはその巨大な頭をもたげ、クリス達を睨みつけているシーサーペントの姿があった。

「シーサーペントだと!?何であんな所にっ!?いや、配置したのは俺なんだけど・・・ヴェロニカ、ヴェロニカ!聞こえるか!?」

 そのシーサーペントは、確かに彼が配置させたものであった。
 しかしそれは遠目でチラリと見える程度のつもりであって、間違ってもクリス達を襲わせる考えなどなかった。
 まさかの事態に慌てるカイは、へばりついたままの壁へと手を伸ばして、ヴェロニカ達への連絡を急いでいた。
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