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第1話
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「他の人を好きになったから、君のことは愛せない」
公爵令嬢の私サフィラ・ルレックは、婚約者のヴァン・ドルグア王子の発言に唖然としていた。
ヴァンの隣には、魔法学園で最も成績が優秀とされる平民のエイダがいる。
唖然としている私を眺めたエイダは、嘲笑するような表情を浮かべて話す。
「私の方がヴァン殿下に尽くせます。魔法学園の成績から、サフィラ様にもそれがわかっているのではありませんか?」
「俺もそう確信しているが、エイダは平民……エイダは愛人とする。愛していないが、サフィラとは結婚しよう」
愛していないと強調しているのは、隣のエイダを安堵させるためだと思う。
ヴァンとエイダを眺めて、私は尋ねる。
「平民を愛人にすると、陛下は認めているのですか?」
「誰を愛人にしようと父上には関係ないだろう。とにかく俺はもう、君を愛することはない!」
婚約破棄する気はないようで、王子という立場から私は納得させられてしまう。
魔法学園の成績がいいからといっても、陛下は納得しないはずだ。
この時の私は、しばらくするとヴァンは正気に戻ると考えてしまう。
そう考えていたけど――エイダは、私を排除したかったようだ。
■◇■◇■◇■◇■
「サフィラは成績が優秀なエイダに嫉妬して様々な嫌がらせをしていた! そんな奴とはこの場で婚約を破棄する!!」
ヴァンから愛せないと言われてから、数日が経っている。
私はパーティ会場で、ヴァン王子から婚約破棄を言い渡されていた。
様々な悪事を働いていると説明したけど、私は何もしていない。
どうやらヴァンは罪を捏造することで私を糾弾し、婚約破棄を目論んだようだ。
ヴァンが王子だからか、賛同する貴族達が私に暴言を吐いてくる。
「平民とはいえ、エイダはドルグア国に貢献している魔法使い。嫉妬で虐げるなんてサフィラ様は酷すぎる!」
「成績が劣っているのなら努力すればいいのに邪魔するだなんて、殿下の婚約者に相応しくありません!」
暴言を吐く貴族の人達は、ヴァンが説明しただけなのに私が悪いと確信しているようだ。
私の悪事が真実か発覚していない状況で断言してくる辺り、事前に打ち合わせをしたのかもしれない。
協力させた貴族達が暴言を吐くことで、同調する人達が現れる。
それによって――悪事を行った確証はないのに、私が全て悪いと思われるようになってしまう。
そしてヴァンは、エイダを抱きしめながら告げる。
「俺はサフィラとの婚約を破棄し、エイダを婚約者とすることで償おう。エイダはそれで構わないか?」
「はい。ヴァン殿下が守ってくださるのなら、サフィラ様から酷い目に合わされることもなくなるでしょう」
そう言ってエイダが、嬉しそうな表情を浮かべていた。
私は言っておきたいことがあって、ヴァンに話す。
「ヴァン殿下――今日の出来事は、陛下もご存知なのですか?」
「うっっ……貴様の悪事と父上は何の関係もない! 話をそらすな!!」
ヴァンの反応から、間違いなく陛下は何も知らないはずだ。
もし知っていたとしたら真偽を確認して、私が悪事を働いていた場合でも穏便に済ませそう。
ヴァンは王子だけど、ルレック公爵家と不仲になるリスクを何も考えていない。
何も知らないからこそ、ヴァンは私との婚約を破棄しようとしていた。
「そうですか――それなら私は、ヴァン殿下との婚約を破棄します」
悪事は捏造だから絶対に認めないけど、婚約破棄はこの場で宣言した。
パーティ会場にいる貴族の人達が証人となるから、取り消すことはできない。
ヴァンに愛することはないと言われて――私も、愛することをやめていた。
公爵令嬢の私サフィラ・ルレックは、婚約者のヴァン・ドルグア王子の発言に唖然としていた。
ヴァンの隣には、魔法学園で最も成績が優秀とされる平民のエイダがいる。
唖然としている私を眺めたエイダは、嘲笑するような表情を浮かべて話す。
「私の方がヴァン殿下に尽くせます。魔法学園の成績から、サフィラ様にもそれがわかっているのではありませんか?」
「俺もそう確信しているが、エイダは平民……エイダは愛人とする。愛していないが、サフィラとは結婚しよう」
愛していないと強調しているのは、隣のエイダを安堵させるためだと思う。
ヴァンとエイダを眺めて、私は尋ねる。
「平民を愛人にすると、陛下は認めているのですか?」
「誰を愛人にしようと父上には関係ないだろう。とにかく俺はもう、君を愛することはない!」
婚約破棄する気はないようで、王子という立場から私は納得させられてしまう。
魔法学園の成績がいいからといっても、陛下は納得しないはずだ。
この時の私は、しばらくするとヴァンは正気に戻ると考えてしまう。
そう考えていたけど――エイダは、私を排除したかったようだ。
■◇■◇■◇■◇■
「サフィラは成績が優秀なエイダに嫉妬して様々な嫌がらせをしていた! そんな奴とはこの場で婚約を破棄する!!」
ヴァンから愛せないと言われてから、数日が経っている。
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様々な悪事を働いていると説明したけど、私は何もしていない。
どうやらヴァンは罪を捏造することで私を糾弾し、婚約破棄を目論んだようだ。
ヴァンが王子だからか、賛同する貴族達が私に暴言を吐いてくる。
「平民とはいえ、エイダはドルグア国に貢献している魔法使い。嫉妬で虐げるなんてサフィラ様は酷すぎる!」
「成績が劣っているのなら努力すればいいのに邪魔するだなんて、殿下の婚約者に相応しくありません!」
暴言を吐く貴族の人達は、ヴァンが説明しただけなのに私が悪いと確信しているようだ。
私の悪事が真実か発覚していない状況で断言してくる辺り、事前に打ち合わせをしたのかもしれない。
協力させた貴族達が暴言を吐くことで、同調する人達が現れる。
それによって――悪事を行った確証はないのに、私が全て悪いと思われるようになってしまう。
そしてヴァンは、エイダを抱きしめながら告げる。
「俺はサフィラとの婚約を破棄し、エイダを婚約者とすることで償おう。エイダはそれで構わないか?」
「はい。ヴァン殿下が守ってくださるのなら、サフィラ様から酷い目に合わされることもなくなるでしょう」
そう言ってエイダが、嬉しそうな表情を浮かべていた。
私は言っておきたいことがあって、ヴァンに話す。
「ヴァン殿下――今日の出来事は、陛下もご存知なのですか?」
「うっっ……貴様の悪事と父上は何の関係もない! 話をそらすな!!」
ヴァンの反応から、間違いなく陛下は何も知らないはずだ。
もし知っていたとしたら真偽を確認して、私が悪事を働いていた場合でも穏便に済ませそう。
ヴァンは王子だけど、ルレック公爵家と不仲になるリスクを何も考えていない。
何も知らないからこそ、ヴァンは私との婚約を破棄しようとしていた。
「そうですか――それなら私は、ヴァン殿下との婚約を破棄します」
悪事は捏造だから絶対に認めないけど、婚約破棄はこの場で宣言した。
パーティ会場にいる貴族の人達が証人となるから、取り消すことはできない。
ヴァンに愛することはないと言われて――私も、愛することをやめていた。
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